政治
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狭義の政治は、あるいはその他の自治体での政策についての意思決定社会問題の解決・最小化、対立や利害の調整、外国との関係の処理、公的財産の処理などを政府政党政治家などの職業的・公的に行う場合をいう。広義の政治は、あらゆる対人関係で起こる目標の選択、目標達成方法の決定、そしてそれらの実施あるいは実行の全過程をいう[6][7]。例として、学校の生徒会やサークルなどでの意思決定も、広い意味での「政治」ということができる[8]
主体

民主政国家の場合は、署名運動請願討論デモ活動によって、国民が政治活動を行うことがあり[9]、国民による選挙によって選出された、職業として政治活動を行う者を「政治家」という[10]政治活動家とは区別される。
概要

政治のより具体的な構成について観察すると、政治はどのように社会に働きかけているのかという客観的な問題と、政治はどのように社会に働きかけるべきかという規範的な問題に大別することができる。しかし現実の政治ではこの二種類の問題は混合した形で現れるものであり、これは後述するように政治の本性が何であるかという議論で表現されている。客観的な観点に立てば、政治は社会に対して秩序を与えており、またその動態を制御するための制度が考案されている。領土国民主権の下で統治するという国家の制度や、国家を組織運営する立法府行政府そして司法府という政府組織、そして統治者を選出するための民主主義の原則に基づいた代議制など、数多くの政治的制度が存在する。さらに政治的作用は制度の体系だけではなく、経済文化の状況や、企業圧力団体などの主体に動態的に影響している。市民運動やマスコミの活動は政治的な相互作用を生み出している。

次に政治の規範的問題に移れば、多種多様な政治イデオロギーがこの問題に応答している。政治イデオロギーとは後述するようにさまざまな問題に対する政治的態度を指導する観念の体系であり、代表的なものに自由主義保守主義、社会主義などがある。また個別的な問題に対するフェミニズム環境保護主義があり、さらに宗教原理主義までをも含めればさらに政治的態度の種類は多様なものだと認められる。これらの思想や態度が主要な論点としている規範の問題は人間本性や社会の自然なあり方、そして自由平等、さらには幸福正義などの理念を踏まえた上での統治者の権力、被治者の権利などに及んでいる。こうした議論が現実の政治秩序を理論的に基礎付けており、憲法外交選挙基本的人権市場社会福祉義務教育国防などの在り方を示している。

本項目では読者の政治における全般的な理解を助けるために、政治学的な主題を広く扱っている。したがって、いくつかの重要な主題を取り上げ、その詳細についてはそれぞれの項目を参照されたい。そこで第1章では政治の根本的な概念を基礎付ける政治の本性や権力、道徳の原理について概説し、次に主要な政治イデオロギーとして自由主義、保守主義、そして社会主義を取り上げる。また政治体制の観点からは権威主義、全体主義、権威主義の特性などを検討し、政治の場として機能している国家や国際政治の在り方も素描する。そして政治過程を構成する政党や市民、団体などの政治的相互作用に着目し、統治機構についても立法府や行政府などを論じる。最後に政治の出力である政策領域について概括する。ここで詳細に取り上げることができない各国の政治情勢や政治史については各国の政治の諸項目を、政治を研究する政治学の方法や概念については政治学を参照されたい。
政治の原理
政治権力詳細は「権力」を参照

権力とは一般に他者に対してその意志に反してでも従わせることのできる能力と一般的な定義が与えられている。ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは「抵抗に逆らってでも自己意思を貫徹するあらゆる機会」と捉えている。権力に対する認識については権力が生じる資源の実体性から把握する方法と、権力が生じる他者との関係性から把握する方法がある。フィレンツェの政治思想家ニッコロ・マキアヴェッリは政治権力は軍事力という暴力装置によって裏付けられなければならないと考えており、これは権力資源の実体性から権力を把握するものである。またアメリカの政治学者ロバート・ダールは『誰が統治するのか?』の中で権力を「他からの働きかけがなければBがしないであろうことを、AがBに行わせることが可能なとき、AはBに対して権力を持つ」という他者との関係において定式化している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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