政治
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またデュヴェルジェは少数の有力者の下に緩やかに組織されている政党である幹部政党と共産党を典型として一般の有権者を基盤として厳格に組織された大衆組織政党という分類を述べている。政治的な思想傾向を反映して保守政党中道政党革新政党包括政党という類型もしばしば用いられる。

政党が社会において存在している形態を政党制と呼ぶ。デュヴェルジェは一党制、二党制、多党制に三分した。そして『政党社会学』で政党が歴史や社会構造、宗教教義、人種、民族対立などに起因するものである一方、政党制は選挙制度と深い関係があることを論じている。またサルトーリは『現代政党学』で非競合的なものと競合的なものを提示した。そしてそれまで二大政党制は安定的な政党制をもたらすと考えられていたが、サルトーリは二大政党制は例外的な政党制であると論じ、穏健な多党制も推奨することで「二大政党制の神話」を否定した。
政治意識

政治意識は政治への関心、態度、行動の様式を示す概念であり、政治的社会化によって獲得する。この政治意識は普通選挙の導入による政治参加の拡大を通じて人民の意識が注目されることとなった。特にこの非合理性というものについてウォーラスが論じており、人間が常に合理的に行動するという主知主義の立場を批判し、非合理的な側面、例えば愛情、恐怖、憎悪、疑惑、忠誠などの感情、が重要な役割を果たすことを指摘した。したがって民主主義は常に非合理性により自滅する危険性を持ち、このような政治意識は大衆操作に利用することも可能である。政治教育によって政治意識を合理化する必要性もウォーラスは述べている。
マスメディア

マスメディアは政治社会において人々を政治参加や政治活動に向かわせる。マスメディアは市民社会において議論された公共的な意見である世論を反映し、政府が行う政策を社会に紹介する、媒介者としての役割を担っている。マスメディアの機能は大きく分けて環境の監視、社会部分相互の関連付け、社会的遺産の世代間伝達の三つであるとラスウェルは論じている。マスメディアの問題はさまざまであるが、まず商業主義の弊害が指摘される。マスメディアは中立的な立場を保持しようとしても、企業体である限りは不利益な情報を報道できない場合がある。さらにマスメディアの発達によって政治社会に印象が実体に先行する場合が生まれ、政治的能力と無関係な基準で選挙で選出される政治状況も見られるようになっている。
圧力団体詳細は「利益団体」を参照

圧力団体とはキーによれば公共政策に影響力を及ぼすための私的な団体である。具体的には、業界団体、労働組合、消費者団体、宗教団体、環境保護団体、女性団体などである。圧力団体は利益集団や利益団体と区別される。利益集団とは単に政治に関心を持つあらゆる集団を指し、利益団体は職業的な利益に基づいて組織化された集団であり、圧力団体は利益集団がさらに自己の利益を維持、増大させるための圧力を備えた集団である。

圧力団体の機能には利益表出、代表性の補完、政治のフィードバック、情報提供、政治教育などがあるが、圧力はエリートに限定された手段であり、また一部の利益が過剰に政治に影響を与えるなどの逆機能を併せ持つ。ローウィは『自由主義の終焉』においてアメリカ政治において圧力団体が野放しにされている状況を非難しており、これを利益集団自由主義と称した。アメリカでは圧力団体は議員、官僚との密接な関係を作り上げ、この関係は「鉄の三角形」とも呼ばれ、業界団体、族議員、官僚が特定の権益のために政治に影響を及ぼす強い政策ネットワークが構築されていた。

利益集団は多元主義の考えでは競争関係にある。多元主義とは政治を国家の外側に存在する世論や圧力団体などから説明する考えである。利益集団間の協調によって社会秩序が形成されるという考え方があり、これはネオ・コーポラティズムと言う。つまり政策決定の際に主要な利益集団と官僚が協議することにより遂行されている政治状況であり、オーストリアやスウェーデンが具体例として挙げられる。コーポラティズムとは団体協調主義とも言われ、職能別の代表が政治に参加することで政治的な調和を生み出そうとする思想である。ネオ・コーポラティズムは各分野において一元化された全国組織が存在していることが必要となる。これは政府機関との協議を行う慣行を形成するために不可欠な要件である。
統治機構
立法府詳細は「立法府」を参照

立法府は政治制度において特に重要な立法権を掌握している政治機関であり、基本的には法案を審議して制定することができる権限を持つ。また憲法改定の提案、条約の批准などの権限を持つ場合もあり、他の政府機関に対して優越的な地位にある。議院内閣制を採用している場合では立法府は行政府に対して直接的な影響力を保有している。

立法府は複数の国民の代表が出席した議会で審議を行うことで成り立っている。議員はエドマンド・バークは18世紀にブリストル演説で国民全体の代表と定めており、単なる選出母体の指示に従って行動する委任代理ではないことを明示した。選挙により選出される議員は提出される法案について審議を行い、多数決の原理に従って制定する。この多数決原理は多数派と少数派との間で妥協のと譲歩の可能性が吟味され、十分に建設的な議論に基づいて行われなければならないとされている。

しかしながら現実の政治ではしばしば政治問題の専門化と複雑化に対する議会の無能力、緊急的な政治問題に対する立法過程の遅滞などの問題が指摘されている。
行政府詳細は「行政府」を参照

行政府立法司法の機能以外の国家作用を行う政治機関である。各国によって微妙に異なるが、行政府の長である大統領または首相は国家の代表として一般的に認識され、外交権、統帥権、任命権、立法権など、国家の最高指導者として非常に総合的な権限を持っている。

行政府の具体的な制度は国によって一様ではない。例えば大統領制議院内閣制がある。大統領制は独自に選挙を経て大統領を選出する。この過程において議会が直接的に選出に介入することはできない。一方で議院内閣制では議員の中から行政府の長となる人物を選出し、また場合によっては不信任決議によって首相を罷免することにより影響力を行使することが可能である。ただし議院内閣制はイギリスのサッチャー首相のように議会に強い基盤を持っていれば大統領よりも強い権力を発揮することが可能である。

またフランスやドイツでは首相と大統領両方が存在するが、これらの国では大統領は名目的な地位に過ぎないことが多い。従って大統領制においては行政府が立法府から独立しており、議院内閣制の下で選出された首相は議会に対して責任を持っている。また別の制度として半大統領制議院内閣制議会統治制首相公選制などもある。
司法府詳細は「司法府」を参照

司法府は立法により制定された法律を適用して裁定する政治機関であり、裁判所から構成される。法には法体系の基礎となる憲法を最高位として、犯罪行為を取り締まる刑法、賠償や商行為などについて定めている民法、政府機関の規則や命令を含む行政法、国家間で合意された条約などを含む国際法などがあり、また慣習法となっているものや成文法として確立されているものもある。国民に対して法を適用するだけではなく、三権分立が確立された国家において立法府にはおおむね立法に対する審査権が付与されている。例えばドイツの憲法裁判所は法律が憲法に違反するかどうかを審査する権限を持っている。

ただし全ての司法府がそうであるとも限らない。アメリカでは最高裁判所に連邦法の違憲審査権について特別に規定されていない。またゲリイが「裁判官を政治家にする」と批判したように、違憲審査権を司法府に与えることも見送られている。しかし立法府の権限を規制するためには、また三権分立の思想を実現するためには、裁判所の権限が必要であった。ただし実際のほとんどの国の司法府には政治的な影響力が認められず、またそれが期待されていることも少ない。何故ならば、最も上位の裁判所である最高裁判所ですら審理される案件はごく一部であり、そもそも司法府の権限は立法府によって規定されている。裁判所の決定を実行するためには行政府の権力が必要となる。そして重要な着眼として、裁判官には「法の下の平等」という思想に基づいて常に公平であることが要求されているからであり、政治的な立場に偏りがあることは望ましくないとされる。
官僚機構詳細は「官僚」を参照
公共政策

近代社会は複雑化が進んでいるために非常に多面的であるが、近代・現代の政治機構はほぼすべての領域において政策機能を発達させており、何らかの影響力を行使することができる。
安全保障詳細は「暴力装置」を参照

安全保障は自らの価値を何らかの手段により脅威から守ることである。安全保障でまず問題となるのは国家の存続と独立、国民の生命、財産、つまり国防である。

これらは国家安全保障の上で最も基本的な国益として設定されるものであり、これを守るために軍隊が必要とされる。

国防は軍事力を「抑止力」として準備し、また戦争紛争事態において実際に運用することで行われる。仮想敵国に自国の単独防衛だけで対処できないと思われる場合には同盟を形成して勢力均衡を図ろうとする。その勢力均衡の結果、核戦略が国防において重要な領域となっており、核抑止理論を基礎とした仮想敵国の制圧が目指される。

しかしこのような従来の安全保障では十分に平和を保持できず、また戦争が勃発した際に戦火が拡大する恐れがあったため、集団安全保障の体制が第一次世界大戦後?戦間期における国際連盟第二次世界大戦後?現在における国際連合で追求された。集団安全保障は参加国が武力の不行使を相互に約束し、もしそれを破棄する参加国がいれば他の参加国がそれに対して制裁を実施することで秩序を回復するものであった。

近年は安全保障の概念は広がりを見せており、「人間の安全保障」と呼ばれるように、エネルギー食糧人権などが安全保障の対象となり、経済的手段や外交的手段が安全保障において重要視されるようになっている。
経済産業

政治にとって経済は規制を最小限にして市場経済の下に自由な取引を促進すべきものという資本主義の発想と、計画経済の下にある程度の管理に置いて必要な公共財を提供するという社会主義または共産主義の発想と、2種類のあり方が存在する。

これは経済を巡るイデオロギーと関連した論争であるが、現代の政治を観察すると現実の経済状況によって必要な産業復興支援や金融政策を打ち出している。

事実的な意味で経済が政治とどのように関わっているのかには4つの主要な考え方がある。


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