政治経済学
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マルクス経済学における政治経済学は、経済現象を社会構造、制度、文化、政治体制などを含めた広い視野から分析する分野[2]のことを言う。当初から、マルクス経済学は、古典派経済学の政治への問題意識を批判的に継承するとともに、その分析対象として、政治体制経済体制を含む社会全体を視野に入れてきた。戦後になると、再びマルクス経済学や、それに理解を示す経済学者によって政治経済学が用いられる例が増えた。例えば都留重人宮本憲一によるものである。冷戦終結後は、政治経済学という言葉がマルクス経済学の発展的継承という意味で用いられることもある。これは自称であり、実態はマルクス経済学そのもの、という場合も少なくない。

戦間期から戦後にかけて、新古典派以降の経済学とマルクス経済学の何れにも属さない立場や、一方に飽き足らなくなった立場からの研究が政治経済学と呼ばれた。その初期の代表例は、カール・ポランニーによる『大転換』である。現在は環境経済学で参照されることが多い、ウィリアム・カップの『私的企業と社会的費用』も最終的に民主主義論に到達する。さらに、ケネス・E・ボールディングも、『経済学を超えて』の中で経済学から政治学を指向する必要性を説き、独自の政治経済学を構築した。日本でも、経済学史研究から多彩な展開を見せた玉野井芳郎の業績などを政治経済学と位置づける見解も存在する。
国際関係論における政治経済学

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国際関係論における政治経済学は国際政治経済学と呼ばれる。これには次のようなものが含まれる。

自由主義的研究には、ロバート・コヘインジョセフ・ナイによるものが挙げられる。国家の貿易政策や通貨政策などが国際的な貿易や国際金融にどう影響するかを研究する。各国の関係が平等に近いものであることを前提として、その相互依存関係に着目する。

現実主義的研究には、ロバート・ギルピンスティーヴン・クラズナーによるものが挙げられる。

マルクス主義的研究には、従属理論や、イマニュエル・ウォーラーステインによる世界システム論、スーザン・ジョージによる研究が挙げられる。

マルクス主義的研究を環境問題に適用したものをpolitical ecologyと言う。20世紀後半以降、環境問題の顕在化とともに、political ecologyという言葉が使われるようになってきた。political ecologyは単に「政治的なエコロジー」あるいは政治生態学ではなく、political economyのもじりとされるとともに、実質的にも特に従属理論や世界システム論を念頭に置いた意味での政治経済学の環境版とされている。日本ではpolitical ecologyは、政治経済学や環境経済学、政治学よりも環境社会学での紹介・受容が進んでいる。
その他

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社会を政治的・経済的な観点から総合的に分析する研究が政治経済学と呼ばれることがある。ギャリー・ロダン(英語版)によるシンガポールの政治経済体制分析があげられる。
学術雑誌
主流派経済学における政治経済学

Social Choice and Welfare
(英語版)

Public Choice(英語版)

異端派経済学における政治経済学

Cambridge Journal of Economics
(英語版)

Review of Radical Political Economics(英語版)

国際関係論における政治経済学

International Organization
(英語版)

Review of International Political Economy(英語版)

脚注^ Torsten Persson and Guido Tabellini, Political Economics: Explaining Economic Policy, MIT Press, 2000, 2-3.
^ 宇仁宏幸, 坂口明義, 遠山弘徳, 鍋島直樹『入門社会経済学―資本主義を理解する』、ナカニシヤ出版、2004年、1-3頁。

関連項目

政治経済学 (日本)

典拠管理データベース: 国立図書館

ドイツ


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