政治学(せいじがく)は、政治を対象とする学問分野。政治学の研究者を政治学者と呼ぶ。
日本では主に法学部で研究、教育が行われているが、法学部とは別に学部を立てて政治経済学部で教えている大学もある。
大別すると広義の政治哲学と広義の政治過程論の二領域にわたるが、狭義には政治過程論のみを指す。 日本語では政治学の名称が定着している。中国語や朝鮮語でも同様である。 フランス語やドイツ語などの「politologie」は、漢語の「政治学」にほぼ対応する。英語にも「politology」という単語があるが、殆ど全く使用されない。従って、英語には相当の表現が存在しないが、主に「political science」(直訳では政治科学)と訳される他、「political studies」や単に「politics」とも訳される。政治学が科学なのかについては英語圏ですら見解が分かれており(後述)、現在でも一部には「political science」という表現を避ける向きもある。フランス語でも「Science politique」、ドイツ語でも「Politikwissenschaft」という表現が存在する。 政治とは、人間集団、とくに国家や国家間における権力(パワー)の配分やその行使のされ方をめぐる事象であるという見解が20世紀以降、とくにアメリカ合衆国を中心に有力なものとなっている。このような見方の代表例として、デイヴィッド・イーストンによる、政治とは「社会に対する希少価値の権威的配分」という著名な定義がある[1]。ここでいう「価値」とは富(貨幣)や天然資源、名誉、食糧など、広く誰もが必要としておりながら、全員に等しく、必要としている分だけ配分できるほどには量のない(これを「希少性」という)ものの総称であり、権力そのものも希少な価値に含まれる[1]。 他方で、政治とは、対立する利害を調停し、人々の集合体における取り決め、決定を行うことであるとも定義される。すなわち権力と利害対立は政治学の中心的なテーマである。しかし、これら(権力および利害対立)の概念については必ずしも明確でない部分がある[注釈 1]。 政治については2つの主要な見解がある。 また政治の基本的性質については2つの主要な見解がある。 政治研究としての政治学は、さまざまな公共政策の内容とその目的を対象としており、個々の具体的政策の検討から、それらが含まれている一連の包括的政策、政策プロセスなどを研究するものである。 サイモンによれば、このような公共政策の構造は一般に政策の目的と手段の連鎖からなるピラミッド構造で把握される。このピラミッド構造において、その頂点に近づくにつれ、より漠然として抽象的な価値の領域、すなわち政治の道徳的基礎や倫理的当為を必然的に考察の対象とするようになる。したがって政治学の下位領域として政治思想も主要な対象として成立する。 政治学が一つの学問領域(ディシプリン)として認識された19世紀末以降、政治学は科学的手法を採り入れ科学化してきたと言える。それまでの政治に関わる研究の手法は、哲学や歴史学、或いは法学といった他の学問領域に由来するものであった。そこでは政治史の研究に見られるように政治現象を記述することや、政治哲学もしくは制度論に見られるように政治の望ましいあり方を研究することに重点が置かれた。
名称
定義と特徴
国家などの機構の働きとして政治を捉える見方(機構現象説)
社会的または集団的行動による機能的行為現象とする見方(機能現象説)
正義の実現や市民的自由の保証、福祉の増進などといった政治の目的に着目する立場(イェリネックに代表されるドイツ国家学やアメリカ合衆国の制度論的政治学が古典的である。)
権力闘争や「支配-被支配」の関係といった政治的意志決定や合意の形成に不可避に伴う力の契機に着目する立場(主に社会学的観点から、政治を影響力として捉える説があり、ウェーバーやラスウェルに代表される。)
科学としての政治学
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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