政府開発援助
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日本は国際連合世界食糧計画 (WFP)、国際連合開発計画 (UNDP)、国際連合児童基金 (UNICEF)、世界銀行 (IBRD)、アジア開発銀行 (ADB) などの国際機関に資金を拠出して、多国間援助を行っている。
2015年の政府開発援助大綱(ODA大綱)とOOF(Other Official Flows).mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースにODA大綱(2015年)の原文があります。

ODA大綱は、政府開発援助(ODA)に関する基本理念や重点事項などに関する政府の指針である。1992年宮澤喜一内閣が閣議決定し、第1次小泉純一郎内閣2003年8月に改訂し、さらに第3次安倍内閣2015年2月に改訂して、現在の大綱となった。

最終版では、ODAとOOF (Other Official Flows、ODA以外の公的資金)との連携に関する事項が追記された。ただし、OOFも公的資金に基づく支援であることには変わりないと見られる。

なお、軍事装備に関する支援は長年に渡ってDAC国によるODA支援の対象外とされており、OECDはODA受取国に対して次のことを伝えている。

Military aid: No military equipment or services are reportable as ODA. Anti-terrorism activities are also excluded. However, the cost of using donors’ armed forces to deliver humanitarian aid is eligible.[16]

軍事援助:いかなる軍事装備・軍事サービスもODAとして報告することはできない。反テロ活動も除外される。ただし、人道援助の送達のために支援供与国の軍隊を使用する費用は認められる。

こうした規定があるものの、2016年には日本からベニグノ・アキノ3世政権下のフィリピンに対し自衛隊機が有償で貸与された[17]
援助実施の原則

ODAが貧困な発展途上国であれば、どの国にでも援助できるかといえばそうではない。
援助の選定となる基準と呼ぶべき4原則がある

国際連合憲章の諸原則(特に、主権、平等及び内政不干渉)及び以下の諸点を踏まえ、開発途上国の援助需要、経済社会状況、2国間関係などを総合的に判断の上、ODAを実施するものとする。
環境と開発を両立させる。

軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する。

テロ大量破壊兵器の拡散を防止するなど国際平和と安定を維持・強化するとともに、開発途上国はその国内資源を自国の経済社会開発のために適正かつ優先的に配分すべきであるとの観点から、開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払う。

開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。

(以上、外務省のサイト『政府開発援助大綱』[2] から)
日本のODAの変遷
戦後復興時代

日本は敗戦後の1946年から1951年の間に、アメリカの「占領地域救済政府資金」 (GARIOA) と「占領地域経済復興資金」 (EROA) から約18億6000万ドルのODAを受けた[18](1973年完済)。カナダメキシコチリブラジルアルゼンチンペルーなどからも生活物資や食料などが援助された。1953年には、世界銀行から多国間援助である有償資金を使用し、東海道新幹線東名高速道路黒部川第四発電所などを建設(1990年に完済)。こういった経験から現在の日本の政策が、ダム建設などのインフラ整備に重点を置いているとも言われる。
ODA拠出側へ

日本からODAを拠出したのは、
1954年ビルマと結んだ「日本・ビルマ平和条約及び賠償・経済協力協定」での賠償供与が初めてである。その後、フィリピンインドネシアと経済協力は続いていく。

1960年代高度経済成長期に入ってから、徐々に現在のODAの体系に近づき、拠出額も増大していく。

1961年アメリカ合衆国によって主導的に設立された開発援助委員会 (DAC) に、1963年参加する。

1964年には経済協力開発機構 (OECD) に加盟。

1966年にはアジア開発銀行を発足。

1974年には国際協力事業団 (JICA) が設立される。

1992年、ODA大綱が閣議決定される。

2000年の国連ミレニアム・サミットが、極度の貧困・飢餓の撲滅を目指し、1日1米ドル未満で暮らす人々の数を2015年までに半減させることを約束した。

2000年のODA拠出額は、約135億ドルで日本は世界第1位の拠出額であった。この頃は毎年1兆円あまりを様々な国に供与していた。

2007年のODA拠出額は、約77億ドル(約7,800億円)であり、これは金額ベースにおいて、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスに続き、5位である。ただし、日本は国民総所得(GNI)の母体自体が大きいため、ODA拠出額がGNIに占める比率での国別比較では更に低い順位にある。

最近のODA実績の推移に関しては外務省OECD/DACにおけるODA実績[19]を参照。
日本のODAの特色と昨今の傾向

日本のODAの特徴としては、以下の点が挙げられる[20][21]
贈与比率の低さ

日本のODAは、贈与ではなく、被支援国が返済を要する円借款の比率が高い。これは、日本がODAの被支援国から支援国へと移行していくに際し、贈与を行うだけの財源がなかったことに加え、ハードインフラの整備へ向けた低利融資によって日本の輸出市場を拡大していくという政策目的も背景にあったとされる。また有償の円借款協力は「借りたものは必ず返す」という意味で、日本の援助哲学でもある「自助努力」を促すことになり、途上国の自立の精神を涵養するという一面を持っている。欧米の原則無償の援助は、「人道」を前面に出しているものの、往々にして依存心を産んで、自立の精神を阻んでいるとも指摘されている[22]
ハード支援比率の高さ

日本のODAは、道路鉄道発電所インフラストラクチャー整備の占める割合が大きい。多くの日本人が『ODA』と聞いて連想するのも、こういった支援形態である。このようなハードインフラ整備を巡っては、多額の受注費を巡って政治家と日系企業が癒着し、仲介業者が不当に多額の報酬を取得しているとの指摘がある。ただ、2000年代以降は、請負企業を日本企業に限定する『タイド(いわゆる紐付き援助)案件』の割合は大幅に低下し、2001年時点で20%を下回っている上、日系企業の受注率も低下している。また、ハードインフラの整備自体は、被援助国の経済発展とそれに伴う貧困削減のために重要とされ、世界銀行や開発援助委員会(DAC:Development Assistance committee)も、こういったハードインフラ整備支援という手法を評価している。

一方、人材育成や法律・制度構築や教育を中心に、ソフト面での支援に力を注いでいく考え方が強まっている。これは、ハードインフラに偏向しているとの批判をかわすという側面もあるものの、日本国政府レベルではなく、各個人レベルに確実に援助を届けようという「人間の安全保障」や、被援助国に民主主義法の支配、政府の透明性や公務員の汚職を撲滅しなければ、経済成長、貧困削減も十分に達成されないという「良い統治(Good governance)」といった、国際的な援助理念の登場も背景にある。

ソフトインフラ整備支援の代表例としては、経済発展や民主主義の基盤となる基本法や経済法の起草支援、裁判所などで、法令の運用・執行に関する支援を行う法整備支援が挙げられる。近年日本に限らず、世界各国が法整備支援に力を注いでいる。
アジア中心

日本のODAは、アジアに対するものが大きい。


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