放送法
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基幹放送は基幹放送局提供事業者が保有・運用する放送局設備を利用し、放送法による認定を受けた認定基幹放送事業者が行うことを基本とするが、地上基幹放送に限り、2010年改正前と同様に自己保有する放送局設備を用い電波法による無線局免許を受けた事業者である特定地上基幹放送事業者が行うこともできる。
一般放送事業者
基幹放送事業者以外の放送事業者をいう。具体的には東経110度旋円偏波を除く衛星放送有線テレビジョン放送有線ラジオ放送およびエリア放送を行う事業者である。これらの内、衛星放送および一定規模以上の有線テレビジョン放送については総務大臣の登録を受ける必要があるが、これ以外は総務大臣または都道府県知事への届出ですむ。従前の届出先は総務大臣のみであったが、2016年4月[1]より、同一都道府県内で基幹放送の再放送をするのみの事業者の届出先は総務大臣から都道府県知事となった。
有料放送事業者
文字通り、有料視聴契約を結んだ視聴者に限定した番組の放送を行う基幹放送事業者、または一般放送事業者をいう。なお同じ第7章では有料放送の視聴契約によらない受信を禁じている(第157条)が、放送法上で放送を受信している、または受信しようとする側に課している規定は、同条以外では第3章(日本放送協会)の放送受信契約の締結義務(第64条第1項及び第4項)のみである。
その他の事業者

放送法において放送に関連する事業者として、基幹放送局提供事業者、有料放送管理事業者認定放送持株会社及び放送番組センターについても規定している。
基幹放送局提供事業者
第117条ほか。2010年の改正において旧受託放送事業者が放送事業者の定義から外れた。この内、衛星基幹放送・移動受信用地上基幹放送に係る放送局を保有・運用する者を放送法上に残し、かつ従来の地上波放送のハード・ソフト事業者分離を可能とするべく、地上基幹放送に係る基幹放送局供給業務を行う者を追加したものである。なお、一般放送の旧受託放送事業者については、旧衛星役務利用放送に係る電気通信役務提供事業者と統合され、電気通信事業法や電波法によって規制する体制へ移行している。
有料放送管理事業者
第152条ほか。多数の有料放送事業者と視聴者の契約を媒介する事業者。1990年代から放送関連法令の規制対象とならない同種事業者が存在していたが、衛星放送の有料多チャンネル化が進み、放送施策上重要な立場となってきたことから、2007年の改正で新たに盛り込まれ、総務大臣への届出が必要な事業となった。
認定放送持株会社
第159条ほか。有料放送管理事業者の規定と同時に法成立し、総務大臣の認定により従来のマスメディア集中排除原則を緩和、複数の放送事業者を支配する純粋持株会社の設立を可能とした。
放送番組センター
第167条ほか。総務大臣が放送番組センターに指定する1団体を、放送番組の収集・提供等を行う業務に充てさせることができる。
改正

廃案となった、主要な改正案についても記載する[2]
1952年改正

受信契約の締結義務をテレビ放送にも拡大

1953年改正案

廃案となった。

NHK経営委員会の地域制の廃止

NHKに対する郵政大臣の監督権限の強化

1959年改正案

民放の新規開局が盛んだった時期であり、番組規制のあり方が変更された。

番組調和原則の導入

放送番組審議機関の新設

NHK経営委員会・役員に関する規定の整備

放送番組供給に関する協定の制限

1966年改正案

廃案となった。

放送法の目的に「教育の目的の実現と教養の向上」を追加

NHK・民放の併存を明文化

NHK・民放の共同で放送世論委員会を設置

受信料支払い義務化

民放の事業免許制を導入

1967年改正

ラジオ放送の受信契約・受信料を廃止

1968年改正案

1968年に小林武治郵政大臣が放送法の改正案を明らかにしており、NHK会長の政府任命制、NHK受信料の政府認可制、放送局に対し勧告権をもつ「放送世論調査委員会」の設置、民間放送の事業免許制(1968年現在は施設免許制)などが含まれていた[3]が、政治問題化して実現しなかった。
1982年改正

テレビ放送に
音声多重放送文字多重放送を導入

赤字体質改善のため、NHKが民間企業に出資することを許可(営利事業の一部解禁)

外資規制の導入

災害放送の義務づけ

1987年改正

カナダ放送協会ラジオ・フランス・アンテルナショナルとNHKの八俣送信所との、中継国際放送(国際放送送信設備の相互利用)を可能に

1988年改正

全般にわたる見直しを行った。

番組編集に関する条項を、NHK・民放の両方に適用

放送番組審議機関の設置義務の除外規定を作成

番組調和原則の適用範囲を限定

1989年改正

衛星放送(CS放送)の開始に伴い、受託放送事業者委託放送事業者を導入

NHKの業務委託に関する規定の整備

放送番組センターを法的に位置づけ

1990年改正

難視聴解消を目的とした、受信障害対策中継放送の整備

1995年改正

訂正放送・取消し放送の請求期間を延長

1997年改正

字幕放送を推進するため、努力義務を規定

放送番組審議機関の機能強化

1998年改正

BSデジタル放送に備え、NHKの業務に委託国内放送業務を追加

1999年改正

データ放送の実施を可能にするため、テレビ放送の定義を変更

2005年改正

外資規制の実効性を高めるため、間接出資規制を導入

2007年改正

2001年放送の「シリーズ「戦争をどう裁くか」第2夜「問われる戦時性暴力」」をめぐる紛糾を前提に、日本放送協会が制作する番組の内容を監視するために、NHK経営委員会の監督を強めようとした与党原案に対して、民主党が反対して削除、また、経営委員会の個々の編集への介入を禁止。また、日本国政府が国際的地域を指定した「命令放送」ができたのを「要請放送」「邦人の生命、財産の保護、国の重要な政策にかかる事項」と狭く規定した。その他、インターネット、ワンセグ放送、地上デジタル放送への法律対応など[4]

NHK関係のガバナンス強化、番組アーカイブの提供、命令放送制度の見直し

国際放送「NHKワールドTV」の制度化

認定放送持株会社制度の導入

有料放送管理業務の制度化

2009年改正

地上デジタル音声放送に備え、携帯端末向けマルチメディア放送に関する制度を整備

電波利用料地上デジタルテレビ放送の整備に活用することができるようにする

2010年改正

2010年(平成22年)3月5日鳩山由紀夫内閣閣議にて「放送法等の一部を改正する法律案」が決定された。この案では放送関連4法(放送法、有線ラジオ放送法、有線テレビジョン放送法、電気通信役務利用放送法)が新たな「放送法」として統合され、「放送」の定義自体も変更するなど、通信・放送法体系の見直しを60年振りに行うことになった。第174通常国会では衆議院通過も参議院審議未了のまま会期満了により一旦廃案となったが、同年10月に菅直人第一次改造内閣が同文のまま改めて閣議決定し、第176臨時国会へ提出した。

そしてNHKの経営委員会にNHK会長を加えるとの規定の削除や、同じ資本が新聞やテレビなど複数のメディアを支配する「クロスメディア所有」規制の見直しに言及した附則の削除など、修正案に与野党が同意した上で[5][リンク切れ]、11月26日に改正が成立[6][リンク切れ]。


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