放線菌
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriaeはジフテリア毒素を産生し、真核細胞タンパク質合成を阻害しアポトーシスを誘導する[7]

マイコバクテリウム属(Mycobacterium)ヒト結核菌 Mycobacterium tuberculosis、らい菌 Mycobacterium leprae などがマイコバクテリウム属に含まれる[8]。牛の結核菌であるBCG菌 Mycobacterium bovisも含まれる。

ロドコッカス属(Rhodococcus)ロドコッカス属は土壌、海中など環境中に広く存在している[9]

プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)プロピオン酸産生菌は、グルコースから乳酸プロピオン酸酢酸を産生する。アクネ菌はにきびの原因菌である[9]

ストレプトマイセス属(Streptomyces)放線菌は特に抗生物質を生産する菌が多いので重要である[4]。抗生物質生産菌の大部分が放線菌に属し、特にストレプトマイセス属(ストレプトマイシンの名の由来)に多い。ストレプトマイシン生産菌、カナマイシン生産菌などがこの属に含まれる[10]。抗生物質の7割がこの属からで、ストレプトマイシンカナマイシンテトラサイクリンエリスロマイシンリファンピシンブレオマイシンバンコマイシンなど[6]

マイクロコッカス属(Micrococcus)マイクロコッカス属は好気性でほとんど病原性を有さない。

フランキア属(Frankia)フランキア属はヤマモモグミなどの根に共生窒素固定を行う[11]

ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)ヒトなどの腸内細菌であるビフィドバクテリウム属(いわゆるビフィズス菌)も放線菌類に分類され、ヨーグルトなどの食品整腸剤に利用されている。

感染症

口腔、咽頭、腸管の常在菌であることから、放線菌症と呼ばれる慢性の化膿性肉芽疾患を発症することがある[12]

ヒトでの好発部位は頸部、顔面、副鼻腔[13]で全体の半数を占めるとされる[14]が、[14][15]、腹部(腸管[16])では急性虫垂炎、消化性潰瘍、腸憩室穿孔に併発することもある[17][18]。しかし、抗生物質の乱用から発症頻度は減少し、典型的な臨床症状を呈さない症例が増加していると指摘されている[19]

ヒトに対し病原性を及ぼす嫌気性放線菌は少なくとも Actiomyces (以下A.と略す)israelii, A. naeslundii, A. viscosus, A. odontolyticus, Arachnia propionica (→ Pseudopropionibacterium propionicum に再分類されている)の5種類とされる。特に病原菌として問題となるのものは アクチノマイセス属の A. israelii である。A. israelii は自然界からは分離されず、健康人の口腔、う蝕を生じている歯(う蝕)、歯垢、扁桃窩等に常在細菌叢として生息している。放線菌活性化の要因として、免疫力低下、他の菌による感染症、抜歯、顎骨骨折、外傷[20]などがあげられる[12]、誤嚥された魚骨片が原因となる事も有る[17]

確定診断は培養により細菌学的な証明によって行われるが、嫌気性で有るため検出が難しく、且つ既に別の疾患や外科手術で抗生物質を使用している場合は検出が困難な場合があるが、病理組織学的検査(顕微鏡検査)により確定が可能である[12]

治療は、ペニシリン系抗生物質が多く使用されるが、セファロスポリンなどのセフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質カルバペネム系抗生物質[21]ニューキノロン系抗生物質も使用される[12]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:46 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef