放射能
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一般に放射性物質の単位時間あたりに放射性崩壊する原子の個数(放射性崩壊の速さ)を、その放射性物質の放射能(activity)と呼び、単位としてはベクレル(Bq [s?1])が用いられる[注釈 7][注釈 8]。またベクレル以前に用いられていた単位であり、現在補助単位として用いられているキュリー (Ci) と呼ばれる単位もある。詳細は「半減期#放射能 (activity)」を参照
ベクレル (Bq)


放射性物質が1秒間当たりに崩壊する原子の個数 (d/sec) の単位をベクレル(記号:Bq)と言う[注釈 9][注釈 10]。毎秒壊変(崩壊)数 (dps ; decay per second) などとも呼ばれていた[注釈 11][注釈 12]。詳細は「ベクレル」を参照
キュリー (Ci)(補助単位、旧単位)
歴史的な理由から、放射性物質であるラジウム 1 g が1秒間に崩壊する原子の個数(d/sec , Bq)をもとに定められた放射能の単位をキュリー(記号:Ci)と言う[注釈 13]。1Ci(キュリー)はベクレル (Bq) を元に以下のように定められる。1 Ci = 3.7×1010 Bq (370億ベクレル)また、1ベクレルは2.7×10?11キュリーである[7]。なお、キュリーは現在でも補助単位として使用されている。詳細は「キュリー」を参照
放射能の測定

放射能(ベクレル)を直接測定することは難しいので、測定対象物から発する放射線の数やエネルギーを測定して、間接的に放射性物質の量(ベクレルと質量は対応する。比放射能も参照)を求める方法を採ることが多い。

α線の測定には、液体シンチレーションカウンタや硫化亜鉛シンチレーション検出器半導体検出器[8]が用いられる。

γ線の測定には、Ge半導体検出器NaIシンチレーションカウンタが用いられる。

表面汚染を検出するには、ガイガー=ミュラー検出器が用いられる。

放射線障害とその防護

放射線を浴びることを被曝という。被曝線量によっては放射線障害と呼ばれる影響が身体に現れることがある。被曝は大きく外部被曝と内部被曝に分類される。外部被曝を防ぐには、遮蔽、距離、被曝時間が重要である[注釈 14]。「放射線#放射線障害とその防護」、「放射線障害」、および「被曝」も参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日常会話やマスコミ等において「放射能を浴びる」「放射能に汚染される」などの誤用が一般に定着し常用されている。ここでいう「放射能を浴びる」とは放射性物質から放出される放射線を浴びることを意味し、「放射能に汚染される」とは放射性物質に汚染される事を意味している。
^ なお、原子核は電気的に中性な中性子と正電荷を持つ陽子からなる。中性子と陽子を合わせて核子と呼ぶ。
^ あくまで原子核の種類を核種というのであって、単に核種といった場合は放射能を持たない安定同位体も含まれている[2]
^ ウランやトリウムといった自然界に存在している原子核の放射能を天然放射能といい、核爆発や原子炉などの核反応で人工的に作り出されたプルトニウムやセシウムの一部の同位体などの放射能を人工放射能ということもある[3]
^ 1896年にアンリ・ベクレルにより発見され、マリ・キュリーにより命名された[4]
^ 原子力電池ではこの熱エネルギーを電気エネルギーに転換して利用する。
^ 放射能は壊変毎秒 (decay per second ; dps) または壊変毎分 (decay per minutes ; dpm) で表されることもある。
^ 放射能研究の当初は標準単位がなくアーネスト・ラザフォードも独自の単位を使用していた。そこで、標準となる単位の必要性を感じていたラザフォード自身が基準委員会の委員長となり、1910年の第一回国際放射線学会にて 1 g のラジウムが持つ放射能を単位とした1キュリー (Ci) が定義された。その後、1974年にSI単位として国際度量衡総会でベクレルを採択し1975年から国際標準として用いられている。日本においては法改正がなされた1989年からベクレルが公式使用されている。
^ たとえば、ある物質が 1 Bq の放射能を持つとは毎秒 1 個の原子が放射性崩壊により崩壊しているということである。
^ 1 kg あたりの放射能として比放射能という目安もある。詳細は「比放射能」を参照
^ ただし、原子核が崩壊する時に放射線を放射するが、1個の原子核が崩壊するときに1個の放射線が出てくるとは限らない。さらには、出てくる放射線の種類やエネルギーなどの確率が異なることがある。この確率を分岐比という[5]
^ なお、ある物質が 1 モル (mol) だけあれば、それを構成する分子の個数はアボガドロ定数 NA = 6.02214129 × 1023 個である。
^ ただし、毎秒370億個のラジウム原子が崩壊(3.7×1010Bq)してアルファ粒子を放出するという値は古い値であり、現代における正確な値は3.61×1010Bq である。そのため、放射能の単位としてのキュリー (Ci) と放射性物質のラジウムの間に直接の関係はなくなってしまった。[6]
^ 放射線障害を防止するため、法令により、人体が被曝する放射線の量(線量)に限度が設けられており、放射性物質を取り扱う場合はこの値を超えないようにする必要がある。また放射性物質を取扱う施設の仕様、放射性物質の購入・保管・廃棄の管理、汚染の管理、管理被服や放射線防護服、保護具の着用も法令や施設の内規で定められている。

出典^ 草間(2007) p. 99.
^ J.E.BRADY・G.E.HUMSTON著 『ブラディ一般化学 下』若山信行・一国雅巳・大島泰郎訳、東京化学同人、1992年、863頁。ISBN 4-8079-0348-9
^ 長倉三郎ほか編、『岩波理化学辞典 』、岩波書店、1998年、項目「放射能」より。ISBN 4-00-080090-6
^ 物理学辞典編集委員会編、『物理学辞典三訂版』、培風館、2005年、項目「放射能」より。ISBN 4-563-02094-X
^ 大塚徳勝・西谷源展 『Q&A放射線物理 改訂新版』、共立出版、2007年、152-155頁。ISBN 978-4-320-03453-2
^ 原子核工学(1955) p. 23.
^ 大塚徳勝・西谷源展 『Q&A放射線物理 改訂新版』、共立出版、2007年、152-155頁。ISBN 978-4-320-03453-2
^ “ ⇒アルファちゃん”. 2012年10月22日閲覧。[リンク切れ]

参考文献

日本アイソトープ協会(編) 編『放射線・アイソトープ 講義と実習』丸善、1992年。 

Raymond L.Murray 著、杉本 朝雄(訳) 編『原子核工学』丸善、1955年。 

草間 朋子(編) 編『看護実践に役立つ放射線の基礎知識―患者と自分をまもる15章』医学書院、2007年。 

関連項目

半減期

放射能の比較

放射線

被曝

放射線障害

広島市への原子爆弾投下

長崎市への原子爆弾投下










放射線
単位

放射線量の単位

放射能の単位

測定

放射線・放射能計測機器


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