放射性降下物
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^ 船員は多量の放射性降下物を被曝したと日本人医師団は主張したが、米国側は「放射能よりもむしろサンゴの塵の化学的影響」として放射線障害を否定した。
^ 日本においては、原子力防災の際の体制については『 ⇒原子力発電所等周辺の防災対策について』で決められている。
^ 核分裂生成物は、中程度の質量数を持つ核種からなり、重いウラン235プルトニウム239の原子核核分裂反応で分裂したときに生じる。核分裂では300を越える種類の核分裂生成物が生じる。これらの多くは、それぞれ大きく異なる半減期を持った放射性同位体である。半減期が非常に短い(1秒以下)核種もあるが、数ヶ月から数年間におよぶ半減期を持つ核種もある。これら核種の崩壊モードは主にベータ崩壊ガンマ崩壊である。
核爆発では核出力1キロトンにつきおよそ60gの核分裂生成物が生じる。爆発から1分後のこれら核分裂生成物の推定放射能は、1.1×1021Bqであり、子孫核種と平衡状態にあるラジウム3万トン分の放射能と等しい。半減期の短い核種ほど、無害な核種に落ち着くまでの時間は短いが、短時間に多量の放射線を放つため単位量あたりの危険度は高い。
^ 核兵器は核分裂性物質をすべて分裂させるわけではない。連鎖反応によって爆発的に生じるエネルギーは、反応中心の周辺にある核分裂性物質に連鎖反応が伝播する以前にこれらを吹き飛ばしてしまうからである。このため多くのウランやプルトニウムは核分裂せずに爆発で分散される。このような核分裂に寄与しなかった核物質は、主にアルファ粒子を放射して崩壊する。アルファ粒子は空気中では数センチメートルから数メートル程度の飛程しかなく、物質を通り抜ける力が小さいため、その発生源が環境中にある場合の危険度は低い。しかしこれらが生命体の中に取り込まれると、アルファ粒子が体内組織を直撃するために重篤な症状を招くことになる。これを内部被曝という。なお、ウラン・プルトニウムは、放射毒性はあるものの、砒素や青酸化合物といった代表的な毒物と比較して生化学的毒性はそれほど強くないといわれている。これらは空気中の酸素と速やかに反応し、粉末状になって周囲を汚染する。この粉末がひとたび気流に乗れば、何千キロメートル先までも拡散しつつ汚染範囲を広げる。核分裂生成物と異なり、これらの半減期は非常に長く、また最終的に放射線を放たないに落ち着くまでには数千億年を超える期間を要する。その期間の長さは地球の歴史(約46億年)や太陽の寿命(約50億年)をも凌駕しており、太陽系が滅亡しても無害化せず、人類の感覚でいうと「永遠」である。
^ 原子核が中性子束に曝露され、中性子を捕獲して中性子過剰核となった場合、放射能を持つ核種に転換される。これを放射化といい、出来た放射能を誘導放射能という。それは安定同位体になるまで様々な放射性崩壊を繰り返する。初期の核反応の放射線の一部として放射された中性子は、核兵器を構成する物質の残余を放射化する。その組成と中性子線バーストからの距離にもよるが、核爆発周辺の環境中に存在する物質の原子(例えば土壌大気)が放射化される。例えば、爆心地周辺の狭い地域は、地中の鉱物が初期の中性子線に曝露することにより放射化する。これは、地中のナトリウムマンガンアルミニウム珪素が中性子を捕獲することに起因する。影響される範囲が狭いが、核爆発直後に爆心地に外部から入った者は、核分裂生成物だけではない、これらの放射化された物質、誘導放射能からも被曝する[1]

出典^ a b 服部(2001)
^ 草間(1995) p.68
^ a b “ ⇒ネプツニウム-237(237Np)”. 原子力資料情報室. 2018年3月2日閲覧。
^ “Neptunium-237 production from atmospheric nuclear testing”. IAEA. 2018年3月2日閲覧。

参考文献

服部武志(監修) 編「項目「放射性降下物」」『物理事典』旺文社、2010年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-01-075144-2。 

草間 朋子、甲斐 倫明、伴 信彦『放射線健康科学』杏林書院、1995年。
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