諸外国では、陪審が誤った評決に至る可能性があるとして、無条件の上訴権を保障しているところが多いが、イングランド・ウェールズではそのような無条件の権利はない。 控訴院刑事部は、1848年に設立された指定刑事事件裁判所 (Court for Crown Cases Reserved) の後を引き継ぐものである。一審の裁判官は、更なる審査を要する法律問題があると考える場合は、同裁判所の判断を受ける事件を指定することができた。 1907年に、同裁判所に代えて刑事控訴院 (Court of Criminal Appeal 控訴院刑事部からの上訴(上告)は、貴族院に行うことができる。そのような上訴は、控訴院刑事部又は貴族院の許可が必要なのに加え、控訴院は、貴族院によって判断されるべき、社会的重要性を有する問題を照会 (certify) しなければならない。これは、控訴院が上訴(上告)の対象となる事件をコントロールできるということを意味する。 ただし、社会的重要性を有する問題についての照会は、必ずしも上訴の許可を与えることを意味しない。例えば、"powered water craft"が船舶 ("ship") に当たるか否かという問題に関するR v Goodwin事件では、控訴院は多くの法律問題の照会を行ったが、控訴院も貴族院も上訴の許可を与えたわけではなかった。
歴史
再上訴
脚注[脚注の使い方]^ Criminal Appeal Act 1968, Section 2
^ Section 23 Criminal Appeals Act 1968.
参考文献
Gavin Drewry, Louis Blom-Cooper, Charles Blake, The Court of Appeal (Hart Publishing 2007) ISBN 1-84113-387-6
清野憲一「英国刑事法務事情(54)?」刑事法ジャーナル(成文堂)56号?(2018年?);控訴院刑事部による2017年12月以降の全判例要旨を紹介
外部リンク
控訴院刑事部ホームページ
控訴院民事部ホームページ
England and Wales Court of Appeal (Criminal Division) Decisions
England and Wales Court of Appeal (Civil Division) Decisions