探偵
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日本の探偵業における待遇等は、労働法に規定する使用者・事業主にあたる探偵業を営む代表者、労働法に規定する労働者であるかで変わってくる。

労働法に探偵業を適用除外とする規定がないことから、労働契約を締結し、賃金の支払いを受けて業務に従事する者は労働者であり、使用者・事業主は労働法で規定される給与・休日・福利厚生を最低限保証しなければならない。また、女性の雇用も増加傾向にあり、男女共同参画社会基本法その他関係法令に基づき、男性同様の待遇等を受け、業務に従事している。

また、探偵業法11条及び探偵業法等の解釈運用基準第11に基づき、探偵業務に従事する労働者を雇い入れた探偵業者は義務の履行を担保するために教育計画書を作成し、同計画書に従い、探偵業法、個人情報保護法、関係法令、調査方法、資料、情報の取扱い方法等の教育を実施し、教育実施記録簿に記録をしなければならない。
調査料金

日本において、探偵業者が行う調査の料金は、探偵業界として料金体系を統一することは独占禁止法2条6項に規定する「不当な取引制限」にあたるため、業界団体が目安の料金を表示したり、料金について会員に指導したりすることはできない。探偵業者それぞれにおいて料金基準を設け、調査の実情に合った見積りを行う。

金銭の支払い時期及び方法等は探偵業法8条(重要事項説明)に基づき、調査内容、調査方法、調査料金、調査期間、契約の解除等を依頼者へ書面を交付して説明しなければならない。

景表法特商法消費者契約法に探偵業者を適用除外とする規定はなく、探偵業者が契約を締結する際は、これらの法律による規制を受ける。
行政処分

探偵の業務の適正に関する法律13条(立入検査)に基づき、各都道府県の警察では定期的な立入検査で、法令で定める帳簿、書類その他物件を検査をすることができる。同法14条(指示)では探偵業法その他法令に違反した場合において、当該探偵業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。同法15条に基づき、都道府県警察では行政処分(営業停止、営業廃止)を受けた探偵業者の名称をホームページ上で公表している。これにより、悪質な探偵業者の排除と探偵業者の適正化を図っている。
日本における問題点

日本における探偵は、探偵業法による規制こそあるものの基本的には届出制であり、その能力について公的な保証はない。また、探偵の利用者の中にも、探偵の悪用を目論む者もある。そのため、下記のような問題が発生している。
犯罪目的での依頼

ストーカーなどの犯罪者が、標的となる被害者について、探偵を利用してその居所を把握することがある。2012年に発生した逗子ストーカー殺人事件のように、個人情報を入手した探偵のストーカーへの情報提供により、殺人事件にまで発展したケースもある。探偵業法により利用者は依頼に当たって犯罪や違法行為に用いない書面の提出を要するが、利用者側が嘘をつくなどした場合には探偵側も利用者の目的を見極めることは難しく、利用者について公的機関への照会を可能とする法整備の必要性を訴える声もある[10]
消費者被害

特定企業を相手方とする先物取引等で損害を被った者に対し、「自己に調査を依頼すれば損害を取り戻せる」と勧誘し、実際には損害の取戻しが見込みがないのに依頼をさせたり、新たな調査を行わずに多数の依頼者に既存の資料を使いまわしたり、成果が出ないとして追加調査費用の支払を迫る探偵業者の例もある。消費者庁消費者安全法に基づき公表した事例もある[11][12]
業界団体・企業・著名な探偵詳細は「en:Category:Detectives」および「Category:探偵に関する組織」を参照
国際探偵協会

World Association of Detectives 世界探偵社協会
(通称"WAD")

Association of British Investigators イギリス調査組合(通称"ABI")

COUNCIL OF INTERNATIONAL INVESTIGATORS 国際調査協議会(通称"CII")

日本の探偵協会

日本の調査業協会の一覧を参照。

フィクションの探偵「Category:架空の探偵」および「名探偵」も参照

探偵を主人公とする小説は欧米の探偵小説がルーツで、事件捜査の中心人物とされることが多く、名探偵とも呼ばれる。

日本では、主人公が探偵業務を行う小説は、かつて「探偵小説」と呼ばれたが、推理をする人間が必ずしも探偵を職業にしているとは限らないため、現在は「推理小説」と呼ばれている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日常的には、「the private eye」とも。
^ 現在のパリ警視庁の前身。
^ 注 - ヴィドックのこの数奇な人生が、コナン・ドイルに「シャーロック・ホームズ」の着想を、またヴィクトル・ユゴーに『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン(英語版)や彼を追うジャベール(英語版)の着想を与えた、とも言われる
^ 免許制になっている州では、探偵の免許はたとえば3段階に分けられており、消費者との商談が許される最上位の免許については取得に5年以上かかる[要出典]。
^ 警察官は法律で職務内容や権限が定められる。また、公務で知ったことを私的に金銭目的で使用してはならない、と関連法で定められることが一般的である。さらに、警察官は警察学校を卒業し“法に遵い正しく職務執行します”と宣誓していることが多い。職務絡みの違法行為を為した者はこの宣誓にも背くことになり、処罰や人事処分を受ける。

出典^ a b c d e f 『スーパーニッポニカ』「探偵」。梶龍雄 執筆担当。
^ INC, SANKEI DIGITAL (2013年10月18日). “【関西の議論】「探偵」も受難の時代…「尾行」は「正当業務」か「つきまとい」か、大阪では異例訴訟が係争中(1/4ページ)”. 産経ニュース. 2023年6月30日閲覧。
^ a b Morn, Frank (1982). The Eye That Never Sleeps: A History of the Pinkerton National Detective Agency. Bloomington: Indiana University Press. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 0-253-32086-0  p. 192.
^探偵の日 社団法人探偵協会、2017年1月27日閲覧。
^ファミリーヒストリー「さだまさし?スパイだった祖父 大陸の奥地へ?」 - NHK
^ 梶龍雄「探偵」『日本大百科全書』 15巻、小学館、1987年5月1日、76頁。ISBN 4-09-526015-7。 “探偵”. コトバンク. 2018年4月7日閲覧。
^ “令和4年中における探偵業の概況”. 警視庁生活安全局生活安全企画課. 令和5年11月6日閲覧。
^ private detective services
^ 探偵社新聞集成明治編年史. 第七卷、林泉社、1936-1940
^ “DV被害者、逃げたら「探偵に後をつけられるように…」加害者の依頼、見極めに苦慮する業界”. 弁護士ドットコム2020年11月28日記事. 2021年4月13日閲覧。
^ “「先物取引の損失戻す」と勧誘 探偵会社「コム」に注意”. 朝日新聞2020年8月5日記事. 2021年4月13日閲覧。
^ “「商品先物取引で被った損失を取り戻せる」などとうたい、高額な金銭を支払わせる株式会社コムに関する注意喚起”. 消費者庁. 2021年4月13日閲覧。

関連項目

興信所

バウンティハンター - 現役の探偵が行う場合もある。


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