探偵
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」(探偵業法第6条:探偵業務の実施の原則)とされ、調査契約の締結にあたっても依頼者から探偵業法第7条(書面の交付を受ける義務)に基づく「調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない」旨を示す書面の交付を受けなければならないことが規定されているほか、業務上知り得た情報、収集した情報の記録物の取り扱いに関して探偵業法第10条(秘密の保持等)において探偵業務に従事する者でなくなった後も秘密保持が課せられ、業務上収集した情報の記録物は、不正または不当な利用を防止する必要な措置をとらなければならない。

なお、個人情報取扱事業者の協力を得て、特定の個人の情報を取得する行為は不正競争防止法2条(営業秘密)に該当しうる。また、ストーカー行為等規制法第6条ではストーカー行為等をするおそれのある者に相手方の氏名、住所等の情報を提供することを禁止している。

依頼者を探偵業者が弁護士に周旋する行為は弁護士法27条(非弁護士との連携の禁止)に違反する。すなわち、有償の「弁護士の紹介」またはこれらに類似する業務は違法である。弁護士紹介の直接の対価としての金銭等の支払いがなくとも、他の名目で実質上周旋の対価が支払われている場合(調査業務の報酬に含まれている場合など)は、違法な非弁提携に該当しうる。「非弁提携」も参照

調査業務

行動調査 - 浮気調査、不倫調査、素行調査など。

行方調査 - いわゆる「人捜し」。家出人失踪者、債務者、恩師、旧友、「初恋の人」などの行方を調査する。

信用調査 - 企業・個人の信用調査など。

身辺調査 - 雇用調査、結婚調査。

心情調査 - 対象が何を考えているのかの把握など。

保険調査 - 各種保険の保険金支払請求に係る調査など。

犯罪調査 - いじめ対策、ストーカー行為対策、配偶者暴力防止被害者保護対策の調査。アメリカ合衆国では司法取引の材料を集める依頼もある。

情報調査 - サイバー犯罪、情報セキュリティ、サイバーストーカー、不正アクセス行為対策、消費者・知的財産事犯の調査。

法人調査 - 産業スパイ調査・M&Aに関する調査、市場調査、資産調査、権利侵害対応調査、海外調査等。


調査業務以外の業務

鑑定・分析 - 指紋、声紋鑑定、筆跡鑑定DNA鑑定ポリグラフ検査、画像解析

相談 - 個人・法人から傾聴。

一般事務 - 労務管理、機材管理、経理、広報等。

その他 - 裁判証拠収集、危機管理、情報漏洩対策、プライバシー防衛、盗聴器・盗撮器発見。


労働

日本の探偵業における待遇等は、労働法に規定する使用者・事業主にあたる探偵業を営む代表者、労働法に規定する労働者であるかで変わってくる。

労働法に探偵業を適用除外とする規定がないことから、労働契約を締結し、賃金の支払いを受けて業務に従事する者は労働者であり、使用者・事業主は労働法で規定される給与・休日・福利厚生を最低限保証しなければならない。また、女性の雇用も増加傾向にあり、男女共同参画社会基本法その他関係法令に基づき、男性同様の待遇等を受け、業務に従事している。

また、探偵業法11条及び探偵業法等の解釈運用基準第11に基づき、探偵業務に従事する労働者を雇い入れた探偵業者は義務の履行を担保するために教育計画書を作成し、同計画書に従い、探偵業法、個人情報保護法、関係法令、調査方法、資料、情報の取扱い方法等の教育を実施し、教育実施記録簿に記録をしなければならない。
調査料金

日本において、探偵業者が行う調査の料金は、探偵業界として料金体系を統一することは独占禁止法2条6項に規定する「不当な取引制限」にあたるため、業界団体が目安の料金を表示したり、料金について会員に指導したりすることはできない。探偵業者それぞれにおいて料金基準を設け、調査の実情に合った見積りを行う。

金銭の支払い時期及び方法等は探偵業法8条(重要事項説明)に基づき、調査内容、調査方法、調査料金、調査期間、契約の解除等を依頼者へ書面を交付して説明しなければならない。

景表法特商法消費者契約法に探偵業者を適用除外とする規定はなく、探偵業者が契約を締結する際は、これらの法律による規制を受ける。
行政処分

探偵の業務の適正に関する法律13条(立入検査)に基づき、各都道府県の警察では定期的な立入検査で、法令で定める帳簿、書類その他物件を検査をすることができる。同法14条(指示)では探偵業法その他法令に違反した場合において、当該探偵業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。同法15条に基づき、都道府県警察では行政処分(営業停止、営業廃止)を受けた探偵業者の名称をホームページ上で公表している。これにより、悪質な探偵業者の排除と探偵業者の適正化を図っている。
日本における問題点

日本における探偵は、探偵業法による規制こそあるものの基本的には届出制であり、その能力について公的な保証はない。また、探偵の利用者の中にも、探偵の悪用を目論む者もある。そのため、下記のような問題が発生している。
犯罪目的での依頼

ストーカーなどの犯罪者が、標的となる被害者について、探偵を利用してその居所を把握することがある。2012年に発生した逗子ストーカー殺人事件のように、個人情報を入手した探偵のストーカーへの情報提供により、殺人事件にまで発展したケースもある。探偵業法により利用者は依頼に当たって犯罪や違法行為に用いない書面の提出を要するが、利用者側が嘘をつくなどした場合には探偵側も利用者の目的を見極めることは難しく、利用者について公的機関への照会を可能とする法整備の必要性を訴える声もある[10]
消費者被害

特定企業を相手方とする先物取引等で損害を被った者に対し、「自己に調査を依頼すれば損害を取り戻せる」と勧誘し、実際には損害の取戻しが見込みがないのに依頼をさせたり、新たな調査を行わずに多数の依頼者に既存の資料を使いまわしたり、成果が出ないとして追加調査費用の支払を迫る探偵業者の例もある。消費者庁消費者安全法に基づき公表した事例もある[11][12]
業界団体・企業・著名な探偵詳細は「en:Category:Detectives」および「Category:探偵に関する組織」を参照
国際探偵協会

World Association of Detectives 世界探偵社協会
(通称"WAD")

Association of British Investigators イギリス調査組合(通称"ABI")

COUNCIL OF INTERNATIONAL INVESTIGATORS 国際調査協議会(通称"CII")

日本の探偵協会

日本の調査業協会の一覧を参照。

フィクションの探偵「Category:架空の探偵」および「名探偵」も参照


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