捕鯨問題
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こうした行動は同じ捕鯨国のノルウェーやソ連に対しては行われなかった[8]。しかしながら、捕鯨問題に詳しいC.W.ニコルは日の丸が焼かれた事件について、飽くまでも差別的な個人が煽っているのであり、人種全体がそうだという訳ではないのだと語っており、また、捕鯨問題は黄色人種と白人の対立ではない、反捕鯨主義者の一部と日本人の一部が人種問題に扇動しているとしている[155]

2010年1月のオーストラリア人1000人を対象にした世論調査では94%が捕鯨に反対している(「ニューズウィーク日本版』2014年4月15日号より)が、南極海の領域を管理しているという点からのテリトリー意識や観光資源としての利益保護という点もあるのだろうとされる。

2008年にはグリーンピース日本支部によるクジラ肉窃盗事件が発生した。平成17年には日本鯨類研究所がグリーンピースジャパンに対して暴力的な妨害について公開質問状を出した[156]

岸上伸啓は環境NGOグリーンピースは、反捕鯨を資金集めの手段としており「抗議ビジネス」であり、グリーンピースは支援者から注目を集め資金をえるために,クジラに関して誇張した情報を流して人々の不安心理を掻きたてメディアを操作し、欧米の政治家の中にはクリーンなイメージをアピールし,支持者を集める手段として反捕鯨を訴える者がおり、捕鯨問題が政治的に利用されているとの批判があるとしている[31]

また、この問題は、日本の経済が好調であった時期に欧米諸国の自然保護団体に同調した自動車産業団体や、農産物生産者等によって利用され、ジャパンバッシングに起因する反日運動の一つとして、過激な運動やパフォーマンスも行われた。

尚、川端裕人によると、ニュージーランドは日本に好印象を持っており、グリーンピース・ニュージーランドの反捕鯨キャンペーンのキャッチフレーズは「日本は好きだけど、捕鯨には胸が痛む!」であると指摘している[157]

上記の通り、山本太郎シーシェパードの抗議行動を拡大させたのは、日本がザトウクジラナガスクジラの南極海における捕鯨を宣言したことが原因の一つとして挙げている[90]
エコテロリストへの対抗運動

日本の統一戦線義勇軍は榎本正隆をオーストラリアへ派遣して、2008年から一年間オーストラリアで反シーシェパードの活動を行っていた。榎本によるとオーストラリア人の中には日本は捕鯨をした方がいいと言う人も沢山いて、大半のオーストラリア人は反シーシェパードである(あれは下品)と述べている[158]

主権回復を目指す会はシー・シェパードが協力した映画『ザ・コーヴ』を反日映画として、日本国内で公開禁止の抗議活動を強硬に行った。しかしながらこの抗議活動は製作に関与していない日本国内の映画配給会社や映画館の支配人の自宅での抗議であり、支配人の高齢の母親が攻撃されるに至って、家族を攻撃するのは右翼であれ左翼であれ許されざることであり、統一戦線義勇軍や一水会など他の右翼団体の反発を招いた[159]。前述の統一義勇軍の榎本曰く、外国の映画で日本人同士がぶつかっている奇妙な構図だと指摘している[160]

デンマークのフェロー諸島のゴンドウクジラ協会は捕鯨のPR活動を行っているが、これはシー・シェパードによる妨害活動に対抗する為に設立されたものである[161]
日本のIWC脱退

日本は2018年12月26日、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、翌2019年7月1日から商業捕鯨を日本の200海里水域内で再開することを発表した。
日本における世論・報道

日本においては、2001年に内閣府による捕鯨に関する複数項目の世論調査が行われ、賛成多数となっており[162]、また2006年にはインターネットサイトYahoo!によるアイスランドの捕鯨再開に伴う商業捕鯨の賛否を問うアンケート調査が行われ、こちらも賛成多数となっている[163]

近々においても2018年に外務省により外交に関する電話での世論調査が行われ、複数項目の内、IWC脱退と捕鯨再開の政府方針への賛否の項目で賛成多数となっている[164]

捕鯨に賛成する人が多数であるが、捕鯨自体に積極的に賛成というよりは、捕鯨を批判・否定するという価値観の押し付けに対する反発という側面が強い[165]という見方もある。

中田宏(当時の横浜市長)は「IWC総会では毎年、正当な主張は採択されず、根拠のない不当な意見ばかりが多数決で押し切られるという、およそ国際会議とは信じられないような出鱈目さを呈している」と批判している[166]

作家の川端裕人マスコミが「日本文化の捕鯨を訳の分からない保護団体が不当に反対している」という切り口のみで報道すると指摘している。また環境団体の情報ソースを団体の宣伝になるからと報道しなかった実体験から、メディアには環境団体の情報を吟味する能力がないのだと告白しているのと同義だとしている[167]

神保哲生は捕鯨問題の図式はメディアでもタブーになっており、政府の長年のPR活動と西側NGOの戦略の拙さが原因だとしている[168]。当時俳優の山本太郎もメディアでのタブーについて、6(六ヶ所村)と並んで9(クジラ)のことは話題にもできない空気があると指摘している[169]

元水産庁技官小松正之は日本政府は捕鯨問題に真剣に取り組んでおらず、「アメリカやアングロサクソンの国々と対立しても戦わずして争いを避けてしまう、やる気も能力もない外交」と非難し、「捕鯨のような小さな案件での対立が日米関係の全体に悪影響を及ぼすはずがなく、むしろマイナーな分野だからこそ、毅然とした態度で主張すべき」としている[170]

関連作品

白鯨 - ハーマン・メルヴィルの小説。グレゴリー・ペックが主演で映画化もされている。


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