1997年にアイルランドから「調査捕鯨を段階的に終了し全公海を保護区とする代わりに日本の沿岸捕鯨を認める」とする妥協案が提示され継続的に審議されたが、合意に至らなかった[15]。
2000年頃にアメリカは、日本の調査捕鯨停止を求め、形式的ながら制裁を再度発動した。日本は沿岸捕鯨の復活を訴え続けてきたが、2007年のIWC総会でも認められず、政府代表団は「日本の忍耐は限界に近い」と脱退を示唆し、2018年(平成30年)12月26日に、日本国政府はIWCからの脱退を通告した。 モラトリアムとは別に1979年にはIWCでインド洋の保護区指定などが採択された。南極海については保護区とする付表修正が採択され、南太平洋と南大西洋についても、それぞれオーストラリアなどと南米諸国により保護区化が提案がされた。 なお、アフリカ諸国とラテンアメリカ諸国によって提唱されている南大西洋の鯨類保護区は、日本をふくむいくつかの捕鯨国が中心となって反対して設立が阻害されており、日本が国際捕鯨委員会を脱退した後の2023年の時点でも保護区の設立には至っていない[16][17]。後述の通り、日本による政府開発援助(ODA)を利用した捕鯨支持への「票買い」を批判したドミニカ国の元環境・計画・農水大臣であるアサートン・マーチン(英語版 1974年にIWCは鯨種ごとの規制である新管理方式 (NMP) を導入。これによりナガスクジラやイワシクジラの禁漁措置が適切に行われるなど一定の成果を収めた。残る捕獲対象はミンククジラ・マッコウクジラ・ニタリクジラのみとなった。 1994年、少ないデータでも捕獲枠が算定できる改訂管理方式(RMP)が採択されて、現在までに北西太平洋のミンククジラについては捕獲枠の試算が完了している。なおRMPによる捕獲枠算定には調査捕鯨のデータは必要ない(RMPの運用に調査捕鯨のデータは不要)[19]。現在のIWCでは捕獲枠の実効確保のための監視などの枠組み(RMS)の交渉が行われていたが、2006年に交渉は決裂した。環境保護団体グリーンピースなどは、たとえRMSが採択されても乱獲を防げないと主張し、一切の商業捕鯨に反対している。 2010年5月、オーストラリアは、南極海での日本の調査捕鯨は実態は商業捕鯨とし国際条約に違反しているとして停止を求め国際司法裁判所に提訴した(南極海捕鯨事件)[20]。2010年12月、ニュージーランドは、オーストラリアによる提訴に、意見陳述などを行うなど協力すると発表した[21]。2014年3月31日に国際司法裁判所は、日本の南極海での現状の調査方法による調査捕鯨は事実上の商業捕鯨であり、調査捕鯨とは認められないとする判決を下し、オーストラリア側の主張が認められた[22]。日本は判決を受けいれるとした。 2023年、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉で、米国が捕鯨反対の立場を協定に明記するよう求めたが、日本の抵抗により見送られた。米国の提案が通っていれば日本の沿岸や沖合で行われている商業捕鯨が難しくなる可能性があった[23]。 基本的には、今後捕鯨を行うことに賛成か、反対かの対立構造があり、2010年5月時点で国際捕鯨委員会(加盟国88カ国)の内、捕鯨支持国は39カ国、反捕鯨国は49カ国ある[24]。 捕鯨をしている国々には、ロシア、日本、インドネシア、ノルウェー、アイスランド、フェロー諸島(デンマーク自治領)、セントビンセント・グレナディーン、カナダなどが挙げられる[25]。また、カナダは1982年に国際捕鯨委員会を脱退している[26]。 アメリカ合衆国は、国内少数民族の先住民生存捕鯨は是認しているが商業捕鯨には反対している。 捕鯨反対国には、商業鯨油目的の捕鯨を行っていた元捕鯨国のオーストラリア、フランス・スペインなどのEU加盟諸国、ラテンアメリカ諸国(反捕鯨の立場を鮮明にしているアルゼンチンやブラジルなどが主導するかたちで、他のラテンアメリカ諸国も反捕鯨の立場で足並みをそろえている)、ほかニュージーランド、インド等が中心となっており、これに与するNGOも多い。
保護区、サンクチュアリ
捕獲枠
オーストラリアによる日本提訴
「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉
捕鯨国と捕鯨反対国「国際捕鯨委員会」を参照
捕鯨国
捕鯨反対国
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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