IWC管轄外の小型鯨類の捕鯨は現在も各地で実施されている。 海の憲法とも評される海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)[33]に日本も1996年に批准している。 日本は国連海洋法条約第116条 - 第120条に基づき「公海での自由な漁業の権利」として公海利用に関する国際法上の根拠としている。 しかしながら、この条約では200海里の水域内では沿岸国の主権的権利を求める一方、公海における海洋生物の利用は国際管理体制の確立を求めるのが原則であり「公海の利用には国際社会の合意が必要」とされる[34]。たとえば、漁獲高を維持するための「資源保護」に協力する義務があると定めており、第65条において締約国は海洋哺乳類の保存のために協力するものとし、鯨類については国際捕鯨委員会等の国際機関を通じて管理を行なう義務があるとされている。したがって、もしIWCを脱退すればモラトリアムなどのルールに縛られない一方、「今以上に反捕鯨勢力から違法だという批判にさらされ、それに対する法的反論が難しい」ことが水産庁漁業交渉官によっても認識されている[35]。 なお、過去には多くの国が公海捕鯨を行ってきたが[注釈 7]、公海での捕鯨をめぐる争点は主として南極海での捕鯨を求める日本のみを対象としたものとなっている[36]。 南極海洋生物資源保存条約 ⇒[5]第6条において、同条約のいかなる規定も、国際捕鯨取締条約に基づき有する権利を害し及びこれらの条約に基づき負う義務を免れさせるものではない旨を規定している。 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約) ⇒[6]では、付属書Tにシロナガスクジラ、ザトウクジラ、ミンククジラなどの鯨類を掲載し、これらについては商業目的での貿易並びに海からの持込を禁じている。「海からの持込」規定は、ワシントン条約の適用範囲を、公海での漁獲・捕獲活動に広げる意義を有している。条約案が検討された当初の構想ではクジラ類に対するIWCでの規制が不十分であるとの自国の環境保護団体からの強い突き上げを受け、米国政府が「海からの持込」規定を条約草案に挿入、1973年に開催されたワシントン条約採択会議で強く同条項の盛り込みを求め、この結果挿入された経緯がある[37]。 日本は鯨類に関してミンククジラ、イワシクジラ(北太平洋のものを除く)、ニタリクジラ、ナガスクジラ、イラワジイルカ、マッコウクジラ、アカボウクジラにつき留保を付し、上記鯨種については同条約の適用を免れた[38]。但し留保を付していないザトウクジラと北太平洋に生息するイワシクジラについては、公海上での標本捕獲・持込について、当該持込がされる国の科学当局(日本では水産庁)が、標本[注釈 8]の持込が当該標本に係る種の存続を脅かすこととならないこと、標本が主として商業目的のために使用されるものではないと認める必要がある[注釈 9]。なお、経済的な利益獲得のための活動のみならず、非商業的側面が際立っていると明らかにはいえない利用方法についても「商業目的」と解釈するものとされている[39]。以上から鑑み、日本によるザトウクジラと太平洋イワシクジラ捕獲はワシントン条約の諸規定を侵害する違法行為にあたるとの見解が元ワシントン条約事務局長で国際法学者のピーター・サンド教授により提起されている[40][41][42]。
カナダの極北地域に住むイヌイットはシロイルカやイッカクを捕獲している。
グリーンランドのカラーリットはシロイルカやイッカク、ゴンドウクジラを捕獲している。アラスカやチュコト半島の先住民は、シロイルカを捕獲している。
デンマーク領フェロー諸島やカリブ海諸国ではゴンドウクジラが捕獲されている。
ソロモン諸島などではイルカ漁がなされている。
日本でも、北海道の網走と函館、宮城県の鮎川、千葉県の和田浦、和歌山県の太地で、ツチクジラやマゴンドウ、タッパナガ、ハナゴンドウを捕獲している。そのほか、日本各地において追込漁や突棒漁、石弓漁によってイシイルカやリンゼイイルカ、スジイルカ、ハナゴンドウ、オキゴンドウ、バンドウイルカなどのイルカ漁が実施されている[31]。
国際法上の捕鯨問題
国連海洋法条約
南極海洋生物資源保存条約
ワシントン条約
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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