捕鯨問題
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インドネシアのレンバタ島ではマッコウクジラが年間20 - 50頭、推定生産量は数百トン規模[30][31]

カナダ北極海沿岸住民イヌイット)ではホッキョククジラが捕獲されている[30][31]

先住民生存捕鯨

米国やカナダでは先住民の「伝統的な生業」(狩猟漁撈)活動の継続は先住権として認められており、アメリカのアラスカ州のイヌピアックやカナダ・イヌイットにはホッキョククジラを捕獲する権利が承認されている[32]。ほかグリーンランドロシアなど北極圏に住む北方先住民、カリブ海のベクウェイ島などでの捕鯨は、「原住民生存捕鯨」として一定の捕鯨がIWCでも認められている[31]。この原住民生存捕鯨は、原則として近代的なノルウェー式捕鯨と異なる伝統的な捕鯨手法に基づくものとされ、致死時間の短縮に寄与する銃器の使用などは認められている。
小型鯨類の捕鯨

IWC管轄外の小型鯨類の捕鯨は現在も各地で実施されている。

カナダの極北地域に住むイヌイットシロイルカイッカクを捕獲している。

グリーンランドのカラーリットはシロイルカやイッカク、ゴンドウクジラを捕獲している。アラスカチュコト半島先住民は、シロイルカを捕獲している。

デンマークフェロー諸島カリブ海諸国ではゴンドウクジラが捕獲されている。

ソロモン諸島などではイルカ漁がなされている。

日本でも、北海道網走函館宮城県鮎川千葉県和田浦和歌山県太地で、ツチクジラやマゴンドウ、タッパナガ、ハナゴンドウを捕獲している。そのほか、日本各地において追込漁や突棒漁、石弓漁によってイシイルカやリンゼイイルカ、スジイルカ、ハナゴンドウ、オキゴンドウバンドウイルカなどのイルカ漁が実施されている[31]

国際法上の捕鯨問題
国連海洋法条約

海の憲法とも評される海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)[33]に日本も1996年に批准している。

日本は国連海洋法条約第116条 - 第120条に基づき「公海での自由な漁業の権利」として公海利用に関する国際法上の根拠としている。

しかしながら、この条約では200海里の水域内では沿岸国の主権的権利を求める一方、公海における海洋生物の利用は国際管理体制の確立を求めるのが原則であり「公海の利用には国際社会の合意が必要」とされる[34]。たとえば、漁獲高を維持するための「資源保護」に協力する義務があると定めており、第65条において締約国は海洋哺乳類の保存のために協力するものとし、鯨類については国際捕鯨委員会等の国際機関を通じて管理を行なう義務があるとされている。したがって、もしIWCを脱退すればモラトリアムなどのルールに縛られない一方、「今以上に反捕鯨勢力から違法だという批判にさらされ、それに対する法的反論が難しい」ことが水産庁漁業交渉官によっても認識されている[35]

なお、過去には多くの国が公海捕鯨を行ってきたが[注釈 7]、公海での捕鯨をめぐる争点は主として南極海での捕鯨を求める日本のみを対象としたものとなっている[36]
南極海洋生物資源保存条約

南極海洋生物資源保存条約 ⇒[5]第6条において、同条約のいかなる規定も、国際捕鯨取締条約に基づき有する権利を害し及びこれらの条約に基づき負う義務を免れさせるものではない旨を規定している。
ワシントン条約

絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約) ⇒[6]では、付属書Tにシロナガスクジラザトウクジラミンククジラなどの鯨類を掲載し、これらについては商業目的での貿易並びに海からの持込を禁じている。「海からの持込」規定は、ワシントン条約の適用範囲を、公海での漁獲・捕獲活動に広げる意義を有している。条約案が検討された当初の構想ではクジラ類に対するIWCでの規制が不十分であるとの自国の環境保護団体からの強い突き上げを受け、米国政府が「海からの持込」規定を条約草案に挿入、1973年に開催されたワシントン条約採択会議で強く同条項の盛り込みを求め、この結果挿入された経緯がある[37]

日本は鯨類に関してミンククジラ、イワシクジラ(北太平洋のものを除く)、ニタリクジラナガスクジライラワジイルカ、マッコウクジラ、アカボウクジラにつき留保を付し、上記鯨種については同条約の適用を免れた[38]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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