1974年にIWCは鯨種ごとの規制である新管理方式 (NMP) を導入。これによりナガスクジラやイワシクジラの禁漁措置が適切に行われるなど一定の成果を収めた。残る捕獲対象はミンククジラ・マッコウクジラ・ニタリクジラのみとなった。
1994年、少ないデータでも捕獲枠が算定できる改訂管理方式(RMP)が採択されて、現在までに北西太平洋のミンククジラについては捕獲枠の試算が完了している。なおRMPによる捕獲枠算定には調査捕鯨のデータは必要ない(RMPの運用に調査捕鯨のデータは不要)[19]。現在のIWCでは捕獲枠の実効確保のための監視などの枠組み(RMS)の交渉が行われていたが、2006年に交渉は決裂した。環境保護団体グリーンピースなどは、たとえRMSが採択されても乱獲を防げないと主張し、一切の商業捕鯨に反対している。 2010年5月、オーストラリアは、南極海での日本の調査捕鯨は実態は商業捕鯨とし国際条約に違反しているとして停止を求め国際司法裁判所に提訴した(南極海捕鯨事件)[20]。2010年12月、ニュージーランドは、オーストラリアによる提訴に、意見陳述などを行うなど協力すると発表した[21]。2014年3月31日に国際司法裁判所は、日本の南極海での現状の調査方法による調査捕鯨は事実上の商業捕鯨であり、調査捕鯨とは認められないとする判決を下し、オーストラリア側の主張が認められた[22]。日本は判決を受けいれるとした。 2023年、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉で、米国が捕鯨反対の立場を協定に明記するよう求めたが、日本の抵抗により見送られた。米国の提案が通っていれば日本の沿岸や沖合で行われている商業捕鯨が難しくなる可能性があった[23]。 基本的には、今後捕鯨を行うことに賛成か、反対かの対立構造があり、2010年5月時点で国際捕鯨委員会(加盟国88カ国)の内、捕鯨支持国は39カ国、反捕鯨国は49カ国ある[24]。 捕鯨をしている国々には、ロシア、日本、インドネシア、ノルウェー、アイスランド、フェロー諸島(デンマーク自治領)、セントビンセント・グレナディーン、カナダなどが挙げられる[25]。また、カナダは1982年に国際捕鯨委員会を脱退している[26]。 アメリカ合衆国は、国内少数民族の先住民生存捕鯨は是認しているが商業捕鯨には反対している。 捕鯨反対国には、商業鯨油目的の捕鯨を行っていた元捕鯨国のオーストラリア、フランス・スペインなどのEU加盟諸国、ラテンアメリカ諸国(反捕鯨の立場を鮮明にしているアルゼンチンやブラジルなどが主導するかたちで、他のラテンアメリカ諸国も反捕鯨の立場で足並みをそろえている)、ほかニュージーランド、インド等が中心となっており、これに与するNGOも多い。各国で反対理由は異なる。 IWC非加盟国による捕鯨(IWC管轄外の小型鯨類は含まない)もある。 米国やカナダでは先住民の「伝統的な生業」(狩猟漁撈)活動の継続は先住権として認められており、アメリカのアラスカ州のイヌピアックやカナダ・イヌイットにはホッキョククジラを捕獲する権利が承認されている[32]。ほかグリーンランド、ロシアなど北極圏に住む北方先住民、カリブ海のベクウェイ島などでの捕鯨は、「原住民生存捕鯨」として一定の捕鯨がIWCでも認められている[31]。この原住民生存捕鯨は、原則として近代的なノルウェー式捕鯨と異なる伝統的な捕鯨手法に基づくものとされ、致死時間の短縮に寄与する銃器の使用などは認められている。 IWC管轄外の小型鯨類の捕鯨は現在も各地で実施されている。
オーストラリアによる日本提訴
「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉
捕鯨国と捕鯨反対国「国際捕鯨委員会」を参照
捕鯨国
捕鯨反対国
捕鯨再開国
商業捕鯨モラトリアムを留保していたノルウェーは1993年に商業捕鯨実施を公式に認めた。
アイスランドは、2003年から2007年にかけて調査捕鯨を実施したほか、2006年に商業捕鯨再開を認め、2007年の1期のみ操業した。
韓国は2009年6月23日に国際捕鯨委員会総会で近海捕鯨活動を再開したいと公式に要請した[27]。2012年7月4日には領海内の調査捕鯨開始を表明した[28]ものの、様々な批判に対し、6日その発言を訂正し、捕鯨は行われなかった[29]。
非加盟国による捕鯨
フィリピンではニタリクジラが年間約5頭捕獲[30]。
インドネシアのレンバタ島ではマッコウクジラが年間20 - 50頭、推定生産量は数百トン規模[30][31]。
カナダ(北極海沿岸住民イヌイット)ではホッキョククジラが捕獲されている[30][31]。
先住民生存捕鯨
小型鯨類の捕鯨
カナダの極北地域に住むイヌイットはシロイルカやイッカクを捕獲している。
グリーンランドのカラーリットはシロイルカやイッカク、ゴンドウクジラを捕獲している。アラスカやチュコト半島の先住民は、シロイルカを捕獲している。
デンマーク領フェロー諸島やカリブ海諸国ではゴンドウクジラが捕獲されている。
ソロモン諸島などではイルカ漁がなされている。
日本でも、北海道の網走と函館、宮城県の鮎川、千葉県の和田浦、和歌山県の太地で、ツチクジラやマゴンドウ、タッパナガ、ハナゴンドウを捕獲している。そのほか、日本各地において追込漁や突棒漁、石弓漁によってイシイルカやリンゼイイルカ、スジイルカ、ハナゴンドウ、オキゴンドウ、バンドウイルカなどのイルカ漁が実施されている[31]。
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