捕鯨問題
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2010年5月、オーストラリアは、南極海での日本の調査捕鯨は実態は商業捕鯨とし国際条約に違反しているとして停止を求め国際司法裁判所に提訴した(南極海捕鯨事件[20]2010年12月、ニュージーランドは、オーストラリアによる提訴に、意見陳述などを行うなど協力すると発表した[21]2014年3月31日に国際司法裁判所は、日本の南極海での現状の調査方法による調査捕鯨は事実上の商業捕鯨であり、調査捕鯨とは認められないとする判決を下し、オーストラリア側の主張が認められた[22]。日本は判決を受けいれるとした。
「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉

2023年、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉で、米国が捕鯨反対の立場を協定に明記するよう求めたが、日本の抵抗により見送られた。米国の提案が通っていれば日本の沿岸や沖合で行われている商業捕鯨が難しくなる可能性があった[23]
捕鯨国と捕鯨反対国「国際捕鯨委員会」を参照

基本的には、今後捕鯨を行うことに賛成か、反対かの対立構造があり、2010年5月時点で国際捕鯨委員会(加盟国88カ国)の内、捕鯨支持国は39カ国、反捕鯨国は49カ国ある[24]
捕鯨国

捕鯨をしている国々には、ロシア日本インドネシアノルウェーアイスランドフェロー諸島デンマーク自治領)、セントビンセント・グレナディーンカナダなどが挙げられる[25]。また、カナダは1982年に国際捕鯨委員会を脱退している[26]

アメリカ合衆国は、国内少数民族の先住民生存捕鯨は是認しているが商業捕鯨には反対している。
捕鯨反対国

捕鯨反対国には、商業鯨油目的の捕鯨を行っていた元捕鯨国のオーストラリアフランススペインなどのEU加盟諸国、ラテンアメリカ諸国(反捕鯨の立場を鮮明にしているアルゼンチンブラジルなどが主導するかたちで、他のラテンアメリカ諸国も反捕鯨の立場で足並みをそろえている)、ほかニュージーランドインド等が中心となっており、これに与するNGOも多い。各国で反対理由は異なる。
捕鯨再開国

商業捕鯨モラトリアムを留保していた
ノルウェー1993年に商業捕鯨実施を公式に認めた。

アイスランドは、2003年から2007年にかけて調査捕鯨を実施したほか、2006年に商業捕鯨再開を認め、2007年の1期のみ操業した。

韓国は2009年6月23日に国際捕鯨委員会総会で近海捕鯨活動を再開したいと公式に要請した[27]。2012年7月4日には領海内の調査捕鯨開始を表明した[28]ものの、様々な批判に対し、6日その発言を訂正し、捕鯨は行われなかった[29]

非加盟国による捕鯨

IWC非加盟国による捕鯨(IWC管轄外の小型鯨類は含まない)もある。

フィリピンではニタリクジラが年間約5頭捕獲[30]

インドネシアのレンバタ島ではマッコウクジラが年間20 - 50頭、推定生産量は数百トン規模[30][31]

カナダ北極海沿岸住民イヌイット)ではホッキョククジラが捕獲されている[30][31]

先住民生存捕鯨

米国やカナダでは先住民の「伝統的な生業」(狩猟漁撈)活動の継続は先住権として認められており、アメリカのアラスカ州のイヌピアックやカナダ・イヌイットにはホッキョククジラを捕獲する権利が承認されている[32]。ほかグリーンランドロシアなど北極圏に住む北方先住民、カリブ海のベクウェイ島などでの捕鯨は、「原住民生存捕鯨」として一定の捕鯨がIWCでも認められている[31]。この原住民生存捕鯨は、原則として近代的なノルウェー式捕鯨と異なる伝統的な捕鯨手法に基づくものとされ、致死時間の短縮に寄与する銃器の使用などは認められている。
小型鯨類の捕鯨

IWC管轄外の小型鯨類の捕鯨は現在も各地で実施されている。

カナダの極北地域に住むイヌイットシロイルカイッカクを捕獲している。

グリーンランドのカラーリットはシロイルカやイッカク、ゴンドウクジラを捕獲している。アラスカチュコト半島先住民は、シロイルカを捕獲している。

デンマークフェロー諸島カリブ海諸国ではゴンドウクジラが捕獲されている。

ソロモン諸島などではイルカ漁がなされている。

日本でも、北海道網走函館宮城県鮎川千葉県和田浦和歌山県太地で、ツチクジラやマゴンドウ、タッパナガ、ハナゴンドウを捕獲している。そのほか、日本各地において追込漁や突棒漁、石弓漁によってイシイルカやリンゼイイルカ、スジイルカ、ハナゴンドウ、オキゴンドウバンドウイルカなどのイルカ漁が実施されている[31]

国際法上の捕鯨問題
国連海洋法条約

海の憲法とも評される海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)[33]に日本も1996年に批准している。

日本は国連海洋法条約第116条 - 第120条に基づき「公海での自由な漁業の権利」として公海利用に関する国際法上の根拠としている。

しかしながら、この条約では200海里の水域内では沿岸国の主権的権利を求める一方、公海における海洋生物の利用は国際管理体制の確立を求めるのが原則であり「公海の利用には国際社会の合意が必要」とされる[34]。たとえば、漁獲高を維持するための「資源保護」に協力する義務があると定めており、第65条において締約国は海洋哺乳類の保存のために協力するものとし、鯨類については国際捕鯨委員会等の国際機関を通じて管理を行なう義務があるとされている。したがって、もしIWCを脱退すればモラトリアムなどのルールに縛られない一方、「今以上に反捕鯨勢力から違法だという批判にさらされ、それに対する法的反論が難しい」ことが水産庁漁業交渉官によっても認識されている[35]

なお、過去には多くの国が公海捕鯨を行ってきたが[注釈 7]、公海での捕鯨をめぐる争点は主として南極海での捕鯨を求める日本のみを対象としたものとなっている[36]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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