捕鯨問題
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尚、川端裕人によると、ニュージーランドは日本に好印象を持っており、グリーンピース・ニュージーランドの反捕鯨キャンペーンのキャッチフレーズは「日本は好きだけど、捕鯨には胸が痛む!」であると指摘している[157]

上記の通り、山本太郎シーシェパードの抗議行動を拡大させたのは、日本がザトウクジラナガスクジラの南極海における捕鯨を宣言したことが原因の一つとして挙げている[90]
エコテロリストへの対抗運動

日本の統一戦線義勇軍は榎本正隆をオーストラリアへ派遣して、2008年から一年間オーストラリアで反シーシェパードの活動を行っていた。榎本によるとオーストラリア人の中には日本は捕鯨をした方がいいと言う人も沢山いて、大半のオーストラリア人は反シーシェパードである(あれは下品)と述べている[158]

主権回復を目指す会はシー・シェパードが協力した映画『ザ・コーヴ』を反日映画として、日本国内で公開禁止の抗議活動を強硬に行った。しかしながらこの抗議活動は製作に関与していない日本国内の映画配給会社や映画館の支配人の自宅での抗議であり、支配人の高齢の母親が攻撃されるに至って、家族を攻撃するのは右翼であれ左翼であれ許されざることであり、統一戦線義勇軍や一水会など他の右翼団体の反発を招いた[159]。前述の統一義勇軍の榎本曰く、外国の映画で日本人同士がぶつかっている奇妙な構図だと指摘している[160]

デンマークのフェロー諸島のゴンドウクジラ協会は捕鯨のPR活動を行っているが、これはシー・シェパードによる妨害活動に対抗する為に設立されたものである[161]
日本のIWC脱退

日本は2018年12月26日、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、翌2019年7月1日から商業捕鯨を日本の200海里水域内で再開することを発表した。
日本における世論・報道

日本においては、2001年に内閣府による捕鯨に関する複数項目の世論調査が行われ、賛成多数となっており[162]、また2006年にはインターネットサイトYahoo!によるアイスランドの捕鯨再開に伴う商業捕鯨の賛否を問うアンケート調査が行われ、こちらも賛成多数となっている[163]

近々においても2018年に外務省により外交に関する電話での世論調査が行われ、複数項目の内、IWC脱退と捕鯨再開の政府方針への賛否の項目で賛成多数となっている[164]

捕鯨に賛成する人が多数であるが、捕鯨自体に積極的に賛成というよりは、捕鯨を批判・否定するという価値観の押し付けに対する反発という側面が強い[165]という見方もある。

中田宏(当時の横浜市長)は「IWC総会では毎年、正当な主張は採択されず、根拠のない不当な意見ばかりが多数決で押し切られるという、およそ国際会議とは信じられないような出鱈目さを呈している」と批判している[166]

作家の川端裕人マスコミが「日本文化の捕鯨を訳の分からない保護団体が不当に反対している」という切り口のみで報道すると指摘している。また環境団体の情報ソースを団体の宣伝になるからと報道しなかった実体験から、メディアには環境団体の情報を吟味する能力がないのだと告白しているのと同義だとしている[167]

神保哲生は捕鯨問題の図式はメディアでもタブーになっており、政府の長年のPR活動と西側NGOの戦略の拙さが原因だとしている[168]。当時俳優の山本太郎もメディアでのタブーについて、6(六ヶ所村)と並んで9(クジラ)のことは話題にもできない空気があると指摘している[169]

元水産庁技官小松正之は日本政府は捕鯨問題に真剣に取り組んでおらず、「アメリカやアングロサクソンの国々と対立しても戦わずして争いを避けてしまう、やる気も能力もない外交」と非難し、「捕鯨のような小さな案件での対立が日米関係の全体に悪影響を及ぼすはずがなく、むしろマイナーな分野だからこそ、毅然とした態度で主張すべき」としている[170]

関連作品

白鯨 - ハーマン・メルヴィルの小説。グレゴリー・ペックが主演で映画化もされている。

ザ・コーヴ - 太地のイルカ漁を批判した映画。アカデミー賞受賞作。

ビハインド・ザ・コーヴ ?捕鯨問題の謎に迫る?(Behind "The Cove")2015モントリオール国際映画祭出品作品。

Whale Whores - アメリカのアニメ、サウスパーク第13シーズン第11話。シー・シェパードによる過激な運動とリアリティショーの演出手法を批判的に描いている。

美味しんぼ・激闘鯨合戦』漫画(抜き刷りを捕鯨協会が配布している)

NHKスペシャル クジラと生きる - 映画『ザ・コーヴ』の舞台となった和歌山県の東牟婁郡太地町を半年間取材し、主に漁業者の心中を描いた、NHK総合テレビで放送されたドキュメンタリー特別番組。

注釈[脚注の使い方]^ 当初の南氷洋捕鯨では沿岸捕鯨への影響を考慮したのと、赤肉等を持ち帰る為の冷蔵設備がなかったという事情から全量の活用は出来なかった。(鯨肉#日本での食文化の歴史日本での食文化の歴史の昭和以降の需要供給、流通も参照)
^ 「魚の経済学」の著者である山下が受講した、櫻本和美の1995年8月24日、第二二回東京水産大学(現 東京海洋大学)公開講座内容より。櫻本は受け入れていれば今のような紛争は起きなかっただろうとしている。
^ この記事の論拠は味の素の広報誌「マイファミリー」のM・Cデービットソンの記事であり、同社は彼にインタビューする以上の事実関係の追及は行っていない。


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