拳銃
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例えば、アメリカ陸軍JFK特殊戦センターが1967年に作成した資料『U. S. Army Special Forces Foreign Weapons Handbook』(陸軍特殊部隊外国製火器の手引)では、「大まかに言えば、サブマシンガンとは、肩撃ち式、空冷式、弾倉式、拳銃弾使用、フルオート射撃可能なもの」(In broad general terms a submachinegun may be described as a shoulder fired arm, air cooled, magazine-fed, chambered for pistol ammunition and capable of full-automatic fire.)であると説明し、同じく拳銃弾を使うものであっても、従来型の半自動拳銃の火力を高めるという発想でフルオート射撃機能と着脱可能な銃床などを追加した銃器、すなわちマシンピストルと混同するべきではないとした[14]。ただし、例えばグロック17ピストルから派生したグロック18Cはマシンピストルであり、MP5はサブマシンガンであるとする場合、一見するとこの2つの違いは明らかに思えるが、そこに明確な境界線を見つけるのは容易ではない。短銃身を備えるAPC9K(英語版)のようなサブマシンガンの存在を考慮すれば、銃身長は決定的な要素ではない。また、銃床の有無も同様である[15]

日本の防衛省では短機関銃、機関短銃、機関けん(拳)銃、マシンピストルの4つをいずれも区別なく英語のsubmachine gunあるいはmachine pistolに対応する語とし、「けん(拳)銃弾を連続射撃する銃。半自動及び全自動の切り換えが可能なものが多い。」と定義している[2]

自動拳銃にフルオート射撃機能を持たせる試みは、1910年代から始まっていた。ステアー M1912(英語版)ピストルにフルオート射撃機能を付与したM1912/P16は、世界初のマシンピストルとも呼ばれた。M1912/P16の生産は少数に留まったが、戦後の1920年代には、スペインでドイツ製モーゼルC96ピストルのコピー製品を原型とするマシンピストルが設計され、1930年代にはモーゼル社でも同様のモデルが発表されている。以後、このようなマシンピストルの設計の試みは各地で何度も繰り返されていくことになる[15]
射撃操作について
握り方

サイド・グリップのように照準がつけられない握り方や、半自動式拳銃のギミックが十分に機能しない銃器誤動作(英語版)が起きる握り方Limp wristing(英語版)もある[16]。また、カップ&ソーサーやティーカップと呼ばれる持ち方だと反動を抑えきれない場合もある[17]
射撃姿勢(スタンス)アイソセレス・スタンスの射撃訓練。姿勢を安定させるために両膝を突いている膝射姿勢で行われるウィーバー・スタンスイン・ライン・スタンスの姿勢で射撃訓練を行うインド陸軍の兵士

拳銃は腕のみで保持されるため、きちんとした姿勢で射撃を行わなければ、安定せず命中率が下がり、反動を制御できず怪我をする場合もある。

アイソセレス・スタンス(英語版) - アイソセレスは二等辺三角形の意。標的に向かっておおむね正対し、ピストルを両手で保持し、両腕と体が二等辺三角形を形作るようにする構え。1980年に開発された持ち方で、さらに発展させた Modern Isosceles という持ち方もある。

ウィーバー・スタンス(英語版) - 標的に向かって斜めに立ち、後ろの腕を伸ばしてピストルを握り、前の腕の手を銃把に添える構え。1950年代後半、ロサンゼルス郡保安局の保安官だったジャック・ウィーバーによって開発された持ち方。

チャップマン - レイ・チャップマンの実用射撃学校(Chapman Academy of Practical Shooting)で開発された、ウィーバー・スタンスの発展型。

Center Axis Relock System(略:CAR System) - 別名ジョン・ウィックスタンス。やはりウィーバー・スタンスの発展型。軍事コンサルティング会社 Sabre Tactical 社の指導員 Paul Castle が開発した狭い場所で素早く近接射撃を行うときの射撃法[18]で、ウィーバー・スタンスより腕を短く曲げる。

片手で撃つ方法


Power Point Stance - 片手に荷物を持っている場合などで片手が保持に使えない時に使用する。使わない手を胸と首のあたりに持ち上げて手のひらを上に向けてから握りしめることで上体の筋肉を引き締め、射撃側の手を伸ばして射撃する方法[19]

Strong-Hand Retention Stance - 近接距離で銃が奪われかねない状態や閉所での使用に用いられる。腕を折り曲げ、銃を持った手をわきの下に接触させて固定させて撃つ方法。もう片方の手は格闘に備えるなり自由に動かせる。ただし、反動を抑えるために上に燃焼ガスを逃す機構があると自分の目や顔などに燃焼ガスがかかるため、そういう銃の場合は若干前に出す必要がある[19]

射撃競技の射撃姿勢


イン・ライン・スタンス - 射撃競技に見られる姿勢。片手で保持し、銃の銃口から持つ手の反対の肩までが一直線上になる構え方。

オープン・スタンス - 命中率が下がるがイン・ライン・スタンスの状態から体を若干対象に向けることで頭を横に向け続ける負荷を減らす射撃姿勢。

技術


ファストドロウ(英語版)(クイックドロウ) - 西部劇で見られるような、ヒップホルスターから抜き出して即座に射撃する早射ち。

ファニング (銃)(英語版) - やはり西部劇で見られる、回転式拳銃の引き金を引いたままで保持し、もう一方の手で撃鉄を弾き起こして連射する技術。

ポイントシューティング(英語版) - 近距離の標的に対して、照準器を使わずに感覚だけで撃ち込む迅速射撃技術。

タクティカルリロード - 薬室や使用途中の弾倉にまだ弾薬が残っている状態で、新しい弾倉と交換する手法。建物内の捜索といった緊迫した状況下で、万一の弾切れを予防するための措置。弾倉の交換も一挙動で迅速に行われる。

ダブルタップ射撃(英語版) - 同じ目標に二連射すること。

モザンビーク・ドリル(英語版) - 当たりやすい胴体にまずダブルタップ射撃を行い、なおも標的を無力化できなければ、三発目で頭部などの急所を正確に狙い撃つという技術。名称は、ローデシア傭兵のマイク・ルソーが首都の空港で体験した戦訓にもとづくという俗説による。

タップ・ラック・バン(英語版) - 自動銃の動作不良時に行う応急対応をまとめた用語。タップは弾倉を軽く叩いて弾薬や弾倉ばねの引っかかりを解く、ラックは遊底やコッキングハンドルなどを操作して薬室に新しい弾薬を送り込む、バンは射撃を再開する。それでも動作不良が再発するようなら、銃や弾倉そのものに破損などの異状が疑われる。もし腔発や遅発が起きた場合には、タップ・ラック・バンを行うべきではない。

射撃芸(英語版)

二丁拳銃 - 両手に一挺ずつの拳銃を持ち、携行・射撃を行うこと。二挺を同時または交互に射撃する場合と、利き腕側の拳銃を使い、そうでない側を予備とする場合がある。単発拳銃が主流だった頃には実戦的な射撃法ともされたが、反動制御や精度や取り回しに難があり、現代ではもっぱらパフォーマンスやフィクションでの演出として行われる。

回転式拳銃の射撃操作について

回転式拳銃の基本的な射撃操作と、拳銃の挙動は以下の通りだが、競技用拳銃などに操作の異なるものがある。


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