拳銃
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従前の軍用拳銃の流用では警察用として威力が過大であること、ゴム弾が使用できることが理由という[12]
信号・照明用ドイツ連邦軍のH&K P2A1信号拳銃

信号拳銃と呼ばれる専用の拳銃が存在しており、軍隊や民間で連絡や遭難時に使用される。
犯罪用途

隠し持てるため、犯罪に多用される。そのため所持規制を課している国家が多い。
市民の自衛用

元は比較的容易に所持登録できたが、1970年代以来、規制が強化されていった。

現在一部の国は市民が自衛用に所有することを認めているが、持ち歩く携帯は別の許可を要する場合が多い。
競技用競技向きに改造された自動拳銃

射撃競技ピストル種目に使用する。最初から競技用として設計されたものと、既に製造された銃を競技向けに改造したものがある。
狩猟用

拳銃の民間所持が認められている国では、猟銃とともに拳銃を持ち歩くハンターがいる。目的はさまざまで、

大型獣に遭遇した時の護身用。通常散弾銃に装填してある散弾をそのまま発射しても獣の突進を止められず、かと言ってスラッグ弾を装填しなおす時間もない場合に、大型拳銃で対処する。

動きの速いオオカミや毒ヘビに対して、長い銃身の散弾銃やライフルでは捕捉が困難なため、取り回しのよい拳銃を用いる。

ウサギや鳥などの小型動物を獲る時に、高価な猟銃弾を節約し、また食べる部分を損なわないように拳銃を用いることがある。

拳銃の種類について

拳銃には、単発式・複銃身式・回転式・自動式といった種類に大別される。
単発式・複銃身式拳銃デリンジャーが使用されたリンカーン大統領暗殺の様子を描いた絵

一本の銃身を持ち、一発の弾薬しか装填できないものを単発式と呼び、単発式の銃身を複数にして連射・斉射できるようにしたものを複銃身式と呼び、前装式銃器の時代から様々な形式のものが作られた。

後に銃身後端を切断して、ここに回転式の弾倉(シリンダー)を付けたものが作られるようになり、これが前装式回転式拳銃へと発展した。

弾丸と火薬を一体にした薬莢が用いられるようになった時代から、これを装填するために銃身部と機関部の間で2つに折って装填できる形式のものが作られるようになり、単銃身?4連銃身程度のものが製造されてきたが、本数が増えるだけ重量が増すため小型の製品が多かった。

デリンジャーは上下二連銃身の小型拳銃で、中折れ式拳銃の代表例であり、手の平や袖の中に収まるコンシールメント・ウェポン、つまり隠すのが容易で、目立つ拳銃を取り上げられた場合の最後の抵抗手段としても有名である。.41リムファイヤのレミントン・ダブルデリンジャー、.22LRのハイスタンダード・デリンジャーなどがある。

1865年に第16代アメリカ大統領リンカーン暗殺に用いられたのは、前装式の単発小型銃フィラデルフィア・デリンジャーであり、これが有名となったため、小型拳銃の商品名としてデリンジャーという名称が多用されるようになった。

近年では、銃身と撃鉄を交換するだけで様々な弾丸を撃つことが出来るトンプソン・コンテンダーが、シルエット競技(重い鉄板を撃ち倒す)で人気が高い。
回転式拳銃詳細は「回転式拳銃」を参照ナガンM1895

リボルバーとも呼ばれる。中に薬室を複数納めたレンコン状の回転式弾倉(シリンダー)を有するのが特徴で、装弾数は一般に5発か6発であるが、近年の金属の熱処理技術の向上や、口径の関係で7?8発のものもある。ナガン・リボルバー等一部のリボルバーを除いて、大体は弾倉と銃身の間に隙間(シリンダーギャップ)があるため、発射ガスがそこから放射状に飛散する。このためサプレッサーを付けても効果が限定的である。シリンダーの保持方法によって振出式(スイングアウト)、中折れ式(トップブレイク)や固定式(ソリッドフレーム)等に大別でき、現在最も普及しているのはスイングアウト方式である。

利点として自動式拳銃と比べて構造が単純・堅牢で耐久性を上げやすい。部品数が少なく、保守も容易であり、実包装填時の暴発の危険性が低く信頼性が高い。また、不発が発生した場合も、ハンマーを起こす(シングルアクション)、または引き金を引くだけ(ダブルアクション)で次弾を素早く発射出来る。弾頭の形状・装薬量の変化に作動が左右されないため、大口径で高威力のマグナム弾も作られている。価格も比較的安い。

欠点は装弾数が少ないことや、清掃や保守点検のために分解する際、自動式に比べて手間が掛かることである。弾薬の再装填にも時間を要するが、再装填に関してはスピードローダーやムーンクリップという装填器具を用いて、複数の弾薬をすばやく一括装填できるものもある。現在では自動式に押されつつあるが、個人の護身用、また発砲機会が少ない地域の警察官用としてリボルバーはいまだそれなりの需要がある。

少数ながら回転式の(半)自動式拳銃(オートマチック・リボルバー)も存在する。
自動式拳銃QSZ-92

自動式拳銃とは、射撃時の反動(反動利用式)や火薬燃焼時の薬莢底にかかる圧力及後退動作(ブローバック)を利用し、遊底(スライド、ボルト)と呼ばれる部分を後退させることで、排莢や次弾装填を自動化した拳銃である。9x19mmパラベラム弾以上の威力の実包を使用するほとんどの拳銃は反動利用式(ショートリコイル)の作動機構を持ち、弾頭が発射され、高圧高温の発射ガスが安全圏に下がるまで銃身と遊底は機械的に結合したままである。これに対して.380ACP弾以下の比較的弱装の実包を使用する自動式拳銃は特に機械的な閉鎖機構を持たず、リコイルスプリングの圧力と遊底の慣性質量及び薬莢の靭性によってのみ弾頭が発射されるまでのガス圧をしのぐ(ストレートブローバック、またはシンプルブローバック)。

英語ではオートマチックピストル (automatic pistol)、またはオート (auto) と呼ぶ。世界初の実用自動拳銃であるボーチャードピストルはトグルアクション方式のショートリコイルを採用しており、この機構は後のルガーP08に引き継がれている。

一般的な自動式拳銃は、引き金を引く度に1発ずつ弾丸を発射、排莢、再装填を行う半自動式(セミオートマチック)。引き金を引いたままにすると全自動(フルオートマチック)で発射できるものは「マシンピストル」(後述)と呼ばれ、便宜上は区別される。

利点としては、大半の回転式拳銃に比べて装弾数が多く、かつグリップ内に挿入されている弾倉を交換することで装填が簡単にできるため、連射に向いている。口径にもよるが、7発前後から多いものでは15発以上の弾丸を装填できるものもある。専用のロングマガジンを使うことで、更に装弾数を増やすことも可能である。また、ロングマガジンにグリップ・アダプターという器具をつけて挿入することでホールド感を安定させることもできる。
弾倉の種類
自動式拳銃の弾倉には、弾丸が1列に収められているもの(シングル・カラム:単列弾倉)と、幅を広げてジグザグに収めるようにしたもの(ダブル・カラム:複列弾倉)があり、後者は銃の大きさをほとんど変えずに装弾数を大幅に増やせることから、近年では幅広く採用されている。


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