モーゼとガウディを足して2で割った様な狂気の建築家の老人が、20世紀の東京のど真ん中にダンテ・アリギエーリの「神曲」の地獄篇[20]・バベルの塔を模倣した塔を建てるが、完成当日に塔の天辺から投身自殺する[7]。
どこか外国にあるウェルカム・トゥ・ネバーランド駅。真夜中に列車が到着して、若い女の子が降りてくる[7]。ベアトリーチェ
を彷彿とさせる女の子は、普段は一人部屋で車いすの生活を送る建築家の孫娘で、建築家の12人の弟子の内、生き残った4人に世話を受けていた[20]。一方、酒場でのポーカーに大儲けしたものの袋叩きに遭い、パンツ一丁のルパンと次元が道々話す。「そろそろ何かやろうぜ」と次元が促すも、ルパンは世界中にもう盗むモノが無くなり、怪盗としてのアイデンティティを喪失、「今更何をやるんだ」とやる気をなくしていた。そこに駅で降りた女の子が来て何やら不可解な依頼をする[7]。
依頼は、伝説では現実と非現実の狭間にあるようなものである「天使の化石」を盗むこと。大戦中にアフリカで発掘された後、ナチスの手に渡って、そしてイスラエルに渡り、なぜか日本に持ち込まれている[7]。塔で殺人事件が起こり、写真に「女の子の白い手」が写っていたことで、ルパンはこの謎に挑もうと塔に忍び込む[20]。
塔の内部には、白い羽が床に散っていたり、小動物の死骸があった[20]。
不二子の調査で、女の子は建築家の孫娘ではないことがわかる。実はその正体は「天使」であり、人間をからかう様に殺していた[20]。
最終的にルパンは「天使の化石」を捜し当てたものの、それは天使の化石ではなくただの「プルトニウム(原子爆弾)」だった。それにルパンが触れてしまったことで大爆発を起こし、東京が壊滅する[7]。
しかし、実際には作動しない原子爆弾で、すべてがフェイクだった。だからルパンだけが現実であり得るわけがない。ルパンもフェイクであった[7]。
そう、最初からルパンなんていなかったのだ[7]。
不二子がインドにて、女の子の墓を見つける。「子供の頃に亡くなっていた」という真実を知り、不二子は「あの子は誰なの?」と呆然とする所で幕が閉じる[21]。
予定されていたスタッフ
監督 - 押井守[22]
脚本 - 押井守、伊藤和典[22]
アート・ディレクション - 天野喜孝[22]
美術監督 - 小林七郎[23]
画面構成 - 金田伊功[22]
キャラクターデザイン・作画監督 - 加藤茂[24]
原画 - 森山ゆうじ、山下将仁、北久保弘之、森本晃司、庵野秀明[22]
演出助手 - 片山一良[22]
キャラクターデザインの候補には梅津泰臣もいた[25]。
脚注[脚注の使い方]