抗うつ薬
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レメロン2009年
S-RIMボルチオキセチントリンテリックス2019年

SSRI以降をひとまとめにすることが一般的である。例えば、日本うつ病学会の診療ガイドラインは、SSRI、SNRI、NaSSAなどを、「新規抗うつ薬」としてひっくるめている[31]。あるいは研究者はこれら新規抗うつ薬を第二世代と呼ぶことが一般的である。

有効性では新規の抗うつ薬と従来の抗うつ薬とに違いはないと言う見解が混在するし、一定した結論はない[31]。従来の抗うつ薬では、抗コリン作用による鎮静作用が強く、また自殺に用いられた際に死亡率が高い[31]。忍容性においては新規の抗うつ薬であるが、24歳以下で自殺を誘発する賦活症候群や中止時の離脱症候群、また高齢者での死亡率の上昇など副作用の違いがある[31]。どれが第一選択となるかということはない[31]

〈以下時系列順〉
モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)詳細は「モノアミン酸化酵素阻害薬」を参照

最も初期の抗うつ薬であるが、薬剤相互作用や副作用の多さから日本では抗うつ薬としてはほとんど使われず、パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。
三環系抗うつ薬(TCA)詳細は「三環系抗うつ薬」を参照

もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。これらの薬のセロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が後に発見され、改良につながっていった。三環系抗うつ薬の第1世代としてはアミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、イミプラミン (イミドール、トフラニール)、クロミプラミン (アナフラニール)、トリミプラミン(英語版) (スルモンチール)、ノルトリプチリン(ノリトレン)。三環系抗うつ薬の第2世代としてはアモキサピン (アモキサン)、ドスレピン(英語版)(プロチアデン)、ロフェプラミン(英語版)(アンプリット)が知られている。

初期の抗うつ薬であるが使われ続けている薬である。その理由としては、有効性という点では新規抗うつ薬が優っているとは必ずしも言えず、抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するが、緊急入院患者のような重症では有効性が高い可能性があるという見解があるためである[31]。特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。鎮静作用と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関している。またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。
イミプラミン (イミドール、トフラニール)
最初に作られたTCAである。アミトリプチリン よりも抗コリン作用、鎮静作用が弱いがノルトリプチリンよりは強い。起立性低血圧も比較的少ない。
アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)
抗コリン作用、鎮静作用が最も強いTCAである。若年者で入眠障害がある患者に好まれる傾向がある。就寝前に多く飲ませることが多い。
クロミプラミン (アナフラニール)
セロトニンの再取り込み阻害作用が強い。痙攣がおこる頻度が他のTCAよりも強いため、抗痙攣作用の強い抗不安薬を併用することが多い。注射薬があるため、うつ病による不穏、焦燥に対して3時間程度で25mgを点滴静注することもある。
ノルトリプチリン(ノリトレン)
セロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込みを強く抑制する。焦燥感を起こすことが少ない。有効治療量の幅が狭く処方が難しい。
アモキサピン (アモキサン)
第二世代のTCAであり、副作用、特に抗コリン作用が軽減されている。他のTCAよりも効果発現が早いといわれている。
四環系抗うつ薬詳細は「四環系抗うつ薬」を参照

ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗痙攣作用の強い抗不安薬(ジアゼパムニトラゼパム)を併用することが多い。塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。
ミアンセリン(テトラミド)
α2受容体を遮断することでノルアドレナリンの放出を促進する。抗ヒスタミン作用が強い薬物である。心毒性がないため非常に使いやすい抗うつ薬である。呼吸抑制と鎮静という副作用がある。SSRIとの併用による増強効果が報告されている数少ない薬物である。
セチプチリン(テシプール)
ミアンセリンを改良した薬物。中枢性セロトニン作用をもつ。鎮静の副作用はまれ。
セロトニン遮断再取り込み阻害薬(SARI)

トリアゾロピリジン系の抗うつ薬。トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)は、セロトニンの再取り込みを阻害する他、セロトニン5-HT2受容体の阻害作用が強い薬物である。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)詳細は「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」を参照

フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、シタロプラム(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。急に服薬を中止するとSSRI離脱症候群が発現する恐れがある。


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