投票券_(公営競技)
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中央競馬において三連単の導入直後、後半4競走[注 55]に限定販売していた時期の売上金額は、発売以前のレースと比べ明らかな差がついていた事から、ファンの間で三連単が完全に定着していることがうかがえた。しかし既存の賭け式の投票数を食ってしまう格好となり、既存式で数点賭けただけでオッズが大きく動き、既存式に賭けにくくなるなどの弊害も生じており、中には三連単の販売を制限しようという動きも出た[129]

競艇では2010年10月21日から11月2日までの間にナイターで開催する5場において、三連勝の単式および複式と、拡大二連勝複式(他競技の「ワイド」)の販売を行なわない「2連勝ナイトフェスタ」を実施し、競輪でも岸和田競輪場において2011年1月19日から21日まで二連勝式のみの販売とした「岸和田ワン・ツー☆KEIRIN」を実施した。これらは的中率の増加を図り[130]、的中で得た収益を再投票することによる売上の向上を期待するものだった[131]。しかし共に期待に反した売り上げにとどまり、現在のファンにおける三連勝指向が明らかとなった。

賭式別売上げシェアでは、中央競馬は三連単・三連複・馬連の順だが[132]、競輪とオートレースは三連単がトップながら三連複よりも普通二連勝複式よりも、二連勝単式が上回っている[133]

三連単は宝くじ同様の確率であっても上述の控除率が約25%(競馬を除く)で他の投票法と同一である以上、控除率が50%である宝くじなどと期待値の側面から比べてみても全て均等額で勝負した場合において高い収益を得やすいのは明らかなことから、既に三連勝式などを導入している場がそれを廃止することは客離れに繋がることが実証されており、一種のジレンマに陥っている。
控除率変更の動き

昨今の公営競技における売り上げの減少傾向において、経済産業省に対しオートレースの全施行者から控除率の引き上げ(払戻率の引き下げ)を求める声が上がったため[134]、法改正を行うための検討が行われたが、競輪についても対象に加えられることになり、2011年12月16日に経済産業省の産業構造審議会車両競技分科会において小型自動車競走法および自転車競技法を改正し、競輪・オートレースの施行者が、控除率を現行の25%から、20%から30%までの幅において自由に設定できるようにする方針が発表された[135]

これとは別に、2012年1月12日笠松競馬場の主催者(岐阜県地方競馬組合)が農林水産省に対し地方競馬の控除率の変更を要望したところ、農林水産省も地方競馬を支援するためとして前向きに動き出し[136]1月18日にオートレースおよび競輪と同様の控除率変更を認めるよう競馬法を改正する方針が明らかになった[137]

その後、関連法案は閣議決定を経て国会に提出され、小型自動車競走法および自転車競技法は3月30日に、競馬法は6月20日に改正案が可決され成立し、オートレース・競輪・競馬の施行者は控除率を最高30%とする道が開かれた。

これを受けてオートレースでは2012年6月より全施行者が相次いで全ての車券の控除率を最高幅の30%に引き上げ(払戻率70%に引き下げ)ることを発表した。これにより施行者側が収益の確保を期待する一方で払戻率の低下を嫌ったファンが離れることにより更なる売り上げの低下が懸念されていたが、払戻率75%だった2011年度の831億2359万5600円から70%に変更された2012年度は755億6680万1600円、2013年度は687億5432万8300円[138]と2年で大幅に落ち込んだ。2013年度の他競技はほぼ横ばいか増加に転じていたことから、懸念が実証されたことになる。そして2014年8月に行われた船橋オートレース場の廃止を発表する記者会見では、払戻率の引き下げによる売上の低下が船橋オート廃止の一因になったことをJKAが公表する事態にまでなった[139]。2014年度も売り上げは668億1833万5100円[140]と減少したことから、JKAは2015年度のオートレースではSG5開催とGI2開催において2連単のみ払戻率を80%にすることを発表している[141]

一方、競馬では中央・地方とも2014年2月から3月に相次いで払戻率の変更を発表したが、オートレースとは異なり賭式ごとに払戻率の設定を変える方式を取り、場によって異なるが単勝・複勝が80%、二連勝・ワイドが75%から77.5%、三連勝が70%から75%、重勝式が70%に設定された。一部式別の払戻率は引き上げられたが、基本的に売上高の多い式別の払戻率が引き下げられたことになる[142]
投票券システムの取扱企業

富士通

富士通フロンテック


NEC

日本トーター


日立オムロン

日立オムロンターミナルソリューションズ


日本ベンダーネット

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 勝馬投票券は旧競馬法施行以来の正式名称であり、それまでは通称である「馬券」が正式名称(俗語は「賭け札」)であった。
^ 当時は各競技とも単勝式・複勝式・枠番連勝式のみの発売が一般的で、組み合わせ数が少なかったために可能だった。当時は枠番連勝複式が8枠制、枠番連勝単式は6枠制でどちらも最大36通り(現在は枠番連勝単式も8枠制で発売。組み合わせ数は最大64通り)。当時は投票券を購入する際、窓口の小さな穴に手を入れて購入していたことから購入窓口を「穴場」と呼ぶようになった[3]
^ 代表的な例として、JRAの場外発売所「ウインズ銀座通り」(現在は閉鎖)がある。また「100円単位で発売」と告知している発売所でも1階は500円単位、2階より上は100円単位という発売形式を取っている発売所も多い(ウインズ立川など)。
^ 2008年7月から2009年12月にかけてのウインズ梅田では、単勝・複勝・3連単以外の式別は「1点あたり1000円以上100円単位」と設定されていた。ただし金曜日発売があるレースで、かつ金曜日当日に購入する場合を除く。
^ 競輪・オートレースは各種法改正で控除率が変更できるようになったことに伴い、統括団体のJKAがオートレースの全賭式について、控除率を30%に変更すると発表している。まず川口飯塚伊勢崎・モトロトが2012年6月9日船橋が同年6月13日浜松6月27日の開催より控除率を引き上げ、山陽7月18日から控除率を引き上げた[4][5]
^ 競馬法第8条第1項(同法第22条において準用する場合を含む。)の農林水産大臣が定める率を定める件(平成25年12月6日 農林水産省告示第2960号)により、控除率の下限は20%となっている(同法ならびに同告示は「払戻率の上限」を指定するため、「100分の80」となっている)[6]
^ 近年はコンピューター処理速度の向上などもあり、インターネット投票では確定を待たず、除外決定をもって即座に返還している主催者も多い。
^ 1着馬コロナグラフの複勝票数は60万9528票であったが(2着馬は2万8448票、3着馬8938票で総的中票数は64万6914票)、通常の払い戻し金額7360万6360円に10円分の609万5280円を上乗せすると7970万1640円となり複勝の売得金7892万3100円を77万8540円超過してしまう。このため、当該馬の複勝馬券はJRAプラス10を適用できず100円元返しとなった。
^ このレースは5頭の出馬投票があり、1頭が競走除外となったため4頭で行われた。なおこのレースでは複勝でもJRAプラス10が適用された。
^ この事象が発生したため、JRA「これまでの実績」サイトでは新たに表の項目として「その他の賭式」が加わった
^ 他の賭式において同着により的中組み合わせ数が2組以上になった場合も同様


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