投票券_(公営競技)
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なお、中央競馬と一部の地方競馬では指定馬の選択が多いと購入者の想定を超える購入申込になるため[注 50]、フォーメーションの購入点数を発売機上で確認できる機能がある。

競走対象が9つ以上の三連勝単式において、[1着:1・2・3] [2着:2・5・7] [3着:1・5・9] を指定した三連勝単式をフォーメーションで購入申込すると、以下の組合せを購入したこととなる。1-2-5 1-2-9 1-5-9 1-7-5 1-7-9 2-5-12-5-9 2-7-1 2-7-5 2-7-9 3-2-1 3-2-53-2-9 3-5-1 3-5-9 3-7-1 3-7-5 3-7-9(18点)

2020年現在、全ての公営競技においてフォーメーション投票が導入されているが、先述の「マルチ」と同様に「フォーメーション」という名称は日本中央競馬会(JRA)によって商標登録されており、中央競馬以外の各競技においては商標の使用許諾を得た上で導入されている[124]
クイックピック

中央競馬では、競馬場・ウインズの特定の窓口のみ限定で買い目をコンピュータにまかせる「クイックピック投票」が実施されている。当初は2009年10月17日からGI競走を開催する節に限り、当該GI競走を施行する競馬場の特定窓口限定で実施していたが、2012年はGI競走施行節(GI競走の金曜日発売を行う場合は、金曜発売日も含む)において当該節すべてのレースでクイックピック投票を実施し、2013年からは全開催日の全競走で行われるようになった(出典:2013年は毎週「JRAクイックピック投票」をご利用いただけます!(アーカイブ) - JRA公式サイト)。

対象となる発売所:姫路以外の地方競馬場内ウインズ(盛岡・水沢・浦和・川崎・佐賀・荒尾)及びウインズ京都・宮崎を除いた、すべての競馬場およびウインズ・パークウインズ

クイックピック投票には専用のマークカードが用意され、発売するすべてのレース(発売する競馬場のレースに限らず、他場のレース、前日発売も購入可能である)・すべての式別で購入可能(1枚の馬券(マークシート)につき単勝、複勝は1枚につき最大5点、その他は最大10点まで)。すべてコンピュータにまかせる「すべておまかせ」のほか枠連・馬連・馬単・ワイド・三連複・三連単では軸となる任意の馬1頭(馬単、三連単においては任意の馬の着順を固定することも可能)を指定することもできる。

券面には「GOOD-LUCK」(健闘を祈る)と印字され[注 51]、軸となる馬番と着順指定の有無、コンピュータで決められた買い目が印字される。なおクイックピックでの購入時は、自動発売機の表示画面に式別・軸指定や着順指定の有無・購入点数・1点あたりの金額は表示されるが、組み合わせは実際に印字された馬券を見るまでわからないようになっている。

18頭立てのレースにおいて3連単をクイックピックで購入した際、クイックピックの対象となる組合わせ数は以下の通りとなる。

軸指定なし・着順指定なし:4,896通り

軸指定あり・着順指定なし:816通り

軸指定あり・着順指定あり:272通り

クイックピック導入週の京都競馬場では、土曜の東京競馬で95万馬券、日曜の京都競馬で509万馬券がクイックピック投票から出現している[125]。2012年6月23日の阪神競馬場のメイン競走「米子ステークス」では3連単で12,727,500円という超高額配当が出たが、同競走の3連単的中票38票のうち1票がウインズのクイックピック投票で出たとJRAのTwitter公式アカウントで公表されている[126]
おみくじ馬券2015年の「菊花賞」当日に「おみくじ馬券」を求める行列。

JRAでは一部の競馬場やウインズにおいて、上記のクイックピック投票を応用したイベントとして「おみくじ馬券」を行っている。あらかじめ特定の競走における同一金額・式別の投票券をクイックピックでJRAが用意し、ポチ袋にいれて特設ブースで限定販売する。客は購入後に袋を開けるまで、組番は一切わからないようになっている[127]
歴史

公営競技の創成期には、各競技の連勝単式および連勝複式の投票券は全て6枠制で発売されていた[注 52]。現在でも競馬・競輪で枠による投票券が発売されているのはこの名残である。連勝単式および連勝複式の投票券の組み合わせ総数を制限することで、過度に高い配当を出にくくし射幸心を抑えるという効果があったためである。

ただし枠による発売の場合、競走対象が病気・怪我などにより出走取消や競走除外になった場合にその競走対象と同枠の競走対象がいる場合は買戻しが行われないなど度々非難の的となった。これを回避するため中央競馬では人気が集中することが推測される馬を前述の枠によるグループ分けによらずに1頭枠とする「単枠指定制度」を、地方競馬・競輪・オートレースでは出走取消・競走除外となった競走対象と同枠の競走対象もあわせて出走取消・競走除外とする「友引除外(ともびきじょがい)」制度を採用していた。どちらも投票券の購入者のほか、関係者からも批判の声が多かった。

オートレースもかつては二連勝単式および二連勝複式は6枠制で発売されていた(出場車が8車の場合、5番・6番が5枠、7番・8番が6枠)が、1998年をもって8枠制に変更され、1枠につき1車に固定された。

出走頭数が8頭以下の場合は地方競馬が2003年4月以降、中央競馬では2005年1月以降「馬番連勝式のみ発売」となり枠番連勝式は発売しないことになった[注 53]。ただし出走取消などで8頭以下となった場合も、同枠に2頭以上いる枠が残っている場合は枠番連勝式の発売を行う。また発売開始後に8頭以下になった場合は、同枠に2頭以上いる枠がなくなってもそのまま発売する。

2011年8月5日より、これまで三連勝式の投票券を導入していなかったばんえい競馬が三連勝複式・三連勝単式を発売開始した(他地区場外発売。ばんえい競馬の開催では、8月6日より発売開始)[128][注 54]。これにより、全ての公営競技主催者で連単・連複・三連単・三連複が発売されることになった。
三連複・三連単導入の効果

2000年10月に三連複・三連単を他の公営競技に先駆けて導入した競艇では翌年度入場者数は10年ぶりに増加したものの、売上は前年度を下回った。

中央競馬において三連単の導入直後、後半4競走[注 55]に限定販売していた時期の売上金額は、発売以前のレースと比べ明らかな差がついていた事から、ファンの間で三連単が完全に定着していることがうかがえた。しかし既存の賭け式の投票数を食ってしまう格好となり、既存式で数点賭けただけでオッズが大きく動き、既存式に賭けにくくなるなどの弊害も生じており、中には三連単の販売を制限しようという動きも出た[129]

競艇では2010年10月21日から11月2日までの間にナイターで開催する5場において、三連勝の単式および複式と、拡大二連勝複式(他競技の「ワイド」)の販売を行なわない「2連勝ナイトフェスタ」を実施し、競輪でも岸和田競輪場において2011年1月19日から21日まで二連勝式のみの販売とした「岸和田ワン・ツー☆KEIRIN」を実施した。これらは的中率の増加を図り[130]、的中で得た収益を再投票することによる売上の向上を期待するものだった[131]。しかし共に期待に反した売り上げにとどまり、現在のファンにおける三連勝指向が明らかとなった。

賭式別売上げシェアでは、中央競馬は三連単・三連複・馬連の順だが[132]、競輪とオートレースは三連単がトップながら三連複よりも普通二連勝複式よりも、二連勝単式が上回っている[133]

三連単は宝くじ同様の確率であっても上述の控除率が約25%(競馬を除く)で他の投票法と同一である以上、控除率が50%である宝くじなどと期待値の側面から比べてみても全て均等額で勝負した場合において高い収益を得やすいのは明らかなことから、既に三連勝式などを導入している場がそれを廃止することは客離れに繋がることが実証されており、一種のジレンマに陥っている。
控除率変更の動き

昨今の公営競技における売り上げの減少傾向において、経済産業省に対しオートレースの全施行者から控除率の引き上げ(払戻率の引き下げ)を求める声が上がったため[134]、法改正を行うための検討が行われたが、競輪についても対象に加えられることになり、2011年12月16日に経済産業省の産業構造審議会車両競技分科会において小型自動車競走法および自転車競技法を改正し、競輪・オートレースの施行者が、控除率を現行の25%から、20%から30%までの幅において自由に設定できるようにする方針が発表された[135]

これとは別に、2012年1月12日笠松競馬場の主催者(岐阜県地方競馬組合)が農林水産省に対し地方競馬の控除率の変更を要望したところ、農林水産省も地方競馬を支援するためとして前向きに動き出し[136]1月18日にオートレースおよび競輪と同様の控除率変更を認めるよう競馬法を改正する方針が明らかになった[137]

その後、関連法案は閣議決定を経て国会に提出され、小型自動車競走法および自転車競技法は3月30日に、競馬法は6月20日に改正案が可決され成立し、オートレース・競輪・競馬の施行者は控除率を最高30%とする道が開かれた。

これを受けてオートレースでは2012年6月より全施行者が相次いで全ての車券の控除率を最高幅の30%に引き上げ(払戻率70%に引き下げ)ることを発表した。これにより施行者側が収益の確保を期待する一方で払戻率の低下を嫌ったファンが離れることにより更なる売り上げの低下が懸念されていたが、払戻率75%だった2011年度の831億2359万5600円から70%に変更された2012年度は755億6680万1600円、2013年度は687億5432万8300円[138]と2年で大幅に落ち込んだ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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