手ぶれ補正機構
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コンパクトデジタルカメラでは、オリンパス2000年8月にCAMEDIA C-2100 UltraZoomでキヤノン製の手ぶれ補正機構を搭載した。キヤノンもこれに続いてPower Shot Pro 90ISをリリースした。2003年にパナソニックが小型コンパクトデジタルカメラ「DMC-FX1」と「DMC-FX5」に同クラスとしては初となる手ぶれ補正機構を搭載して以降、2005年にはソニーが、2006年にはニコンとキヤノンが、いずれも小型コンパクトデジタルカメラなどで、より小型化された補正レンズが組み込まれたものを販売している。一般的に補正機構が大きくなってしまうため、レンズ自体が大きく高価になったが、現在では克服され、小型コンパクトデジタルカメラにも搭載されている。
イメージセンサーシフト方式

振動ジャイロ機構で手ぶれを感知し、CCDなどのイメージセンサー(撮像素子)を手ぶれに応じて移動させることによって光軸を正確に当てる方式である。

当時のミノルタ(現コニカミノルタ)がAnti-Shake方式として、2003年に発売した「DiMAGE A1」に初めて搭載した[5]。その後リコー2005年に発売した「キャプリオR3」に、またペンタックス2006年に発売した「Optio A10」にはSR (Shake Reduction) 方式という名称で、オリンパスも「μ750」で、2007年には富士フイルムが「FinePix F50fd/Z100fd/S8000fd」で、ニコンが「COOLPIX S700」にVR方式として、共にほぼ同様のシステムを搭載した。

デジタル一眼レフではコニカミノルタが「α-7 Digital」[5]にAnti-Shake方式の機構を搭載、ソニーがコニカミノルタより開発/販売を受け継いだα Aマウントでは、名称がAnti-ShakeからSuper Steady Shotへ変更され、2008年以降はレンズシフト式との区別から、冠のSuperを外してSteady Shotに変更された。ペンタックスも「K100D/K10D」にSR方式の補正機構を組み込んだほか、オリンパスも「E-510」に「IS (IMAGE STABILIZATION)」を組み込んでいる。

カメラ本体に補正機構を組み込むことで、レンズ自体に補正レンズを組み込む必要がなく、一眼レフカメラなどレンズ交換式カメラにおいては既存のレンズでそのままブレ補正の機能が利用できる[2]。ライブビュー機能やEVFならば、レリーズ前から手ブレ補正の効果をプレビューすることが可能である。原理的には縦・横・回転の3軸の補正が可能というメリットがある。このセンサーをシフトする機構を応用して自動水平補正や構図微調整の機能、GPSユニットと組み合わせた天体追尾撮影機能、1画素未満の微振動でローパスフィルター同等の効果を得る機能(以上はペンタックスのセンサーシフト機構による応用機能)、1画素単位の稼働と電子シャッターの併用による複数枚撮影と画像合成で高解像度・高画質の画像を生成する機能(ペンタックスのリアルレゾリューションシステムやオリンパスのハイレゾショット)、イメージセンサーを微振動させ埃を弾き飛ばす「ほこり除去機構」などを備える機種もある。

欠点としては、前述のレンズシフト方式に比べた場合に、光学式ファインダーの場合にはファインダー内でブレ補正の効果が確認できないこと[2]、あらゆるレンズで最高の効果を得るためにはレンズごとに最適値が異なる駆動パターンをデータとしてボディーに用意しておく必要があること(データのないレンズでは暫定値での制御となり補正効果が低下する)が挙げられる。また機構上センサーの放熱構造にゆとりがないため長時間の動画撮影に向かず、真夏の炎天下などでは数分程度でカメラの動作が停止することがある。デジタル歪曲補正を利用することを前提として設計された歪曲収差の大きなレンズを使用した場合は中央部と外周部で像の移動量が異なるため一部しか最適な効果が得られない。また、超望遠レンズで十分な補正効果を得るためには、原理的にセンサーの可動域を大きくする必要があるため、市販品のカメラでは補正機構の効果を実用的な範囲内の焦点距離に限定している場合がある。
レンズユニットスイング方式

振動ジャイロセンサーで手ぶれを感知し、イメージセンサー(撮像素子)を含むレンズユニット全体を手ぶれに応じて微小回転させることによって撮影光軸を一定に保つ方式。

他の手ぶれ補正方式、すなわちイメージセンサーと被写体像の位置関係を補正する方式とは補正の原理が異なり、使用者の手によってカメラ外装に与えられる手ぶれ振動をレンズユニットまで伝えないようにする、いわゆる免振システムの一種である。イメージセンサーと一体化したレンズユニット全体をカメラ内部で手ぶれに逆らう方向に微小回転させるので、イメージセンサーまでを含めた光学系全体の要素位置関係を崩すことなく手ぶれ補正できる。原理的には単純な方式であるため、他の方式のような特殊な専用光学設計や画像処理回路などを必要とせず、手ぶれ補正に伴うノイズ強調・画素数ロス・光学収差の劣化対策などの設計的な諸問題とも無縁である。しかし、レンズユニットが大型である場合は機構の大型化や消費電力増大などの問題が大きく、またレンズユニットの一部が外部に突出している製品には適用しにくいという使用上の制約があるため、一眼レフタイプやレンズユニット繰り出しタイプなどのカメラ形態には適さない。

1989年6月にパナソニックが民生機で初めて手振れ補正機構 (EIS=Electric Image Stabilizer) を内蔵したS-VHSフルカセットのビデオカメラNV-M900を発売した。このカメラでは撮影時のパンニングに対応して、垂直方向のみ補正を行う機能も併せ持っている。2005年にはコニカミノルタ社が、コンパクトデジタルカメラ向けの新型Anti-Shake機能であるレンズユニットスイング式手ぶれ補正を採用したDiMAGE X1を発売した。2012年にソニーが空間光学手ブレ補正機能としてHDR-CX720VとHDR-PJ760Vのビデオカメラに採用した。
レンズ・ボディ併用型

オリンパスが「5軸シンクロ手ぶれ補正」、パナソニックが「Dual I.S.」としてそれぞれ一部のカメラ本体・レンズに搭載した機構で、対応した本体とレンズで、レンズ内の補正機構とボディ内の補正機構を協調させることにより、より強力な手ぶれ補正を可能にする[12][13]。オリンパスは最大7.5段分の補正が可能になるとしている[12]
電子式

デジタルカメラやデジタルビデオカメラで搭載されることが多い。撮影可能領域を一定のサイズに狭め、撮影の際にバッファメモリに画像を読み込み、最初に撮影した画像とそれ以降に撮影した画像とを比較、その移動量を演算し、撮影可能領域を自動的にずらして撮影し記録する。撮影可能領域がイメージセンサーの一部分しか使われないため、イメージセンサーの能力を完全に引き出せないのと、動画には比較的効果があるが、静止画には有効ではないという欠点がある。静止画用の電子式手ぶれ補正には他に撮影後の画像を加工(レタッチ)する事によって見かけ上、ブレを少なく見せるタイプのものもあり、共に電子式、またはデジタル式手ぶれ補正と呼ばれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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