戸籍
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現行制度では「戸籍が所属する場所」以上の意味はないが、代々の本籍地を変更しない人もいる[注 5]
筆頭者
戸籍の最初に記載されている人物である。夫婦の戸籍では結婚時に苗字が変わらなかった側の人物である。住民票における世帯主と異なり、生計を支える人物や生存者である必要はなく0歳児や物故者でもよい。
配偶者(はいぐうしゃ)
婚姻の相手である。基本的にいずれかが戸籍の筆頭者で、もう片方が非筆頭者である。
養子
法的に相続権などを与えられた人である。養子を受け入れる親は養親という。通常は、普通養子のことをいう。この場合、戸籍上は男性は「養子」、女性は「養女」と記載される。
特別養子
法律上の扱いが、実子とほぼ同じ養子のこと。上記の普通養子とは要件が異なる。戸籍上の表記は実子の表記とほぼ同じである。通常の養子の場合実親との関係は継続するが、特別養子の場合は相続権を含め実親との関係のほとんどが無くなる事が大きな相違点である。
嫡出子(ちゃくしゅつし)
結婚中または離婚後300日以内の女性が生んだ子である。夫と血縁がなくても、嫡出否認の訴えもしくは親子関係不存在確認の訴えで請求認容判決がなされ、それが確定するまでは嫡出子と推定される(これを嫡出推定という)。結婚後200日以内に生まれた子は、嫡出子としても非嫡出子としても出生届ができる。
非嫡出子
「嫡出でない子」のこと。婚外子とも呼ばれる。
入籍
出生などにより、既にある戸籍に入ること(要は戸籍謄本に本人の情報が記載されること)である。「入籍届」は、親が離婚した際、子を非筆頭者側が引き取って旧姓を名乗る場合などに出すものである。対語は「除籍」。「入籍」という語を、婚姻届の届け出や結婚自体に用いることが多々見られるが、初婚同士のものが結婚する際は、分籍していなければ戸籍を新たに作成するため[27]、「入籍」を用いることは一部の例外を除いて、法律的に誤りである[注 6]。「婚姻届」を「入籍届」と言うこともあるが、これも同様に誤りであり、本来の入籍届を用いて婚姻の届け出を行うことはできない。
除籍

死亡、結婚、離婚などにより、戸籍から除くことである。電算化されていない戸籍謄本では、除籍された人の名前に赤ペンで大きく「×」が書かれる。電算化された戸籍全部事項証明書では、除籍された人の名前の左に枠付きで除籍と記される。対語は「入籍」。

全員が除籍され、除籍簿に入った戸籍である。全員の除籍により誰もいなくなった戸籍は除籍簿に入れられる。従前戸籍への復帰要件を満たした場合でも復帰することはできない(同じ本籍地に戸籍を作ることは出来るが、戸籍としては別のものとなる)。除籍後は150年(2010年(平成22年)の戸籍法施行規則改正前は80年)以上保存される。2010年(平成22年)の改正前の保管期間は80年だったため、市町村によっては昭和初期の除籍について廃棄が始まっていたが、改正により廃棄は中止されることになった。除籍は、相続等における証明のできる書類として保存されるものであるが、除籍は意義のある史料でもあるため、歴史研究者などからは廃棄が始まっていることを問題視する意見も上がったことも改正の理由である。対語は「現戸籍」。

分籍届
一人だけ戸籍を分けることである。分けた当人が戸籍の筆頭者になる(その際に本籍地も設定できる)。18歳以上で、結婚歴がなければ可能(結婚歴があればその時点で親の戸籍から離れており無意味で、離婚して夫婦で戸籍が分かれても分籍とは呼ばない)。
転籍届
本籍を別の場所に移すことである。戸籍内の全員が一緒に転籍する。他市町村へ本籍を移した場合、それまでの戸籍は除籍になり、移動先の市町村で新戸籍が編成される。
就籍
出生届が出されていないことや戸籍の記載の脱漏などで戸籍を有しない者を、新しく戸籍に入れることである。
現戸籍・現在戸籍
現在使用されている戸籍である。⇔除籍(2)
改製原戸籍
現行以前の戸籍制度の戸籍簿のことである。現場では「現戸籍」と混同しないために「はらこせき」(略称「はらこ」)ともいう。
昭和改製原戸籍
1948年(昭和23年)制定の戸籍よりも前の戸籍である。当初は改製より50年保存とされたが、「戸籍法第128条第1項の戸籍の改製に関する省令」(平成16年4月1日法務省令第29号)により80年保存となり、更に「戸籍法施行規則等の一部を改正する省令」(平成22年5月6日法務省令第29号)により150年保存になった。
平成改製原戸籍
電算化済み自治体で、1948年(昭和23年)制定の戸籍のことである。改製より150年保存される。
再製原戸籍
汚れや不実記載などにより、戸籍再製の手続きが取られた場合の旧戸籍である。
電算化
事務の効率化のために、コンピュータで戸籍を管理することである。
無戸籍児・無戸籍者・無籍者
戸籍に記載されていない人物である。未就籍者も含む。詳細は「無戸籍者」を参照
未就籍児・未就籍者
親の夜逃げや、ストーカー・DVからの避難など、何らかの理由で出生届のない者である。出生直後で出生届が出されていない乳児も含まれる。
職権消除(しょっけんしょうじょ)
担当者が職業上の権限によって、事実でない記述を戸籍から抹消することである。例えば江戸時代生まれの人物の死亡届が出されておらず、ヒト寿命からして明らかに死を推定できる、などの場合に管轄法務局の許可を得て行う。法的に死亡扱いとならない。
さかのぼり
相続手続きにあたり法定相続人を確定するため、被相続人の婚姻・離婚、養子縁組・離縁、子の出生、認知などを調査する必要がある。その目的で被相続人の死亡から出生までの戸籍証明類を取得すること[29]
法律上で存在しない地位・行為

第二次世界大戦終結後の大日本帝国憲法の廃止と日本国憲法の制定に伴い、1947年(昭和22年)に改正された民法と戸籍法、および全ての法律で、廃止された家制度に基づく概念・言葉・法的地位・法的行為が廃止された。例としては、婿義父義母義祖父義祖母義兄義弟義姉義妹実家、婚家、本家分家家長、家戸籍のほか「嫁ぐ」「嫁になる」「嫁入り」「嫁にやる」「嫁にだす」「嫁をもらう」「婿入り」「婿になる」「婿にやる」「婿にだす」「婚家の籍に入る」などがある。

一方で、法律上は血族である父母と姻族である義父母は区別される。それゆえ、たとえば住民票の続柄においては「夫の父」「妻の母」などの表記がありえる[注 7]。また,2015年の国勢調査では、「世帯主の父母」と「世帯主の配偶者の父母」を区別して集計している[30]。これらのように、似たような内容を意味する単語は今なお広く使われている。
行政手続

行政手続は行政書士弁護士に依頼することができる。労働基準法により、労働者及び労働者になろうとする者は、その戸籍に関する証明を無料で取得することが可能である。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ただし、これらが日帝残滓であるという議論については否定した。
^ 2021年3月現在、戸籍と個人番号の直接の対応付けは無く、また戸籍制度において特定の者を一意に識別可能となる番号・記号も存在しない。ただし、個人番号と住民票、住民票と戸籍の附票は相互に連携している。
^ 2022年(令和4年)8月13日現在、皇室の構成員は、天皇・上皇・皇族15名の計17名。
^ 運転免許証の申請に当たっては住民票の抄本提出を要するが、生まれながらの皇族であった天皇・上皇・文仁親王はどうやって免許を取得したのかという疑問が生じる。
^ 不動産登記自動車検査証など登録者の住所を基準に権利義務が発生するもので、名義変更等に際して登録時と住所が異なると、登録済み住所と現住所の連続性を証明して手続者が同一人物であることの証明を求められる場合があり、該当戸籍に入っていた当時の住所履歴が記録されている「戸籍の附票」の写しを用いることがある。連絡先不明の相続人など、血縁関係者の住所を調べる際にも戸籍の附票の写しは使用される。戸籍の変更が頻繁な場合に連続性や同一性の証明が難しい場合がある。運転免許証日本国旅券は本籍地を記載される。
^ 「戸籍筆頭者ではない初婚の男性と、戸籍筆頭者である再婚の女性が、結婚して男性の氏を名乗り新しい戸籍が作られる場合」に入籍を用いることは誤りである。互いが初婚の場合であって、分籍して一人戸籍を有する男性の氏を名乗ることを女性が選択し、その籍に入る場合においては入籍となる[28]が、この場合でも届け出は「婚姻届」である。婚姻の対義語は離婚、入籍の対義語は除籍、である。
^ 住民票の続柄は総務省の通達によるものであり、法律に記述があるものではないことに注意されたい。

出典^ a b “婚外子相続差別は違憲 最高裁大法廷”. 日本経済新聞. (2013年9月4日) 
^“国務院関於進一歩推進戸籍制度改革的意見(全文)” (中国語). 中国新聞網. (2014年7月30日). ⇒http://www.chinanews.com/gn/2014/07-30/6439778.shtml 
^ “中国各都市が戸籍取得制限を緩和、人材確保に力”. AFP. 2020年12月26日閲覧。
^ 世界大百科事典 第2版. “新羅帳籍”. コトバンク. 2018年6月4日閲覧。
^ 趙慶済「2005年2月3日戸主制憲法不合致決定に関して」(PDF)『立命館法学』第302号、立命館大学、2005年、36-95頁。


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