戦闘メカ_ザブングル
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ソルトみたいなのを作ってしまったのは姑息でしたね」と反省を述べ、この作品で本当に描かなければいけなかったのは「ジロン、エルチ、ラグたちが最後まで物語を走り切れるか否かの部分だった」として、方向性を掴んだのが物語の終盤近くだったが、その頃にはスタッフも楽屋落ちをやる余裕が生まれ、本来なら嫌いな楽屋落ちも、本作に関しては余裕の産物で気に入っていると述べている[18]
鈴木良武

原作を務め、五武冬史名義で脚本にも参加した鈴木良武は、「ギャグ物だけど、裏にシリアスな世界がある」として、それを踏まえてのギャグ表現を富野監督が色々考えてくれたとフォローした上で、「企画の根本である『ロボット物のギャグ』は一貫して活かされている」「(富野監督は)ギャグをどう描くか大変だったと思う」とその労をねぎらい、肩肘を張らず、リラックスして見られる作品であると述べている[19]
加瀬充子

演出を担当した加瀬充子は、「コンテが2本しか切れなかったのは残念」としながら、富野監督が想定する範疇で自由にやらせて貰った楽しい仕事だった述べ、本作は、全てのキャラクターが主人公であり、彼らが成長することで生きるパワーが感じられる作品だったと振り返り、無法な世界で主人公が自分の意思で生きるのが人間的で、普通なら感情を抑える所を出すことで、他のキャラクター達に新たな感情が芽生える流れが一番好きであるとして、「シリアス、ギャグ、全て含めて『ザブングル』」「結局、わたしは人間が好きなんですね」とコメントしている[20]
関田修

演出を担当した関田修は、ギャグを貫いた作品の仕事は初体験で、「ギャグのタイミングの取り方が勉強になった」と、演出家としての成長の転機だった作品と振り返り、ギャグとシリアスとの徹底した振れ幅が本作の魅力で、主人公も当時主流だったヒーロー像から程遠く、親近感を持ったキャラクターだったと評価した上で、「仕事をしてい後味も良く、最初の印象も良い作品なんて、そうあるものじゃありません」と好意的なコメントを寄せている[21]
鈴木行

演出を担当した鈴木行は「型に嵌らない作品」と評し、「合体」の一言で済ませる従来のプロセスを逆手に、細かいディティールで見せているとして、「楽しく、自然にキャラの動きが浮かんできた」との感想を述べている。一方で制作当時の反省点として、「中コマヌキ」を多用し過ぎたことを挙げ、メリハリが必要だったとしている。そして自身は戦闘シーンが苦手で、38話以降のアイアンギアーとイノセントの戦いは辛い仕事だったと明かして、「作品は好みだったんですが、富野(監督の)感覚を掴むまでは、かなり肩を張ってましたね」とコメントしている[22]
菊池仁

演出を担当した菊池仁は、「考える間もなく入り込めた」と当時を振り返り、「ザブングルは動きのアニメ」と評し、演出の融通が利く反面、ギャグで破目を外さないよう注意し、ギャグのテイストを掴むのが一番苦労したと語っている。また、担当したエピソードについては46話を挙げて、「盛り上がりを作るための途中経過な仕事が多く、ドラマ的変化に乏しかった。トロン・ミランみたいな劇的な話がやりたかった」と、無念さを滲ませたコメントを寄せている[23]
荒木芳久

脚本を担当した荒木芳久は、「何を考えているか掴みにくい作品だった」と述懐し、登場人物が多く、各々にスポットが当たる等して展開が分からず、「演出の方々は苦労したと思う」と労った上で、スタッフ達が制作に慣れて来た中盤以降が、自然な感情や本音を表現できていて面白いとして、「ザブングルは見る側によって自由に捉えて貰えるごった煮のような作品」と評している。また、自身が手掛けた脚本回では、ハナワン族の話が一番気に入っていると述べている[24]
伊東恒久

脚本を担当した伊東恒久は、西部劇のイメージで1年間手探りで参加し、打合せでは世相の事ばかりで脚本の話を殆どせず、それが当時の日本の政治体制を反映させたイノセントの設定に繋がったと述懐して、当時のテンプレでないラグやエルチのような生々しい女性キャラを執筆できたことが一番気に入っていると述べ、「アニメで芝居を描いた今回の作品はしんどかった」とコメントしている。また、当初は金太郎のような主役のデザインに違和感があったが、マスコットキャラのチルの存在がそれを緩和させていると指摘している[25]
ストーリー

かつて地球と呼ばれた惑星ゾラはどこまでも砂漠が広がる星となっていた。「イノセント」と呼ばれる支配階級の人々がドーム都市に住み、「シビリアン」と呼ばれる庶民階級の人々がその外に住んでいた。シビリアンたちは、ロックマン(ブルーストーン採掘業者)、ブレーカー、運び屋、交易商人などを営んで生活していた。

ゾラには「泥棒殺人を含むあらゆる犯罪は三日逃げ切れば全て免罪」という「3日限りの掟」が存在した。しかし、シビリアンの少年ジロン・アモスは両親を殺したブレーカーのティンプ・シャローンを、掟の三日を過ぎても追いかけ続けていた。ジロンは目的を果たすために戦闘用ウォーカーマシン「ザブングル」を手に入れようとするが失敗し、その持ち主である交易商人「キャリング一家」のお嬢様エルチ・カーゴや無法者集団「サンドラット」の女リーダーであるラグ・ウラロたちとランドシップ「アイアン・ギアー」に乗り込み、行動を共にすることになる。アイアン・ギアーの派手な活動はやがてイノセントにも注目されるようになる。やがてアイアン・ギアーのクルーたちは反イノセント組織「ソルト」と合流していく。

「イノセント」の本来の支配者である貴公子アーサー・ランクはジロンたちに共感し、真実を告げる。「シビリアン」とは、将来的に地球(ゾラ)を託すために「イノセント」によって人工的に創りだされた種族であった。大異変により環境が激変し、それまでの地球人の体のままでは生存できなくなってしまったのだ。「イノセント」たちは「シビリアン」を穏健に支配育成し、いずれはゾラを譲るつもりだった。しかし、対立する「イノセント」の大物カシム・キングはこの計画を反故にし、「シビリアン」を支配し続けようとしていた。

カシム・キング一派はエルチを拉致して洗脳し、アーサーやジロンたちを抹殺させようとする。ジロンたちは何とかエルチを救い出し、アーサーの助力を得て洗脳を解く。シビリアンたちはあちこちで暴動を起こしてキングの勢力に対抗し、これを圧倒するに至る。窮地に陥ったカシムはICBMで反撃しようとするが、その誘爆で死亡する。しかしこの過程でエルチは負傷し失明してしまう。シビリアン側の勝利が確定した後、エルチは洗脳の所為とはいえ仲間を裏切った罪悪感から荒野に独りザブングルを駆り飛び出すが、迎えに来たジロンの呼びかけに応え、仲間と共に生きていくことを決意する。
登場人物「戦闘メカ ザブングルの登場人物」を参照

記事の体系性を保持するため、リンクされている記事の要約をこの節に執筆・加筆してください。(使い方

登場メカ

登場キャラクターは古今東西の様々な銃器を使用する。例えば、ジロンは「ボーマーサイトを装備したカスタムタイプのブローニング・ハイパワー」、ティンプは「コルト・ピースメーカーを二挺拳銃で」など。これらはオリジナルではなく、イノセントがコピーして製造し、シビリアンに支給したものである。WMやLSに装備されている火器も同様で、特に12.7mmM2重機関銃20mmFlak38対空機関砲は多用されている。

移動手段は基本的に車輪、ホバークラフト、歩行(WM)のいずれか。砂漠などの不整地が多いため、車輪は少数派である。飛行機械はほとんど存在しないが、実在する爆撃機フライング・ガン・シップ「ミッチェル」(ノースアメリカンB-25J爆撃機)などが登場する。外観はオリジナルの通りで米軍のマーキングまで再現されているが、イノセントがドームの外に出る際の移動手段として使用されている。機内はドーム内と同様に彼らの生命が保たれるようになっており、内装も作り変えられている。最終回で飛行機だけでなく、飛行船気球等ドームから逃げ出すイノセントたちが乗る機体が大量に登場している。
ウォーカーマシン
惑星ゾラにおいて使用されている歩行メカ。WMと略される。大小様々なタイプがあり、そのほとんどは二足歩行(六本脚のウォーカー・タンカーなども存在するが、一般的なWMのカテゴリーに含まれるか否かは不明)。当初はブルーストーン採掘でも使用する汎用作業機械という位置づけだったが、ザブングルウォーカー・ギャリアは文字通りの戦闘メカであり、他にも戦闘用に特化したタイプが登場する。
ランドシップ
惑星ゾラにおいて使用されている陸海両用浮上式航行艦。LSとも略される。基本的には大型のホバークラフトで、大きさ・形状とも様々なクラスが存在する。ほとんどが武装しており、中でも巨大WMに変形できるアイアン・ギアー級は絶大な戦闘力を誇る。
ホバギー
オートバイに相当する小型ホバークラフト。誰でも操縦できる一般的かつ手軽な移動手段として使用されている。ウォーカー・ギャリアはWMにホバギーの特色を取り入れた設計となっている。ソアラなどイノセントの用いるホバーヘリはシビリアン用とは飛行性能が段違いで、高空を高速飛行可能な本格的飛行メカになっている。
用語
惑星ゾラ
ヒトに良く似た人類が住む地球に良く似たどこかの惑星。天変地異により失われた文明の遺物が点在する。「
惑星ゾラ」を参照
シビリアン
ゾラの大地で暮らす人々で、イノセントやハナワンやトラントランと並びゾラにおける人種の呼称。ジロンたちもシビリアンである。荒廃したゾラの大地に適合する強い生命力を持つ、イノセントが三番目に創り上げた強化人類の完成形。シビリアンは社会性をイノセントにコントロールされており、事実上支配されている。
トラントラン族
人類再生のため、過酷なゾラの環境に合わせてイノセントが最初に遺伝子操作で創り上げた強化人類。知能面が低いので失敗作とみなされた(しかし、劇中ではかなりの奸智を示している)。群落を作って野生化している。武器としてトマホークを持ち、頭に羽根飾りを着けて身体にボディペインティングを施すなど、北米のインディアンを思い起こす風俗をしている。
ハナワン族
トラントランの失敗を踏まえて創られた二番目の強化人類。知能面は強化されたが肉体面は虚弱であり、日光に目と皮膚が耐えられないため、マッド・シーへ追われて海洋民族となった。戦闘時は半魚人の様な潜水服を着用する。
三日限りの掟
シビリアン達の間に深く浸透している鉄の不文律。「盗んだものでも三日経てば自分のもの」で、「これを破ったものは、後ろから撃たれても文句は言えない」とされる。誰がいつ定めたのかははっきりしていない。多くのシビリアン達はこれを受け容れていたが、イノセントのエージェントのティンプ・シャローンによって、両親を殺害されたジロン・アモスがティンプを仇敵として四日目以降もつけ回すようになり、そういったジロンのこだわりにより、三日限りの掟に疑問を覚える人々が徐々に増えていく。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:141 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef