戦術
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特徴として外線は攻勢的であり、内線は防勢的である[9]

部隊 - 2人以上の兵員から構成される集団。戦術においては師団旅団連隊大隊などを指す。機能から前衛部隊・火力部隊・機動部隊・兵站部隊に分類できる[10]

部隊編制 - 部隊の基本的な種類であり、戦闘力を直接構成する兵科として歩兵・機甲・砲兵工兵などがある。

戦闘力 - 部隊が有する戦闘での殺傷・破壊の能力。衝撃力(白兵力)・打撃力・防護性・機動力に細分化できるが、さらに兵站機能などを含む場合もある。

兵站 - 戦闘維持の為に戦闘部隊の後方における補給輜重)・輸送整備衛生などの面での後方支援を行う、輜重兵衛生兵軍医などがある。

前衛・側衛・後衛 - 縦隊において前衛は本隊の先頭に、側衛は両側面に、後衛は背後に配される機動部隊などであり、警戒などを行う。

中央・右翼・左翼 - 横隊において中央は中心部に、右翼は右側に、左翼は左側に配される部隊であり、両翼はしばしば機動部隊が置かれる。加えて前衛が置かれる場合もある。

正面・背後・翼側 - 防御においては、正面は敵攻撃の方向、背後はその逆方向、翼側はその両側面。

延翼 - 右翼・左翼・両翼の横方向への延長。

予備 - 一線で戦闘展開している部隊に直接加わらずに後方で待機し、戦機を捉えてから投入される戦力。

後方連絡線 - 基地戦場の間の交通線であり、連絡線・補給線の機能をも持つ。部隊はこの線上で基本的に行動する。

地形 - 高低起伏・地表面土質・水系植生・人工建築物などから構成され、部隊の行動に根本的に影響する。

大事な土地 - その支配権の有無が戦術的に重大な影響をもたらす地形。交通路の収束点(交通の要衝。水域でのチョークポイント)・制高地港湾飛行場などが挙げられる。

偽装・掩蔽 - 偽装は敵の発見の妨害、掩蔽は敵の射撃に対する防護。

隘路 - 狭い道路で出入口が開けている路。

接近経路 - 部隊が目標地点または緊要地形に至るまでの経路。経路の価値は交通容量や機動自由度などによって左右される。

敵情 - 敵の部隊配置や戦力内容の情勢。

航空優勢制海権 - 航空優勢は空域の支配権であり、制海権は水域の支配権である。特に航空優勢は航空作戦の成功などを左右し、地上作戦の遂行に大きく影響する。制海権は水陸両用作戦など沿岸部での戦闘において影響を及ぼす。

陣地 - 築城によって戦闘において優位を得られるように改変した地形である。機能によって前進陣地・警戒陣地・偽陣地・予備陣地・拠点陣地などに分類される。

築城 - 工事によって地形を戦闘で有利になるように陣地として改変することである。防御戦闘の基本的な準備である。

展開 - 部隊の態勢を戦闘に先立って特定の戦闘陣に変換すること。

発見 - の位置を把握すること。前衛部隊によって主に行われる。本隊に敵の位置を報告して後続する部隊の展開を支援する。

拘束 - 戦闘によって敵の自由な行動を妨害すること。前衛部隊によって主に行われる。後続する部隊の戦闘展開を支援し、敵の戦闘展開を妨害する。

制圧 - 火力攻撃などによって敵の部隊行動を攪乱・無力化させること。火力部隊によって主に行われる。接近に先立って敵部隊の戦闘力を減衰し、後の攻撃を助ける。

機動 - 部隊を移動・運動させること。機動部隊によって主に行われる。敵に突破攻撃・包囲機動・迂回機動を仕掛ける。

打撃 - 敵を火力・衝撃力によって攻撃すること。敵部隊の戦闘力を減殺する。

誘致 - 敵を意図的にある地点にまで誘い出すこと[11]

挟撃 - 敵を同時に二方面から攻撃すること。

占領 - 地形の支配権を確保すること。陸上作戦では占領によって地上権を獲得する。

情勢判断 - 情報収集活動などに基づいて情勢がどのようにあるのかを判断すること。指揮官指揮統制に全般的な影響を与える。

決心 - 任務分析・情勢判断・敵の可能行動の列挙・行動方針の列挙を経て指揮官が下す最終的な決断[11]

戦機 - 戦闘において勝敗を決する決定的な機[12]

士気 - 兵員の任務に対する積極的な意欲。

戦いの原則

戦いの原則についてはその存在について肯定的な意見と否定的な意見があるが、古来より多くの戦術家によって考案されてきた[13]
『孫子』詳細は「孫子 (書物)」を参照

孫子』においては多くの戦いの原則が考案されている。孫子においては戦略と戦術が明確に区分されていないが、戦術的な原則を取り上げれば、以下のようなものがある[14]

戦いは敵の意図に正対することで不敗の態勢を築き、虚を突く事によって勝利する

先に戦場に到着することによって、戦いの主導権を握る

地形の掌握と有効な活用

敵情を把握するために、情報活動は必要不可欠

ジョミニ「戦争概論」も参照

19世紀の軍事学者アントワーヌ=アンリ・ジョミニは当時行われていた戦いの原則の存在をめぐる論争において、肯定の立場に立っていた。そのために彼の著書『戦争概論』においてはいくつかの原則が示されている[15]

戦略的な判断に基づいて、主力を勝敗を左右する重大な地点である決勝点に機動し、敵の後方連絡線を圧迫する

大規模な味方をもって小規模な敵と戦闘するように機動する

戦術的な判断に基づいて、主力を決勝点または撃破する要点へ志向させる

全ての味方に同時的に戦果を生み出すように効率的に運用する

クラウゼヴィッツ「戦争論」も参照

また同時代の軍事学者カール・フォン・クラウゼヴィッツは戦いの原則の存在をめぐる論争において、否定の立場にたっていた。しかし彼の著書『戦争論』は現代でも評価されている優れた軍事理論の古典であり、戦いの原理につながる理論や概念を論じている。ここでは戦術における戦いの原理に関連する理論・考察の一部と現代でも用いられるクラウゼヴィッツの論じた概念について簡単に述べる[16]

防御は攻撃よりも強い形態である

勝利は敵の物的・精神的な戦闘力の破壊であり、これは追撃の段階で急速かつ強固に達成される

迂回機動は味方の後方連絡線が優勢である場合に成り立つ

あらゆる攻撃は前進することによって弱化する(攻勢極限点

勝利によって得られる成果はある一点を過ぎると逓増から逓減に変わる(勝敗分岐点

戦場において一般的に情報の不確実性・混乱が生じる(戦場の霧

戦場において一般的に計画と実施の齟齬が生じる(摩擦

フラー

英国陸軍軍人のジョン・フレデリック・チャールズ・フラーはこれまでの軍事研究と戦史研究を通じて、陸戦の原則を以下のように要約した。この原則は若干の差異はあるものの各国陸軍の教範類にも影響を与えている[17]

目標の原則 - 目標の明確化と一貫性

統一の原則 - 部隊の指揮統制の一元性を保持する

主導の原則 - 先動・先制によって戦闘の主導権を確保する

集中の原則 - 敵弱点への味方戦力を一点集中する

奇襲の原則 - 意外性を伴う行動をする

機動の原則 - 機動を先制する

経済の原則 - 戦力を徹底して節約する

簡明の原則 - 目標・計画・行動の簡明さを保つ

警戒の原則 - 敵への準備・即応対処を準備する

しかしアメリカ軍では物量の原則(飽和攻撃)、イギリス軍では運用の原則、ソビエト連邦軍では殲滅の原則が加えられている場合もあり、一様ではない。
兵科

兵科とはそれぞれの部隊が持つ専門分野であり、戦闘兵科、戦闘支援兵科、後方支援兵科に大別される。ここでは戦術的に重要な兵科について簡単に説明する。
歩兵

歩兵は主に小銃などの携帯火器を装備し、徒歩の移動手段を持ち、近接戦闘の能力を持つ兵科であり、地域の占領を行うことが出来る唯一の兵科である。あらゆる地形や状況において柔軟に運用を行うことが出来る。しかし個々の兵員が主体であるために防護性は低い。またその基本的な部隊・装備・運用の差異から軽歩兵部隊・機械化歩兵部隊・空挺部隊などに分類でき、機械化歩兵は装甲車での移動、空挺部隊は航空機での移動能力を持つ。責任交戦距離は0メートルから500メートル程度であり、自動車化された部隊の機動速度は平均して時速18キロメートルである[18]
機甲

機甲は主に火砲・装甲を併せ持って履帯機動を行う戦車を装備し、高度な打撃力を有する兵科である。


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