戦術
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三十年戦争においてグスタフ・アドルフは戦闘教義だけでなく軍事技術の方面でも多くの功績を残し、戦術においてはブライテンフェルトの戦いで砲兵部隊を用いて世界で初めて間接照準射撃を行った。三十年戦争後には欧州各国で厭戦気分が広がり、戦術の発展も停滞した。フランス革命の後に台頭したナポレオン1世は巧みな砲兵の運用を行ったことで知られ、迅速な戦略機動と周到な誘致を以って敵を包囲・突破して撃破する戦術を数多く発揮した[6]

近代においては銃器の発射準備時間の短縮や火力の増大によって第一次世界大戦においては大規模な塹壕戦が行われることになり、各国軍では膠着した戦線を突破するための戦術的な試行錯誤が繰り返された。戦間期においての各国軍では軍縮によって一時的に研究は停滞したが、機動力の向上、武器兵器の火力増大に伴い、戦車急降下爆撃機自動車化した歩兵部隊を以って敵を突破するという電撃戦の思想をフラーが創造し、第二次世界大戦においてドイツ陸軍グデーリアン将軍によって実践された。

電撃戦の理論は現代になるまで研究が進められ、陸空の統合作戦の重要性が認められるようになり、エアランド・バトルという戦闘教義に発展している。イスラエル国防軍第三次中東戦争においてエアランド・ドクトリンで圧倒し、第四次中東戦争においても奇襲を受けたもののその後に攻撃転移と機動戦を展開してアラブ諸国軍の救援・奪還を阻止することに成功した[7]
基礎用語

戦闘教義 - 汎用性の高い一定の合理的な戦い方。これを基礎として部隊の編制・装備・訓練は準備されている。

作戦 - 部隊が行う戦闘行動を言う。作戦目標、作戦方針、作戦計画に基づいて実行される。

攻勢・防勢 - 攻勢とは攻撃を主な戦闘行動とする作戦的な勢い、防勢とは防御を主な戦闘行動とする作戦的な勢いである。攻勢は敵を撃滅することが重要である。防勢は地形を利用し、逆襲の戦機を掴み敵を撃滅することが重要である[8]

外線・内線 - 外線とは後方連絡線を離心的・拡散的に配置して部隊を分散している態勢であり、内線は後方連絡線を求心的・集中的に配置して部隊を集中している態勢である。特徴として外線は攻勢的であり、内線は防勢的である[9]

部隊 - 2人以上の兵員から構成される集団。戦術においては師団旅団連隊大隊などを指す。機能から前衛部隊・火力部隊・機動部隊・兵站部隊に分類できる[10]

部隊編制 - 部隊の基本的な種類であり、戦闘力を直接構成する兵科として歩兵・機甲・砲兵工兵などがある。

戦闘力 - 部隊が有する戦闘での殺傷・破壊の能力。衝撃力(白兵力)・打撃力・防護性・機動力に細分化できるが、さらに兵站機能などを含む場合もある。

兵站 - 戦闘維持の為に戦闘部隊の後方における補給輜重)・輸送整備衛生などの面での後方支援を行う、輜重兵衛生兵軍医などがある。

前衛・側衛・後衛 - 縦隊において前衛は本隊の先頭に、側衛は両側面に、後衛は背後に配される機動部隊などであり、警戒などを行う。

中央・右翼・左翼 - 横隊において中央は中心部に、右翼は右側に、左翼は左側に配される部隊であり、両翼はしばしば機動部隊が置かれる。加えて前衛が置かれる場合もある。

正面・背後・翼側 - 防御においては、正面は敵攻撃の方向、背後はその逆方向、翼側はその両側面。

延翼 - 右翼・左翼・両翼の横方向への延長。

予備 - 一線で戦闘展開している部隊に直接加わらずに後方で待機し、戦機を捉えてから投入される戦力。

後方連絡線 - 基地戦場の間の交通線であり、連絡線・補給線の機能をも持つ。


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