ズビグネフ・ブレジンスキーは、1997年の著書『The Grand Chessboard(邦訳:ブレジンスキーの世界はこう動く――21世紀の地政戦略ゲーム)』で、ポスト冷戦の地政戦略学について論じた。 彼はユーラシア大陸の4つの地域を定義し、世界的な優位性を維持するために、米国が各地域に対する政策をどのように設計すべきかについて述べている。
4つの地域とは(マッキンダーとスパイクマンに倣い)以下のものである:
民主主義の橋頭堡ことヨーロッパ
ブラックホールことロシア
ユーラシア大陸の"バルカン"こと中東
極東のアンカーことアジア
続く著書『ザ・チョイス(邦訳:孤独な帝国アメリカ――世界の支配者か、リーダーか)』では、グローバリゼーションや9.11、そして2冊の本の間の6年間を踏まえて更新された、ブレジンスキーの地政戦略学が述べられている。
彼のジャーナル "アメリカの新しい地政戦略学"において、彼は、多くの学者が予測するような大規模な崩壊を避けるためには、アメリカの戦略を転換する必要があると論じている。彼は次のように指摘している:
米国は、超大国間の核戦争や中央ヨーロッパへのソ連の大規模な通常攻撃の脅威への長年の先入観から脱却する必要がある。
現在および予測可能な将来における状況下での抑止力を強化するために、数多の安全保障上の起こりうる脅威に対して米国がより選択的に対応できるような、ドクトリンと戦力態勢が必要とされている。
米国は、最適な軍事任務を遂行可能な核戦力と非核戦力の柔軟な組み合わせに、より広範に付託すべきである[38]
地政戦略学に対する批判現代のイデオロギーの中で、「地政学」の理論ほど、気まぐれに全てを網羅し、ロマンティックに曖昧で、知的にずさんで、第三次世界大戦を引き起こす可能性があるものはない。—Charles Clover、Dreams of the Eurasian Heartland[39]
地政戦略学は様々な批判にさらされ、地理決定論の粗野な形態と呼ばれてきている。ナチス・ドイツの戦争計画や、冷戦の対立を生み出したと認識されている米国封じ込め戦略と結びつけて、国際的な侵略と拡大主義を正当化するために使用される用語としてみなされることもある。マルクス主義者や批判的国際関係理論家は、地政戦略学を単にアメリカ帝国主義を正当化するためのものだと考えている[22]。
政治学者の中には、非国家主体の重要性が高まるのに従って地政学の重要性も低下すると主張する者もいる[22]。同様に、安全保障問題よりも経済問題の方に重きを置く人たちは、地政戦略学よりも地経学の方が現代に適していると主張している[40][41]。
関連項目
地政学
国家有機体説
宇宙政治学
地経学
脚注^ a b 庄司潤一郎. “地政学とは何か?地政学再考?