また、1922年に香港では夜間外出禁止令や検閲などが可能な事実上の戒厳令に近い「緊急状況規則条例」が定められており[43]、1967年5月24日に文化大革命の影響で起きた香港暴動に対して香港政庁が発動し[44]、香港返還後は2019年10月4日に香港政府が逃亡犯条例の改正案を撤回した後も収束しないデモ活動に対して56年ぶりに発動した[45][46]。 中華民国(台湾)では、中国国民党の?介石政権下の1949年(民国38年)5月19日に台湾省戒厳令が台湾省に布告された。その後、?経国総統が五一九緑色運動の高まりを受けて1987年7月15日に解除するまで、38年間もの長期に亘って施行され続けた。これは世界最長の戒厳体制である。 韓国では戒厳が布告された例は下記の通り。 タイ王国では反政府デモが続き2014年5月20日に戒厳が発令された[51]。2015年4月1日に解除されたが、同時に軍に戒厳下と同等の権限を認める命令が出されたため独裁体制の強化につながるとの批判が出された[52]。 フィリピンではイスラム過激派組織アブ・サヤフに呼応した武装組織との交戦が拡大し2017年5月25日に南部ミンダナオ島全域に戒厳が発令された[53]。同年10月23日には戦闘終結宣言が出されたものの、2018年までの戒厳の延長が決定している[54]。 イタリアでは第二次世界大戦末期となる1943年7月、ベニート・ムッソリーニ首相が打倒され、後任にピエトロ・バドリオが就任すると、7月26日から戒厳が発令された。内容は国内の武装兵力ならび警察力を軍に集中させることのほか、様々な禁止項目(夜間外出禁止、照明の使用、3人以上の集会、鏡や燈火による信号、火器の所持など)が中心となった[55]。同月には連合国軍によるシチリア島上陸などが始まっており、バドリオ政権は2か月後の1943年9月に崩壊した。 トルコでは2016年7月にトルコ軍の一部がクーデターを起こし、戒厳と外出禁止令を布告したが、最終的に鎮圧された[56](2016年トルコクーデター未遂事件)。 ポーランドでは1980年に独立自主管理労働組合「連帯」が結成され、これは社会主義諸国では初となる労働者による自主的かつ全国規模の労働組合であったが、翌年の1981年にポーランド政府は戒厳を出した[57]。しかし、民主化運動の流れは抑えきれず、1989年の円卓会議により非社会主義政権が樹立された[57]。1981年に戒厳を出したヴォイチェフ・ヤルゼルスキ元大統領はのちに起訴されている[58]。 アルゼンチンでは治安情勢の悪化から1985年10月25日から12月9日まで戒厳が出された[59]。 チリでは治安情勢の悪化から1984年11月から1985年6月まで戒厳が出された[59]。その後、1986年9月にピノチェト大統領暗殺未遂事件が発生したため再び戒厳が出されたが翌年1月には全面解除されている[60]。 ボリビアでは1986年8月に鉱山労働者によるストライキが発生したため90日間の戒厳が布告された[60]。 コロンビアでは1948年4月9日のボゴタ暴動により1949年11月9日から1958年8月27日まで戒厳が布告された。 チュニジアでは2011年1月11日に失業の増加や食料価格の高騰などに抗議するデモ隊と治安部隊との衝突の拡大に伴い戒厳が出された[61]。 ギニアでは2007年2月12日に戒厳が出されたが、23日の議会で戒厳延長を全会一致で否決した[62]。 ソマリアでは2007年に無政府状態となった国内の安定の確保を図るため大統領が戒厳を発令することを議会が承認した[63]。
中華民国(台湾)
韓国
1948年10月21日 - 1949年2月5日、麗順叛乱事件の勃発に伴い麗水・順天地域限定で戒厳が布告。
1948年11月17日 - 1948年12月31日、4・3事件の勃発に伴い済州島地域限定で戒厳が布告。
1952年5月25日 - 1952年7月28日、釜山政治波動に伴い慶尚南道・全羅南道地域限定で戒厳が布告。
1960年4月19日 - 1960年7月16日、四月革命の勃発に伴いソウル特別市地域限定で戒厳が布告。
1961年5月16日 - 1962年12月6日、5・16軍事クーデターの勃発に伴い韓国の全地域に戒厳が布告。
1964年6月3日 - 1964年7月29日、日韓会談の反対デモに伴い戒厳が布告。
1972年10月17日 - 1972年12月13日、朴正煕政権による十月維新に伴い戒厳が布告(国会の解散と政党による政治活動禁止を内容とする特別宣言も同時に発表)[47]。
1979年10月18日 - 1981年1月24日、釜馬事件の勃発に伴い釜山直轄市地域限定で戒厳が布告(1979年10月26日の朴正煕暗殺事件・1980年5月17日の戒厳令拡大に伴い韓国の全地域に戒厳が布告)。
タイ
フィリピン
イタリア
トルコ
ポーランド詳細は「ポーランドの戒厳令」を参照
アルゼンチン
チリ
ボリビア
コロンビア
チュニジア
ギニア
ソマリア
ウクライナ2018年のケルチ海峡事件に伴い戒厳令が発令されたウクライナの州。北から時計回りにチェルニーヒウ州、スームィ州、ハルキウ州、ルハーンシク州、ドネツィク州、ザポリージャ州、ヘルソン州、オデーサ州、ムィコラーイウ州、ヴィーンヌィツャ州の10州に戒厳令が発令された。
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