懐中電灯
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また、消費電力が小さいことから長時間使用が可能であり、より小型の電池で利用できることからキーホルダー型など小型の製品も多い。消費電力の小ささから、発電式のものでも一度の発電で長時間点灯できる。発生熱量も格段に小さいため、小型軽量で密閉防水構造の製品も多い。高光量を得るために複数個のLEDを使用したり、高効率のLEDを使用する製品もある。2000年代後半から表面実装(COB)の小チップ型LEDの性能が飛躍的に向上し、2010年代以降は小チップ型1枚で1000ルーメン以上の明るさを発揮する製品も数多く登場している。また、豆電球タイプの交換用のLED球も存在しており、口金や端子および電圧が合えば豆電球タイプの懐中電灯を簡単にLED化可能である。
エレクトロルミネッセンス (EL)
上記LEDもELの一種ではあるが、この他に薄膜EL素子(→有機エレクトロルミネッセンス)を使って面発光するものがある。現行では懐中電灯というよりも表示機材の一種ではあるが、将来的には面発光することにより蛍光灯並みの明るさで、遥かに少ない電力で照らせるものの開発も期待されている。
HIDライト(High Intensity Discharged lamp)
HID(放電光)を光源としたもので、いわゆるメタルハライドランプもこの一種。動作電圧が高いため電池を電源とする懐中電灯には向かなかったが、従来より自動車ヘッドライトプロジェクタ光源として利用されており、軍用懐中電灯などで製品化されていた。フィラメントを使用する電球一般より寿命が長く、突然断線するということがない。また、色温度の高い白色光で高輝度を特徴とする。エネルギー効率も高いが、電圧安定器を必要とすることから器具本体が重くなり、価格も高い。放電光ランプの常として発生熱も大きめであり、密閉防水構造が取りにくいことから防水性の高い製品は限られる。近年はLEDの高効率化により姿を消しつつある。
種類

(家電量販店やホームセンターなど広く流通しているもの)

ペンライト、ポケットライト - 主に筒状の構造で細長いペンのような形状をしている。クリップが付いている物も多くペンのようにポケットに挿すなどして携行出来る。電源には単四形または単三形の乾電池を用いるものが多い。

キーホルダーライト - 単四電池一本や小型の物ではアルカリボタン電池またはコイン形リチウム電池を用いるものが多い。キーライトとも

ヘッドランプ - 頭に取り付けて使用する。両手が自由になるため、暗所での作業全般から、登山釣りといったアウトドアレジャーまで幅広く普及している。

ランタン - 360度の全方向に光を拡散する物や面発光で広範囲を照らす物。主にアウトドアや防災用に普及している。ガスや灯油を用いた旧来のランタンの形状を模した物や円柱、立方体、平面など様々であり、安定して置いたり吊るすなどが容易な形状や機能を備える。エリアライトなどの呼び名もある。

常備灯 - 普段は電池を分離するスペーサーが付いた専用の支持台に取り付けられており、そこから取り外すと電池の接点が繋がり点灯する仕組みのものや、持ち上げたり転倒すると点灯するもの、コンセントに刺さった状態で常に充電しており停電を感知して点灯する物などがある。

多機能ライト - 家庭用防災用品としての多機能としては、ラジオ、時計、非常用サイレンまたはブザー、テレビ、携帯電話充電器などの機能を搭載。車載用防災用品としての多機能としては、ガラス割りハンマー、シートベルトカッターなどを搭載。やや大型で“懐中”とは言い難いものもある。

自転車ライト - 前照灯。簡単な仕掛けで自転車と着脱可能な物は離れる時に携行出来る、この点で懐中電灯と呼べる。多くは雨や飛沫に対する防水性能や防塵性能を備え走行中の振動も考慮した設計が重要となる。道路交通法に適合した照度で設計されている必要があり、取り付け位置や使用方法にも法的な制限がある。他者からの視認性を考慮して側面にも光が回り込む設計がされていたり、道を広く照らすために広角の配光である場合が多い。この分野の懐中電灯メーカーでは自転車用に特化したメーカーや自転車用品メーカーからの参入も多くみられる。

(その他)

天体観測用ライト - が電灯の明るさに慣れて、暗視に必要な視紅素が失われることで暗いが見えなくなるのを防ぐため、色光を発する天体観測用の補助照明。

警察向けの懐中電灯 - 単に暗がりを照らすだけでなく、高い照度で敵を眩惑させるために使ったり、鈍器警棒の類)として使用される。(シュアファイアやストリームライトといったブランドがある)

水中ライト - 完全防水仕様。スキューバダイビングをはじめとした水中用。対応できる水深が明記される。

フレキシブルライト - 自在に曲がるフレキシブルパイプの先端に光源が付いている物と光源の先端から柔軟で透明な素材を用いて導光する物がある。狭く入り組んだ箇所を照らす機械作業等に用いられる。

自動巻発電方式 - 内部にコイルと強力磁石を内蔵しており、本体を振ると磁石が動いて電磁誘導の原理により発電する。自動巻発電腕時計と同じ原理。余った電力はコンデンサバッテリーに蓄えられる。

ダイナモライト - 手回し式または弾み車とワインダーを組み合わせて回す発電機を搭載。上述の多機能ライトの機能をいくつか取り込んだものもあり、防災用に多い。

非常信号灯 - 懐中電灯から派生した製品。赤色で広範囲を照らせる散光タイプが多い。スイッチ切り替えで通常の懐中電灯として使用できるものもある。自動車向けのものでは、発炎筒の補助や代替用として販売されている。底面に磁石が付いており自動車のボデー等に取り付けて点灯できるものもある。

コードレス蛍光灯 - 安定器を用いずインバータにより、電池の電圧を昇圧して蛍光灯を点灯させる。そのためグロースタータ(グロー球)の必要性はない。豆電球も内蔵しているものが多い。乾電池は単一電池より小さくなると電池寿命が短い。初期のナショナル製品などでは大ぶりで多機能ライト並みの本体サイズであったが現在では単三電池で照らす方式の場合ポケットに入るサイズにまで小型化されている。

ウェポンライト - アサルトライフル短機関銃といった小火器と併せての使用を想定して設計されており、ピカティニー・レールと接続可能なものが多い。暗がりを照らしたり、相手を眩惑するのに用いる。ライトの角度をあらかじめ調節しておくことで、近距離において照らされた範囲に向かって射撃するための簡易照準具としても応用できる。「タクティカル(戦術)ライト」とも呼ばれる。頑丈であったり、黒や迷彩といった彩色の採用が多い。

医療用ペンライト - 主に医療従事者が適切な知識をもって診察に使用する物で、眼球を照らして瞳孔などを観察する際に網膜を傷めない程度の照度に調整されたもの。外見の似る通常のペンライト等で真似事をすれば重大な事故になる。

単一波長のライト - 赤、緑、青、赤外線紫外線等のライトで、複数の波長の混ざった白等と異なるライト。それぞれの波長の特性を利用したり、色による信号として用いたりする。一つの懐中電灯に複数の波長(色)を搭載して切り替えられる物もある。

防爆型ライト - 引火性や爆発性の気体や粉塵の雰囲気中で使用できるライトで、高い気密性で電気接点や高温になる箇所と外気を遮断し、落下などの強い衝撃や静電気で火花が出ない素材で作られ、点火の原因とならないようにして爆発を予防する物。爆発から機能を防御(耐爆)という意味ではない。主に消防や化学工場など、可燃性のガスや液体や火薬や粉塵の雰囲気に接近する可能性がある者が適切な知識を有して用いる。イエローやオレンジの蛍光色の物が多い。


ペンライトパナソニック製)

キーホルダーライト

ヘッドランプ (ジェントス製)

ランタン(パナソニック製)

コードレス蛍光灯(ナショナル製)

クリプトン防水ライト(東芝製)

ラジオ付き懐中電灯

多機能ライト(ツインバード工業製)

タクティカルライト(シュアファイア製)

非常信号灯(東芝製)非常信号用で点灯中

電池に関する注意

懐中電灯の能力を正しく発揮するため、機種に適した電池を使用する必要がある。

長期保管を前提とした常備灯などではマンガン乾電池、高光量を求めたものはアルカリ乾電池での使用を想定して設計されたものが多い。

ニカド電池 (Ni-Cd) やニッケル・水素充電池 (Ni-MH) は電圧が低いため、アルカリ乾電池やマンガン乾電池の代わりに用いると十分な光量が得られない場合がある。なお、「エネループ」が普及して以降の新製品にはニッケル・水素充電池 (Ni-MH) に対応し、性能を十分に発揮できるものがある。


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