他の生物も上記で挙げたような周りの世界を感じとる受容体を持つが、そのメカニズムと能力は幅広い。
視覚
トンボなどの複眼は視細胞の集まり方がヒトの水晶体眼と違うが、どちらもレンズ的な要素を獲得した意味では類似しており、収斂進化の一つと言える。ヒトの視覚と仕組みは異なるが、ミツバチは紫外線(ヒトの目には見えない波長の短い光)を見ることができ、マムシやボアは赤外線(ヒトの目には見えない波長の長い光)を見ることができる。ネコなどの夜行性動物は、網膜の後ろに「タペタム」と呼ばれるヒトにはない反射膜を持ち、光を反射して増幅することでヒトよりも暗闇でよくモノを見ることができる。
聴覚
コウモリやクジラは、超音波(ヒトの耳には聞こえない高い周波数の音)を発し、反響定位を利用して、自分や獲物の位置を知ることができる。
嗅覚
イヌやクマの嗅覚の仕組みはヒトと同様であるが、ヒトよりはるかに鋭い嗅覚を持つ。例えば、イヌの嗅覚はヒトの数千から数万倍とされるが、その能力は有香物質の種類によっても大きく異なり、酢酸の匂いなどはヒトの1億倍まで感知できる。昆虫は嗅覚受容体をその触角に持つ。
フェロモン受容器
トカゲやヘビ、多くの哺乳類は、嗅覚とは別に「ヤコブソン器官」と呼ばれるフェロモンを受容する専用器官を持つ。ヒトにも発生初期には存在するが、胎児期に退化してしまうため機能していない。
ヒトの感覚に類似しないもの
反響定位(エコーロケーション)
コウモリやクジラなどは、自分が発した音の反射音によって周囲のものと自分との距離や位置関係を知ることができる。音にはまっすぐ進み反射しやすい特徴をもつ超音波が用いられる。クジラは「メロン体」と呼ばれる器官で反響定位で使用される音の焦点を合わせていると考えられている。洞窟や深海のような暗黒の世界では視覚が役に立たないため、代わりに反響定位が視覚に近い役割を担う。ヒトの感覚に類似しないにも拘らず、一部のヒト個体はこの感覚を持つ「Human echolocation」Wikipedia英語版