結核、水痘、麻疹、天然痘、帯状疱疹[注釈 1]などは空気感染(飛沫核感染)する。これらはしばしば病棟で院内感染を起こすため感染制御が重要な疾患である。インフルエンザやコロナウイルスなどが空気感染(厳密にはエアロゾル感染に該当)を起こすか、主要な感染経路であるかは、常に議論がある[7]。 英語は droplet transmission(小滴感染)。これは、咳、くしゃみ、会話などで発生する呼吸飛沫(respiratory droplets)によるものであり、感染経路として一般的である。飛沫は大きいため、空気中に長時間浮遊することはできず、通常は近距離に散乱する[8]。飛沫粒子は5マイクロメートル以上である[6]。飛沫による感染は、目、鼻、口などの影響を受けやすい粘膜の表面に付着したとき、または汚染された表面に触れた手で顔に触ったときに発生しうる。 飛沫により感染する呼吸器系感染症病原体は、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、百日咳菌、肺炎球菌、化膿レンサ球菌、ジフテリア、風疹[9]、コロナウイルスが挙げられる[10]。飛沫の拡散はサージカルマスクの着用によって軽減できる[11]。 感染者の飛沫に含まれるウィルス量が多い場合、あたかも空気感染(厳密にはエアロゾル感染に該当)しているように観察される[12]。 接触感染とも呼ぶ。英語は direct contact(直接接触)。病原体を有する生体同士が直接接触することにより感染する事を言う。 典型的には皮膚と皮膚の接触、キス、性交をさす。さらに病原体をふくんだ土壌、植物との接触もさす[13]。糞口経路については、主に間接的な接触経路とみなされるが、糞への直接接触によって感染するケースもある。[14][15] 伝染性膿痂疹など皮膚疾患。医療現場ではMRSAなどの薬剤耐性菌の伝染の主要な経路である。 感染者の血液や体液などが目や鼻の粘膜に付着することにより感染する。感染経路は直接のものと、または媒介物を通した間接的なものがある。次の経皮感染に含める場合もある。 流行性角結膜炎など眼科疾患。 通常、皮膚は病原体の侵入を防ぐ力を備えるが、蚊や昆虫、または犬などに刺され、または噛まれることにより病原体が体内に侵入する。寄生虫が直接体内に経皮侵入する場合もある。また、創傷や熱傷により皮膚の防御機能が失われた部分から病原体が侵入する。これらを特に経皮感染と呼ぶ場合がある。針刺し事故も経皮感染に含める立場がある。 性的な接触感染である。粘膜感染と経口感染の側面がある。 唾液を媒介として唾液中の病原体が口移しやディープキスなどにより感染する場合、特に唾液感染と言う場合もある。なお臨床感染経路分類論では歯垢感染と呼気感染は経口感染に入るが、唾液感染は入らない。虫歯菌、EBウイルスなどで唾液感染が起きる。 母子感染、垂直伝播とも。さらに次のように分類される。
飛沫感染
直接感染
粘膜感染
経皮感染
MRSA、HIV、B型肝炎、C型肝炎、クロイツフェルト・ヤコブ病が代表的。
大量の曝露があれば梅毒も考慮される。
性的感染詳細は「性感染症」を参照
唾液感染
垂直感染詳細は「垂直感染」を参照
胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染): 胎盤を通る血液を通じて感染。風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルスなど。