病原体に汚染された飲食物を介した感染を特に経口感染と呼ぶ場合がある。汚染原因が糞便であれば介達感染(糞口経路、後述)である。ほか、飲食物自体が感染源となり経口感染するものにBSEがある。
ベクター感染(水平伝播)ツェツェバエ
他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するもの。(1) その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合(生物学的伝播)と、(2) 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合(機械的伝播、機械的ベクター感染) とがある。
(1) の例は、カによるデング熱や日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、マラリアなどの昆虫媒介感染症、ダニによるクリミア・コンゴ出血熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の媒介、シラミによる発疹チフスの媒介、ネズミによるラッサ熱、南米出血熱、ハンタウイルス、ペスト、腸チフス、パラチフス、サルモネラなどの媒介。
(2) の例は、ハエによる腸管出血性大腸菌や赤痢菌の媒介、鳥インフルエンザの鶏舎間媒介。
糞口経路糞口経路詳細は「糞口経路」を参照
介達感染とも呼ぶ。また、経口感染の一種(水系感染、水系流行)とみる場合もある。
糞便で汚染された飲食物の経口摂取により感染が成立する。
腸管出血性大腸菌(O157など)、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、サルモネラ、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、コレラ、カンピロバクター、リステリア、ピロリ菌、アメーバ赤痢、ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオ、A型肝炎、E型肝炎、ワイル病、角結膜炎など。 患者が共用する手すりや医療機器などの表面を拭って培養し(環境スクリーニング)、病原体が検出されればその物体が感染経路の一つであると推定する。さらに細菌感染症の場合、パルスフィールドゲル電気泳動により遺伝子型の近似性を調べると、水平感染の時間的順序を推定することができるため、最初に集団内に病原体が持ち込まれた経緯が分かることも少なくない。 初期のSARSの様に、病原体が同定できない場合は、有病者と健常者をまず隔離してそれぞれの行動パターンや生活背景、さらに他人との接触歴について詳細な情報収集を行う。その中から感染の有無と相関のある因子を疫学的に割り出すことで感染経路を推定する。 例:有病者から席の離れた同室者複数に発症が見られた場合、飛沫核感染(空気感染)が疑われる、など。
感染経路の同定
病原体が同定できる場合
病原体が同定できない場合
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 通常は口腔内に帯状疱疹が生じ、それが飛沫として拡散された場合に限定される。
出典^ a b 「「空気感染」を誤解していませんか?
^ “医学辞書 空気伝播
^ “WHO airborne tansmission definition