感染症の歴史
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

そしてコッホは、1875年、感染力のある病原体としての細菌である炭疽菌を、光学顕微鏡を用いた観察によるものとして初めて発見し[7]、また、感染症の病原体を特定する際の指針として「コッホの原則」を提唱して近代感染症学の基礎となる科学的な考え方を打ち出した。日本でも、北里柴三郎1894年ペスト菌を、志賀潔1898年赤痢菌を発見している[1]。なお、主な疫病菌の発見は以下の通りであり、19世紀後半から20世紀初頭にかけての時期に集中している[8]

病名病原体発見年病原体発見者
ハンセン病らい菌真正細菌1875年アルマウェル・ハンセンノルウェー
マラリアマラリア原虫原虫1880年シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン(フランス)
腸チフスサルモネラ属菌(真正細菌)1880年カール・エーベルト(ドイツ)
結核結核菌(真正細菌)1882年ロベルト・コッホ(ドイツ)
コレラコレラ菌(真正細菌)1883年ロベルト・コッホ(ドイツ)
ジフテリアジフテリア菌(真正細菌)1883年エミール・アドルフ・フォン・ベーリング(ドイツ)、北里柴三郎(日本)
破傷風破傷風菌(真正細菌)1884年アルトゥール・ニコライエル(ドイツ)
ブルセラ症ブルセラ属菌(真正細菌)1887年デビッド・ブルースイギリス
ペストペスト菌(真正細菌)1894年アレクサンドル・イェルサン(フランス語版)(フランス)、北里柴三郎(日本)
赤痢赤痢菌(真正細菌)1898年志賀潔(日本)
梅毒梅毒トレポネーマ(真正細菌)1905年フリッツ・シャウディン(ドイツ語版)(ドイツ)
百日咳百日咳菌(真正細菌)1906年ジュール・ボルデ(フランス)
チフス(パラチフス)サルモネラ属菌(真正細菌)1909年シャルル・ジュール・アンリ・ニコル(フランス)

光学顕微鏡では観察できない極小のウイルス(virus)の発見は、細菌よりも遅れ、1892年ロシア植物学者ドミトリー・イワノフスキーによるタバコモザイクウイルスの発見が最初であった[7]。ウイルスによる感染症には、インフルエンザ後天性免疫不全症候群 (AIDS)、エボラ出血熱黄熱狂犬病重症急性呼吸器症候群 (SARS) 、中東呼吸器症候群 (MERS) 、デング熱ジカ熱天然痘風疹急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱ラッサ熱ウエストナイル熱日本脳炎水痘帯状疱疹新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) などがある。

ウイルスは、代謝系を持たず、細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動はおこなわない[9]。自己増殖できず、他生物の細胞に寄生することによって増殖し、エネルギーは宿主細胞の作るそれを利用し、大きさは細菌よりもはるかに小さい[9]。ウイルスの観察には電子顕微鏡が必要である[9]
治療法の発見詳細は「抗生物質」、「抗ウイルス薬」、「ワクチン」、および「種痘」を参照フレミング(1881-1955)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:251 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef