人間にはどのような感情があるのかについては古来様々に議論されてきた。以下に、歴史的文化的経緯、感情研究の歴史に基づく分類、詳しくは感情の一覧を参照。 一般に、6種類の代表的な感情として、 が総称されることが多い。 人間の持つ代表的な感情を、 の五つにまとめて表す。 書物によって七情 「曰喜怒、曰哀懼、愛悪欲、七情具」とあり、 の七情が人にそなわっていると言う。 忌 (いむ) ・忍 (しのぶ) ・怒 (いかる) ・恐 (おそれる) ・恥 (はじらう) ・恋 (こい) ・悲 (かなしい) ・愁 (うれえる) ・慕 (したう) ・憂 (うれえる) ・怪 (あやしむ) ・普B(こわい) ・悔 (くやむ) ・恨 (うらむ) ・惜 (おしむ) ・悼 (いたむ) ・愉 (たのしむ) ・憎 (にくむ) ・憤 (いきどおる) ・懐 (なつかしむ) 等々。 感情を表す形容詞および形容動詞 (例:かなしい) 、その感情をいだいている/いだく動作を表す動詞 (例:かなしむ) 、抽象化された名詞 (例:かなしみ) を示す。ただし、「愛する」「嫌悪する」の様に「 (漢字) +?する」は漢語が混ざっているため除いた。 ナヴァ・ラサ (人間の9つの基本的感情) というものがあり、それは、 の9つであるとされる (参考 ラサ) 。 悲しみ、幸福、怒り、軽蔑、嫌悪、恐怖、驚きという七つの基本的感情が、文化によって異ならず、普遍的に同じ方法で表現されると考えていた。また子供の成長やオランウータンの感情表現の観察を通して、人間と他の霊長類の類似性を見いだした。 表情認知からみた感情の分類。ポール・エクマンは次の6つの感情は生物学的基盤を持ち、ヒューマン・ユニバーサルズであると結論した。 エクマンは1990年代にこのリストを拡張し、以下を加えた。 感情は表情や仕草となってあらわれる。表情は非言語コミュニケーションの一部である。 表情は自律的に働き、訓練しないと意識的にコントロールできない。またヒューマン・ユニバーサルな性質であり、どの文化でも基本的な表情は共通している。進化的な視点からは、コミュニケーション信号は他個体を操作するために自由にコントロールできる方が有利であると考えられるが、そうなっていない。アモツ・ザハヴィのような一部の生物学者は、正直に自分の感情を伝えることがもっとも利益を得られるからだと考え、ハンディキャップ信号の一種ではないかと主張しているが、実際にどのような利益があるのかは明らかでない。
六情
喜
怒
哀
楽
愛 (いとしみ)
憎 (にくしみ)
中国の五情(ごじょう)
喜 (よろこび)
怒 (いかり)
哀 (かなしみ)
楽 (たのしみ)
怨 (うらみ)
七情
三字経
喜
怒
哀
懼 (おそれ)
愛 (いとしみ)
悪 (にくしみ)
欲
中国医学
喜怒憂思悲恐驚の七情あり、日本で馴染みが無い語である、思は考えの意である。これらが過剰となると精神障害が起きるとされる[2]。
部首が「心」で感情を表す漢字
感情を表す和語
形容詞および形容動詞かなしい・うらがなしい・ものがなしい・みじめだ・やるせない・たのしい・うれしい・しあわせだ・めでたい・いまわしい・はずかしい・うらめしい・にくたらしい・いやだ・きらいだ・さわやかだ・いつくしい・いとおしい・つまらない・おそろしい・こわい
動詞このむ・よろこぶ・いかる・おこる・かなしむ・おそれる・はじらう・はにかむ・うれえる・あやしむ・うらむ・にくむ・いきどおる・むかつく・きらう・けぎらいする・めでる・うんざりする・あきる・びびる
名詞よろこび・かなしみ・いかり・うらみ
インドの伝統的な美学理論
シュリンガーラ (恋愛感情;恋する気持ち、愛する気持ち)
ハースヤ (滑稽な笑い)
カルナ (悲しみ)
ラウドラ (怒り)
ヴィーラ (勇ましい気持ち、活力あふれる気持ち)
バヤーナカ (恐れ)
ビーバッサ (嫌悪)
アドブタ (驚き・驚愕)
シャーンタ (平和)
チャールズ・ダーウィン
心理学的な感情の分類
幸福感、驚き、恐れ、悲しみ、怒り、嫌悪
楽しさ、軽蔑、満足、困惑、興奮、罪の意識、功績に基づく自負心、安心、満足感、喜び、罪悪感
表情
感情が冒される疾患や状態
感情・気分が冒される疾患の代表的なものは気分障害(うつ病、躁うつ病、躁病など)である。うつ病では抑うつ気分(落ち込んだ、疲れた、元気のない、悲しい、泣きたいような、嫌になる、死にたい、絶望的)を呈するが、躁状態では気分が爽快になり、元気で、活気にあふれている、自信満々、動き回りたいなどの気分を呈する。重症になると攻撃的な気分、怒りが前面に出てくる。
しかし抑うつ気分を呈する疾患はうつ病だけではない。適応障害、統合失調症、摂食障害、パーソナリティ障害など様々な疾患に合併することがある。また、精神疾患に限らず、健康な人でも一時的に抑うつ的になることはよくある。
大脳辺縁系の一部をなす扁桃体やその周辺が破壊されると、クリューヴァー・ビューシー症候群
アレキシサイミア(alexithymia)は、精神医学の用語で、自らの感情を自覚・認知したり表現したりすることが不得意で、空想力・想像力に欠ける傾向のことをさす。この傾向を持つ人は心身症になりやすいといわれている。つまり自らの感情を認識することが苦手なため、身体の症状として現れてしまうという(詳しくはアレキシサイミア、心身症参照)。
イスラム世界)。
感情に作用する薬物
抗うつ薬:抗うつ薬はうつ病、うつ状態の治療薬であり、落ち込んだ気分、意欲低下などを改善する。セロトニン系、ノルアドレナリン系、ドパミン系神経を賦活することで効果を発現する。抗うつ薬によってその3系統の神経系への働きの強さが異なり、薬剤ごとに薬効が異なる。
抗不安薬:ベンゾジアゼピン受容体に働くことで、不安を取り除く作用がある。
違法な薬物である覚醒剤は、脳のドーパミン系を強く興奮させることで快の気分を発現する。しかし同時にドーパミン系神経の異常を来たし、様々な副作用・後遺症を来たす。
その他にも、アルコール、ステロイドなど様々な薬物が感情に作用する。
感情を分析する医療用工学技術
情動:感性制御技術の分野における、韻律からの感情認識がある。医療用工学技術としては、情動は興奮において90%以上の認識精度を持つが、感情は個人の認知ラベルの影響差があり、そこまでの精度は保障されない。
感情認識:独立行政法人・情報通信研究機構と株式会社AGIの共同研究において、fMRI用に使用可能な感情認識は音声からの感性制御技術STがある。しかし、音声が出ない状況では使用できない。
その他にも、徳島大学などでは、表情からの感情認識の研究がされている。
脚注[脚注の使い方]^ Russell, James A. (1980-12). ⇒“A circumplex model of affect.” (英語). Journal of Personality and Social Psychology 39 (6): 1161?1178. doi:10.1037/h0077714
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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