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この概念は明治時代に日本にも持ち込まれ、大正時代には都市部の新中産階級に普及した[29]。一方で家族愛の中での比重は日本と欧米に違いが見られ、一般的に欧米は夫婦愛が最も重要であるのに対し、日本の家族愛は母性愛のイメージが多く語られる[30]。また、愛が家族関係の中心的な概念となった結果、逆に愛情が薄れた場合離婚などで家族関係を解消することも多くなった[31]
人類愛

全人類に対する愛を人類愛という。血縁関係や民族や人種などで人を差別するなどという下劣なことをしない愛である。詳細は「フィランソロピー」および「アガペー」を参照
愛と恋の違い

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出典検索?: "愛" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2011年8月)
恋愛」も参照

例えば日本語では「愛」という概念と「恋」という概念が、言葉として区別される。たとえば母や父が子を大切に思い、護り、そだてようとする気持ちは「愛」であるが、(基本的には)「恋」とは異なる。そのため、一方的に恋をしていても、ただの恋にすぎず、相手のことを実は本当には愛していない、というようことも起こりうる。当百科事典でも、愛と恋は区別し、恋のほうは恋愛という別記事で説明する。ただし、「恋」を包括する概念として「愛」が用いられることもあるので、単純な二元論として看做すのも不適切である。ロミオとジュリエットフォード・マドックス・ブラウンによる絵画 (1867年)

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}恋というものは「ただの恋」で終わってしまうことは多い。愛にまでは育たないことが多いのである。ただし、それぞれの人間性や人間的な成熟度にもよるが、最初は恋で始まった未熟な人間関係でも、交流を重ねるうちに、どちらかのうちに本物の愛が芽生え、育ってゆくことはある。[要出典]

異性への恋というのは実は、当人が気づいていなくても、まず最初に子孫を残すという動物的衝動があって、それが異性への強い関心へとつながり、その強い関心が当人にとっては「恋」と感じられていることがある。古代以来の哲学者たちがそれをどのように理解し説明してきたか、次に挙げる。

プラトンによると愛 er?sは善きものの永久の所有へ向けられたものであり、肉体的にも心霊的にも美しいもののなかに、生殖し生産することをめざす。滅ぶべきものの本性は可能な限り無窮不死であることを願うが、それはただ生殖によって古いものから新しいものをのこしていくことによって可能である。この愛を一つの美しい肉体からあらゆる肉体の美へ、心霊上の美へ、職業活動や制度の美へ、さらに学問的認識上の美への愛に昇華させ、ついに美そのものであるイデアの国の認識にいたることが愛の奥義である。プラトニック・ラブはもとこのような善美な真実在としてのイデアの世界への無限な憧憬と追求であり、真理認識への哲学的衝動である。しかしプラトンは美しい肉体への愛を排除するものでなく、イデアに対する愛を肉体的なものへの愛と切りはなして考えるものでもない[22]

プラトンは、エロスは神々と人間との中間者であり、つねに欠乏し、美しいものをうかがい、智慧を欲求する偉大な精霊(ダイモン)であるという。生殖の恋も愛智としての恋も、ともに不死なるものの欲求である。恋の奥義は地上の美しいものどもの恋から出発して、しだいに地上的なるものを離れ、ついに永遠にして絶対的な美そのものを認識するに至ることにある[22]
愛と性の関係明治春画(1880年)接吻 (The Kiss) - グスタフ・クリムト (Gustav Klimt)

愛情と性的な感情がごちゃまぜになった状態は「性愛」と言う。

ショーペンハウアーは、あらゆる形式の愛が性への盲目的意志に人間を繋縛するものであるとの理由で愛を断罪する。しかし、その主著には独自の「性愛の形而上学」の考察が含まれている。それによれば、愛はすべての性欲に根ざしているのであり、将来世代の生存はそれを満足させることにかかっている。けれども、この性的本能は、たとえば「客観的な賛美の念」といった、さまざまな形に姿を変えて発現することができる。性的結合は個人のためではなく、種のためのものであり、結婚は愛のためにではなく、便宜のためになされるものにほかならない[22]。フロイトは性欲のエネルギーをリビドーと名づけ、無意識の世界のダイナミズムの解明につとめたが、とくに幼児性欲の問題は従来の常識的な通念に大きな衝撃を与え、性愛の問題の現代的意味の追求への道を開いた。たとえばD.Hロレンスの文学は、性愛のいわば現代文明論的な意味の探求を一つの中心課題としているものといってよい。サルトル、ボーヴォワールらの実存主義者たちにも、人間論の中心問題としての愛、性欲の問題への立ち入った究明の試みがみられる[22]。(生殖とは、生物の個体が自己の体の一部を基として自己と同じ種類の別の個体を生じる現象をいう。個体にはそれぞれだいたい一定の寿命があって死滅するが、生殖によって種属の絶滅がふせげる。生物には個体維持の本能とともに生殖を全うしようとする種属保存の本能があり、両者を生物の二大本能という。生じた個体はその基となった個体とかならずしも同似ではないが、一定の世代数をへて同似のものにもどる。[22]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 古代ギリシア語では「φιλειν(philein フィレイン、愛する)」という動詞があり、それに対応する名詞が「フィーリア」である。この動詞φιλειν phileinは、その語幹 phil-と様々な語との組み合わせで用いられている。

たとえば古代ギリシア語の「φιλοσοφ?α(フィロソフィア)」はこのフィレインと「σοφ?α(ソフィア=知)」の組み合わせであり、もとは「知を愛すること」という意味で、これが哲学(また18世紀までの学問全般)になった。

ルカによる福音書』および『使徒言行録』の冒頭に献呈する相手の名として「テオフィロ様」とあるが、テオ(テオス)は「神」のことで、「神を愛する者」という意味の名である。

philology フィロロジーは、「言葉を愛すること」という意味から言語学文献学を指す。

philanthropy フィランソロピーは、「人類を愛すること」という意味で、人類への愛にもとづいた様々な慈善活動を指す。

philharmonie フィルハーモニーは、「フィレイン」と「ハーモニー」の組み合わせであり、ハーモニーを愛すること、という意味から交響楽団、交響楽演奏などの意味で使われている。


出典^ a b c d e 広辞苑
^ a b 旺文社『古語辞典』
^ 「純潔の近代 近代家族と親密性の比較社会学」p10 デビッド・ノッター 慶應義塾大学出版会 2007年11月10日初版第1刷発行
^ 「純潔の近代 近代家族と親密性の比較社会学」p1-2 デビッド・ノッター 慶應義塾大学出版会 2007年11月10日初版第1刷発行
^ 「純潔の近代 近代家族と親密性の比較社会学」p2-3 デビッド・ノッター 慶應義塾大学出版会 2007年11月10日初版第1刷発行
^ スコット・ペック『愛と心理療法』創元社, 1987年, ISBN 4422110837 など
^ a b 『新聖書辞典』いのちのことば社、3-4頁。 
^ヘブライ語対訳英語聖書 「???」(he-sed)
^ヘブライ語対訳英語聖書 Leviticus 20:17
^ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 7:8
^ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 4:37
^ a bヘブライ語対訳英語聖書 2 Samel 1:26
^ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 22:2
^ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 6:5
^ヘブライ語対訳英語聖書 Leviticus 19:18
^ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 10:9
^ヘブライ語対訳英語聖書 Exodus 20:6
^ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 5:10
^ ひろさちや『完全図解 仏教早わかり百科』1999年12月1日、38頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4391123951


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