愛の戦士レインボーマン
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映像でのタイトルは『レインボーマン』だが、エンディングテーマの歌詞、最終話のエンディングでのテロップ、映像ソフトのタイトル、関連商品の記述などでは『愛の戦士レインボーマン』とされている[1][2][3]
概要

レインボーマンに変身するヤマトタケシと、死ね死ね団の戦いを描いたテレビドラマ。本作品は東宝がテレビドラマのヒーロー物に初参入した番組である[3]。また1970年代の川内康範原作作品としてはテレビアニメ『正義を愛する者 月光仮面』に次ぎ、川内原作作品としても初の変身ヒーローものである[2][3]

原作者の川内は千葉真一主演した1960年のテレビドラマ『新七色仮面』、『アラーの使者』を本作品の基としているが[4][注釈 1]、単純な勧善懲悪ものではなく、川内の東南アジアにおける旧日本兵の遺骨収集の体験が反映された、数々の特徴をもっている。すなわち、かつて日本に虐待されたと自称する外国人が組織立って日本人に復讐しようとするという敵の設定、祖国が外国から迫害を受けている現実を目の当たりにしながらも、共に戦う仲間を得ることもなく、日本を守るために孤独な戦いを続けるレインボーマンの「祖国愛」、主人公の私生活やヒーローとしての苦悩に重点を置き、主人公をヒーロー番組の人物設定にありがちな完全無欠な性格としていない点、などである。

『レインボーマン』の企画を東宝に提案したのは、『月光仮面』の時代から川内康範と関わりの深かった企画者である萬年社の衛藤公彦であるが[注釈 2]、衛藤によれば当作は番組そのものの人気もさることながら商品化収入の面でも莫大な利益を上げたことで、2年目以降の放映延長も可能だった。1年で放送を終えたのは、原作者である川内の意向があったためと語っている[6]

製作者側が望んだ川内のポリティカルな姿勢は、衛藤の期待通り番組制作全体に及び、有川貞昌は特撮の演出面に関しても、川内から様々な叱咤激励があったと語っている[7]
レインボーマン

レインボーマンは変身ヒーローの名前である。レインボーマンは必要とする能力に合わせて、七曜にちなむ7種類の姿に変化(へんげ)し、それぞれの姿にちなんだ超能力を発揮する。単独ヒーローが状況に応じて様々に姿や能力を変化させる要素(フォームチェンジ)は、当時としては斬新なものであり[2]、のちの特撮番組にも応用されている。

キャラクターデザインは、『正義を愛する者 月光仮面』の監督を務めた岡迫亘弘によるものである[8][9][注釈 3]。岡迫は7種のデザインにあたり一目で見分けられることを心がけている[9]。背面はデザインしておらず、造形側の処理による[9]

レインボーマンの7つの衣装は、造形会社「開米プロダクション」が担当している。予算の関係で皮革素材は使えず、社長の開米栄三自身が浅草の専門店へ足を運んで伸縮性のある生地(ビニールレザー)を購入し、衣装屋に縫製してもらったそうである。開米によると、原作者の川内が多忙で、打ち合わせはホテルのロビーで行なったとのこと。

敵対する勢力は、ヒーローものにありがちな架空の宇宙人や怪人ではなく、日本人を憎悪し日本国家の滅亡と日本人撲殲滅を企む組織死ね死ね団で、現実の外国人[注釈 4]によって組織された集団である[2]。第2クールで魔女イグアナと殺人プロフェッショナルを送り込んだのを皮切りに、第3クールでは悪魔武装戦隊(DAC)を結成、第4クールでは部下などを次々とサイボーグ化しレインボーマン抹殺を目論んだ。

いわゆる怪人は登場しない[10]が、殺人プロフェッショナルなど、特殊な能力を持った異形の怪人的なキャラクターは存在している。

メカの描写は、『緯度0大作戦』や『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』など東宝特撮映画の特撮シーンを流用している[11]
物語の進行

戦いは、変身ヒーローなどに多い1話完結による「怪人対主人公」ではなく[10]、約1クール(13話)からなる「政治的結社の陰謀対それを阻止する主人公」であり、登場する殺人プロフェショッナルやサイボーグはレインボーマン打倒が目的で送り込まれるケースが多い。第2話の「この1年間、よくぞ耐え抜いた」というダイバ・ダッタのセリフ、第40話の「娘・イグアナが死んでから666日が経った」というゴッドイグアナのセリフから、作中では第2話の間に1年、第25話から第40話までの間に、2年近い時間の経過があったことになる。

ヒーロー誕生から敵組織との戦いに至る流れも従来のヒーロー番組とは異質であり、第1話においてはレインボーマンは幻影のみの登場、2 - 4話ではレインボーマンとなったタケシの人間ドラマが中心で、敵組織の「死ね死ね団」は4話目にして初めて登場する。
あらすじ

アマチュアレスリングで名をはせた高校生・ヤマトタケシは小学生のころ、妹を自分の不注意で交通事故に遭わせ、脚に障害を負わせてしまう。その治療費を稼ぐため、格闘技にさらに磨きをかけプロレスラーとなり、有名になって金持ちになるべく、インドの山奥に住む奇蹟の聖者ダイバ・ダッタのもとへと旅立った。折しも第三次印パ戦争の真っ只中であり、負傷したタケシだったが、年老いたダイバはタケシに長年夢に見た伝説の七色の戦士レインボーマンの素質を見出し、タケシを弟子に迎える。

タケシが長く厳しい修行をしながらその地で見たものは、同じ人間同士が傷つき殺しあう民族間の紛争だった。ダイバは死んだ兵士を超能力を用いて蘇らせるが、生き返ったにもかかわらず、再び争いを始める兵士たち。ダイバが諭すと、その神々しさに感銘した兵士たちは武器を捨て故郷へ帰っていった。

タケシはダイバの偉大な力に改心し、自分の力を人々の役に立てようと誓う。やがて月日は流れ、ダイバは老衰しその魂をタケシに委ねて果てた。その直後帰国したタケシは、自分が通っていたレスリングジムの経営者である正造が借金の保証人になっていることを知り、賭博レスリングで資金を稼ぐために単身マカオに飛ぶ。そこでタケシの前に待ち受けていたのは、日本滅亡と日本人撲滅を企む秘密結社、死ね死ね団だった。
キャスト
主人公側
ヤマト タケシ / レインボーマン
演 -
水谷邦久17歳の城東高校生でアマチュアレスリングの選手。「必殺回転落とし」という技を持ち「下町の黒豹」との異名を持つが、規定の試合に飽き足らず関東大会の決勝戦でこの技を使用し、4人もの怪我人を出してしまったためにレスリング部を除名された。その後プロ入りを目指すも、プロには「必殺回転落とし」が通用しなかった。アマチュアレスリング時代の先輩・堀田からインドの山奥に住む聖人ダイバ・ダッタの話を聞き、強くなるため日本を離れてダイバの弟子となった。1年間の苦しい修行の末、人類愛に目覚めてレインボーマンとなる。当初は典型的な軽い感じの若者で、しかも自信過剰な乱暴者だったが、死ね死ね団との死闘を繰り広げていくことで人間的に成長し、沈着冷静になった一方、次第にどこか陰のある青年となり、正体を明かすこともできずに苦悩する。第9話で死ね死ね団員にキャッツアイ入りの飲料を飲まされて狂気に陥ったうえ、続く第10話で死ね死ね団配下の医師の手で完全に狂人になってしまったが、ヨガの眠りで毒素を排出して回復する。
ダイバ・ダッタ
演 - 井上昭文インドのヒマラヤ奥地に棲む150歳の聖者[12]提婆達多がモチーフ。現地の人々にも信仰されており、様々な超能力を持つ。タケシに七色の戦士「レインボーマン」の素質を見出し、修行させる。やがて老衰を悟り、死に際にレインボーマンを伝授する。死後も霊体がタケシの夢枕に立ち助言を与える。また、タケシの最大の弱点であるヨガの眠りの最中のピンチには、実体化しタケシを温泉に入れて凍傷から救ったり、殺人プロフェッショナルのアイスリーを幻影で惑わしたり、タケシの目の前に現れ新しい技を伝授したりすることもある。「寿命が来た」と語り一度は完全に消滅したが、その後の素行から、生きているのか死んでいるのか判らない、得体の知れない存在となっている。タケシには「お師匠」と呼ばれている。
ヤマト たみ
演 - 本山可久子タケシとみゆきの母。「おふくろ」というおにぎり屋を一人で経営している。タケシがレインボーマンだとは知らず、危ない目に遭い夜になっても度々帰ってこない息子を常に心配している。
ヤマト みゆき
演 - 石川えり子タケシの妹。兄思いの優しい少女。幼少のころタケシと遊んでいる時に交通事故で怪我をし、足に障害を負ってしまい松葉杖の生活を強いられている。タケシはみゆきが怪我を負ったのは自分のせいだと常に自分を責め続け、いつか格闘技で大金を稼ぎ治療してやろうとしている。最終話にて足の手術を受けるために海外へ旅立った。
ヤマト 一郎
演 - 小泉博[注釈 5]タケシとみゆきの父で日洋新聞社の記者。


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