情報技術
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ヨーロッパでは、16世紀になるまでこれに匹敵する歯車式装置は登場しなかったが、1645年、四則演算が可能な機械式計算機が初めて製作された[9]

リレー真空管のいずれかを使った電子計算機が登場したのは1940年代初頭である。1941年に完成した電気機械式(英語版)のZuse Z3は、世界初のプログラム可能なコンピュータであり、現代の基準で完全な計算機といえる最初の機械の一つであった。第二次世界大戦中、ドイツのメッセージを解読するために、最初の電子式デジタルコンピュータとしてColossus(コロッサス)が開発された。これは、プログラム可能ではあったが汎用性はなく、単一のタスクを実行するために設計されていた。また、プログラムをメモリーに保存する機能もなく、プラグとスイッチを使って内部の配線を変更してプログラミングを行った[10]。現代の電子式デジタル・プログラム内蔵方式コンピュータの先駆けとなったのは、1948年6月21日に最初のプログラムを実行したマンチェスター・ベイビーであった[11]

1940年代後半にベル研究所トランジスタが開発されたことで、消費電力を大幅に削減した新世代のコンピュータを設計できるようになった。最初の市販されたプログラム内蔵式コンピュータFerranti Mark Iは、4,050個の真空管を使用し、消費電力は25キロワットであった。これと比較し、マンチェスター大学で開発され、1953年11月までに稼働していた最初のトランジスタ式コンピュータは、最終的にわずか150ワットしか消費しなかった[12]

半導体技術における他のいくつかの飛躍的な進歩には、1959年にテキサス・インスツルメンツ社のジャック・キルビーフェアチャイルド・セミコンダクター社のロバート・ノイスによって発明された集積回路 (IC)、1959年にベル研究所のモハメド・アタラ(英語版)とダウォン・カーンによって発明された金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET)、1971年にインテル社のテッド・ホフフェデリコ・ファジン嶋正利スタンレー・メイザーによって発明されたマイクロプロセッサがあった。これらの重要な発明によって、1970年代にはパーソナルコンピュータ (PC)が開発され、そして情報通信技術 (ICT)の誕生へとつながった[13]
電子データ処理詳細は「電子データ処理(英語版)」を参照Ferranti Mark Iコンピュータのロジックボード
データ記憶初期のコンピュータでは、データ(英語版)を表現するためにパンチテープが使われていた。詳細は「電子媒体」および「記憶装置」を参照

Colossusに代表される初期の電子計算機では、データを一連の穴で表した長尺の用紙であるパンチテープを使用していたが、現在ではその技術は廃れている[14]。現在のコンピュータに使われている電子データストレージは、第二次世界大戦中にレーダー信号の混乱を除去するために開発された遅延線メモリーにさかのぼり、その最初の実用的な用途が水銀遅延線だった[15]。最初のランダムアクセス方式のデジタル記憶装置は、標準的な陰極線管をベースにしたウィリアムズ管であった[16]。しかし、これらの装置や遅延線メモリーに保存された情報は揮発性であり、継続的にリフレッシュしなければならないため、電源を切ると失われてしまった。不揮発性のコンピュータストレージの最初の形式は、1932年に発明され[17]、世界初の市販汎用電子計算機であるFerranti Mark 1で採用された磁気ドラムであった[18]

1956年、IBM社は、305 RAMACコンピュータシステムの構成部分として、最初のハードディスクドライブを発表した[19]:6。今日、ほとんどのデジタルデータは、ハードディスクに磁気的に、またはCD-ROMなどのメディアに光学的に保存されている[20]:4?5。2002年まではほとんどの情報がアナログデバイス(英語版)に保存されていたが、この年にデジタルストレージの容量が初めてアナログを超えた。2007年の時点で、世界中に保存されているデータのほぼ約94%がデジタルで保存されていた[21]。52%がハードディスク、28%が光学デバイス、11%がデジタル磁気テープである。1986年には3エクサバイト (1018 B; ギガバイト<GB>の10億倍) 以下だった世界的な電子機器の記憶容量は、2007年には295エクサバイトに増加し[22]、約3年ごとに倍増していると推定されている[23]
データベース詳細は「データベース」および「en:Database」を参照

データベース管理システム (DMS) は、大量のデータを正確かつ迅速に保存および検索するという問題に対処するため、1960年代に登場した。初期のそのようなシステムとしては、IBMのInformation Management System(IMS)があり[24]、50年以上経った今でも広く展開されている[25]。IMSはデータを階層的に格納するが[24]、1970年代にテッド・コッドは、集合論述語論理をベースに、テーブル・行・列という使い慣れた概念を用いた新しいリレーショナル・ストレージ・モデルを提案した。1981年に、市販用として初のリレーショナルデータベース管理システム (RDBMS) はオラクル社から発表された[26]

すべてのDMSは、複数の構成要素から作られており、格納されているデータの整合性を維持しながら、多くの利用者が同時にアクセスできるようになっている[27]。そしてすべてのデータベースでは、格納されているデータの構造(データベース・スキーマ)が、データそのものとは別に定義され、格納されている点で共通している[24]

近年、拡張可能なマーク付け言語 (extensible markup language; XML) が、データ表現の一般的なフォーマットになった。XMLデータは通常のファイルシステムに保存することもできるが、「長年の理論的および実践的な努力によって検証された堅牢な実装」を利用するために通常、リレーショナルデータベースに保持される[28]文書記述言語 (Standard Generalized Markup Language; SGML) を発展させたXMLのテキストベースの構造は、機械にも人にも読めるという利点がある[29]
データ検索

リレーショナルデータベースモデルでは、関係代数(リレーショナル代数)に基づいて、プログラミング言語に依存しない構造化照会言語 (Structured Query Language; SQL) が導入された。


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