日本において「情報システム」という言葉が最初に見られるのは、「情報」および「システム」というどちらの言葉が一般化するよりも古く、いわゆる「MIS」こと経営情報システムという語の一部としてであり、1963年に「経営情報システムの展開と経営構造の高度化--わが国の経営機械化の問題との関連において」という題の文献がある[4]。MISという語自体はその後、バズワードの典型のような[※ 2]経過を辿るが、Information Systems 及び「情報システム」という部分は、前述の英語の語義のように、法人などの組織体におけるコンピュータ・システムの利用、といった意味で使われるようになり、情報処理学会の学会誌『情報処理』の総目録を調べると、1972年に「データ開発と情報システム」[5]という記事があるのが、記事名での初出である。
その後、1980年代に浦昭二らにより「人間中心の情報システム」が提唱され(1989年に『情報システムハンドブック』が上梓されている)、「情報システム学会」および情報処理学会の「情報システムと社会環境研究会」では、その主張に沿った「情報システム学」が研究されている。同研究会が中心となってまとめられた「ISディジタル辞典」の「情報システム」の記事[6]によれば、『情報システム学では,「情報システムとは,組織体(または社会)の活動に必要な情報の収集・処理・伝達・利用に関わる仕組みである。広義には人的機構と機械的機構とからなる。コンピュータを中心とした機械的機構を重視したとき,狭義の情報システムとよぶ。しかし,このときそれが置かれる組織の活動となじみのとれているものでなければならない。」と定義している』とあり、その後に引き続く説明によれば、コンピュータ無しの情報システムというものもあるが、人間無しの情報システムというものは無い、といったような説明がある。
これらの情報システムを管理する法人内の部門はしばしば「情報システム部」「情シス」と呼称される。 法令において情報処理システムは、「電子計算機及びプログラムの集合体であって、情報処理の業務を一体的に行うよう構成されたものをいう。」(情報処理の促進に関する法律第20条第5項)と説明されている。 明確な定義は存在しないが、一般的には企業内に構築されている情報処理システムは、主たる機能と運用方法の違いによって以下の2つのシステムに分けて扱われることが多い。以下に書かれているもの以外にも、コンピュータを利用した情報処理を行っているシステムは数多くあるが、いわゆる「情報システム」と呼んでいる業界が扱うことが可能な範囲が以下の2つである、ということである。
法令による定義
企業内の情報処理システム
基幹系システム
基幹系システムは、企業の主たる業務の情報処理を支えるためのコンピュータシステムであり、銀行業では勘定系システム、製造業では受注・生産・配送計画システムや会計システム、運輸では運行管理システムなどを指す。
情報系システム
情報系システムは、主たる業務に付随した情報処理を行うためのコンピュータシステムであり、経営判断をサポートする目的で基幹系システム内部や別途に構築したデータベースを分析して報告書を作成するシステムや人事管理システム、企業内ネットワーク/電子メール/Web/デジタル電話/会議システムなどを指す。
注釈^ たとえば、宇宙探査機や惑星ローバのような、人間から遠く離れた情報システムについては扱わない、ということだろう。
^ 過剰な宣伝による期待を持たされたがための失望という
出典^ a b 情報システム - 大辞林、デジタル大辞林
^ 岸 & 野田 2016, p. 2.
^ ⇒http://computingcareers.acm.org/?page_id=9
^ 経営情報システムの展開と経営構造の高度化--わが国の経営機械化の問題との関連において : 1963-11|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
^ ⇒http://id.nii.ac.jp/1001/00008136/
^ 情報システム 。ISディジタル辞典?重要用語の基礎知識?
参考文献
岸 知二、野田 夏子『ソフトウェア工学』近代科学社、07-31。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-7649-0509-2。
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、情報システムに関連するメディアがあります。
システム
扱う対象・解決する問題による分類
企業情報システム
ビジネスシステム
社会システム
GPS
ICカード
勘定系システム(金融機関)
POSシステム(コンビニエンスストアなど)
図書館システム(図書館)
地理情報システム
eラーニングシステム (学校、企業研修など)
戦術情報処理装置
戦術データ・リンク
海軍戦術情報システム(西側諸国海軍)
公共車両優先システム
配車配送計画ソフト
自動車ナンバー自動読取装置
構成要素による分類
コンピュータシステム
ハードウェア
ソフトウェア
コンピュータネットワーク
インターネット
World Wide Web
その他