物権法の分野でも立証の困難という意味で使われている[10]。
消極的事実の証明「消極的事実の証明」も参照
「ないことの証明」を、「悪魔の証明」とする使われ方もある[11]。また、証明が困難でないことを『「悪魔の証明」には当たらない』と反論で使うこともある[12]。
なお、欧米でも同様の用法が存在する[13][14]。 消極的事実の証明に関連する法諺として、「否定する者には、立証責任はない」がある[15]。 パウルスは「主張する者は証明を要し、否定する者は要しない」とした[15]。ディオクレティヌスとマクシミアヌスは「事実を否認する者には、立証義務はない」とした[15]。現在では、法律要件分類説が通説となっている[15]。 悪魔の証明は証明不可能な事態を指し、単に証明困難な事態を指すのではない[2]。「ない」という消極的事実の証明を求めることは証明不可能で悪魔の証明になるが、「ある」という積極的事実の証明を求めることは単に証明困難なだけで悪魔の証明にならない[2]。
関連する諺
悪魔の証明の誤用「ヘンペルのカラス」および「消極的事実の証明」も参照
脚注[脚注の使い方]^ 田中整爾『占有論の研究』 有斐閣 (1975)p84.ゲオルク・クリンゲンベルク『ローマ物権法講義』(瀧澤栄治訳)2007年、大学教育出版、p.77.藤原弘道「占有正権原の立証と占有の推定力」判例タイムズ 18巻5号, pp64-68, 1967年3月、判例タイムズ社
^ a b c d e f g h i j k l m 七戸克彦「所有権証明の困難性(いわゆる「悪魔の証明」について) : 所有権保護をめぐる実体法と訴訟法の交錯
^ 司法研修所編『新問題研究 要件事実』60頁(法曹会)
^ 川島武宜『新版 所有権法の理論』127頁
^ 伊藤眞『民事訴訟法 第4版』361-362頁
^ a b 神田孝夫「登記の推定力について」北大法学論集20(1)、1969年,p89-90.
^ a b c 神田孝夫「登記の推定力について」北大法学論集20(1)、1969年,p98.
^ 兼子一「推定の本質及び効果について」法学協会雑誌・55・12・1)p33、1937年
^ 伊藤眞『民事訴訟法』第2版,p315、2002年
^ 舟橋諄一『物権法』275頁
^ 並木茂「証明責任の分配についての二,三の試論」司法研修所論集63・48,昭和54年、p54.
^ 松本博之『証明責任の分配』(平成8年)p408,並木茂『要件事実原論』悠々社2003年、p179.
^ Barendrecht, J.M., et al. Service contracts. Principles of European law / Study Group on a European Civil Code, 1860-0905,2007,p752.
^ Donahue, Charles, Jr. "Medieval and early modern lex mercatoria: an attempt at the probatio diabolica." Chicago Journal of International Law 5.1 2004年, P27
^ a b c d 吉原達也、西山敏夫、松嶋隆弘『リーガル・マキシム: 現代に生きる法の名言・格言』p264-265
参考文献
伊藤眞『民事訴訟法』第2版、有斐閣、2002年
神田孝夫「登記の推定力について」北大法学論集20(1)、1969年
七戸克彦「所有権証明の困難性(いわゆる「悪魔の証明」について) : 所有権保護をめぐる実体法と訴訟法の交錯」『慶應義塾大学大学院法学研究科論文集』第27号、慶應義塾大学法学研究会、1988年3月、73-97頁、ISSN 0286-3723、NAID 120000987272。
田中整爾『占有論の研究』 有斐閣 (1975)
並木茂『要件事実原論』悠々社2003年
舟橋諄一『物権法 法律学全集 (18)』有斐閣 1960年
Barendrecht, J.M., Jansen, C.E.C., Loos, M.B.M., Pinna, A.P., Cascao, R.M., & Gulijk, S. van, Principles of European law. Service Contracts. Oxford University Press, 2007
ゲオルク・クリンゲンベルク『ローマ物権法講義』(瀧澤栄治訳)2007年、大学教育出版
関連項目
証明責任
推定
占有
登記
背理法
怪文書
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