悪魔くん
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平凡社の世界教養全集『魔法』やゲーテの『ファウスト』などを参考にし、当時はまだ一般には知られていなかったオカルトの世界を取り入れて、悪魔くんが十二使徒とともに革命を目指す物語を描いた[1][2]白土三平の大河劇画『忍者武芸帳』に刺激を受け、当初は全5巻予定の壮大な構想だった。しかし2300冊を発行した第1巻の実売が902冊の結果となったため、その時点で3巻目での打ち切りが決定。既に2巻目が印刷され、3巻目の執筆が始まっていたため、当初の構想を全うすることができなかった。そのため使徒が全員揃うことはなく、全ての事件の謎が解けないままとなり、主人公は暗殺されるという結末になってしまった[5]小学館クリエイティブ角川文庫から復刻されている。
『悪魔くん復活 千年王国』
1970年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載。結末の補完を目指した貸本版のリメイク作品。貸本版とは異なり十二使徒が全て揃うが、千年王国の建国に向けて行動を開始するところで物語は終わる。1980年代以降では『悪魔くん 千年王国』のタイトルで何度か復刻されており、現在はちくま文庫から復刻されている。
『鬼太郎対悪魔くん』
1976年『月刊少年ジャンプ』7月号に掲載。初出時のタイトルは「新作悪魔くん 悪をほろぼせ!!の巻」であったが、単行本収録時に改題された[6]。地獄の悪魔を引き連れて現れた悪魔くんが鬼太郎と戦う内容の読み切り作品。
『悪魔くん世紀末大戦』
1987年10月31日号(No.9)から1988年10月31日号(No.15)にかけて『コミックBE!』(光文社)に連載。貸本版の直接的な続編。1997年の東京を舞台に復活した悪魔くんが千年王国の樹立のために再び動き出す。当初は企画発案者の朝松健がシナリオ協力として参加していたが、本業が多忙になり降板を余儀なくされ、後半は竹内博が担当した[7]。なお、これも十二使徒が全員揃う前に連載終了を迎えている。光文社から単行本が出た後に、徳間書店から復刻されている。
登場キャラクター(「松下一郎」版)
松下 一郎(まつした いちろう)
小学二年生。大手電機メーカー「太平洋電気」の社長令息。大きな垂れ目、タマネギを思わせる髪型、突き出た額といった独特の容貌をしている。「精神的異能児」と言われるほどの天才的頭脳を持つ少年で、貧富の格差がない平和な世界を創造しようとしている。一般的な倫理の枠にとらわれず、目的のためなら手段を問わない面がある。あまりの頭の良さゆえにクラスメートから「悪魔くん」とあだ名されている。貸本版・『千年王国』版ともに野望を叶える前にヤモリビトの佐藤の密告により暗殺されるが、後に復活することが予言される。『世紀末大戦』では蛙男の手で34年後に復活を遂げ、十二使徒とともに再び平和世界の実現に向けて活動を開始。死亡していた間、魂が天界で修行を積んでいたため、本物の悪魔を凌ぐほどの魔力を身につけている。『千年王国』では八仙人の助けにより数年後に復活。
ファウスト
一万年に一人あらわるという東方の神童を待ち続けて400年を生きた老人。ゲーテの『ファウスト』の主人公をモチーフにしている。松下一郎に悪魔を召喚する方法とソロモンの笛を与え、その生涯を閉じる。今際の際に「現世は夢になり、夢は現世になる」という言葉を残し、松下に深い感銘を与えた。
蛙男(かえるおとこ)
元は松下一郎の家庭教師だが、古代の魔法使「蛙男」の魂を入れられたことで蛙のような顔の別人になった。悪魔くんの右腕というべき存在の第一使徒。『世紀末大戦』でも登場し、儀式により松下を復活させた。
ふくろう女
『千年王国』に登場する第二使徒。松下一郎が古代の魔法使「ふくろう女」の魂を蘇らせて一羽のふくろうに宿らせた。悪魔を召喚するための正しい魔法陣の図面を知っているのは彼女だけとされる。
佐藤
松下一郎の二番目の家庭教師。松下の計画によりヤモリビトの魂を入れられたが、呪医フラン・ネールにより完全に乗っ取られることを免れる。その後は第三使徒ヤモリビトを演じながら松下に従う。イスカリオテのユダに対応したキャラクターであり、松下をあざむいて官憲に引き渡し、死に導く。その後は悪魔と組むが、結局は都合よく利用されただけであり、三年後には無一文になって病に苦しみながら路傍で途方に暮れているところを蛙男に見つかる。そこで蛙男の説得を受けて改心し、共に松下のために働くことを誓う。『世紀末大戦』では既にこの世を去っていた。
ヤモリビト
松下一郎が復活させようとしていた古代の魔法使のひとり。ヤモリを操るほか、『千年王国』では悪魔を呼び出す方法が書かれた「創造の書」を読めるのは彼だけとされる。奥軽井沢の入らずの森に墓があり、松下の手引きでそこに導かれた佐藤に魂が入り込むが、完全に佐藤と入れ替わる前にフラン・ネールの呪法で魂を殺される。容姿が少年マガジン版の「悪魔メフィスト」の元になっている。
松下 太平(まつした たいへい)
一郎の父親で、大手電機メーカー「太平洋電気」の社長。息子の頭が良すぎることに悩んでおり、普通の人間になって欲しいと願って社員の佐藤に家庭教師を依頼した。『千年王国』では悪魔ベルゼブブに陥れられて会社を乗っ取られてしまい、最後は殺されそうになるが、一郎に助けられて十二使徒に加わる。続編の『世紀末大戦』でも健在で、山本魔州から一郎の抹殺を命じられるが、それには従わず何かあれば自分も協力すると一郎に告げた。
ロソン
松下一郎に呼び出された悪魔。第四使徒。見た目は背広を着て髭を生やした男性で、特別な力もなく、人間とほとんど変わらない。狡賢く、後に日本を経済的に支配する。続編の『世紀末大戦』にて「ロソン」という名が出る。ロソンコンツェルンの会長として君臨していたが、復活した松下によって半ば強制的に十二使徒として働かされる。悪魔を呼びだす呪符を使うなど、多少悪魔らしい力も披露している。
ベルゼブブ
『千年王国』で松下一郎に呼び出された悪魔。第五使徒。ロソンと違い、毛むくじゃらで人間離れした容姿をしている。悪魔の中では最下級で魔界のハエにすぎないと言われており、腕力も弱いが、不死身で女性を魔女に仕立て上げる能力がある。松下と契約したものの忠誠は誓っておらず私腹を肥やすことのみを考えており、第五使徒として働くふりをしながら、ヤモリビト佐藤を唆して松下を暗殺させる。
家獣(かじゅう)
『千年王国』に登場する第六使徒。『世紀末大戦』でも登場し、蟹の悪魔シェキリロンを倒すなど活躍する。「埋れ木真吾」版にも第八使徒として登場。
別荘番(べっそうばん)
眼鏡をかけた禿げの老人で、松下一郎の別荘を管理している。『千年王国』では妻たちとともに家獣の内部に閉じ込められていたところを松下に助けられて第七使徒となる。
ロナルド・サタン
世界の三分の一を占める石油会社の社長で、政財界を牛耳る権力者。ファーストネームは『世紀末大戦』で判明する。裏の顔は三千年前に東方の三賢人に呼び出された悪魔サタンの末裔で、エジプトのスフィンクスに仕えている魔法使い。悪魔を呼び出す権利は自分だけにあると考え、松下一郎と対立する。貸本版では奥軽井沢で松下との魔法合戦に敗れて九千億円を払わされるが、それでも懲りずに軍隊を率いて再び松下たちを襲ったところを返り討ちに遭い死亡。『千年王国』では松下の父親に助けを求められてベルゼブブと戦うが、相手の方が上手でありダイヤモンドの中に逃げ込むも出られなくされてしまうが、松下の手で救出されてスフィンクスと共に帰って行った。
スフィンクス
サタンの主。貸本版ではサタンが松下一郎に殺されたことにより日本に向かって動き出したが、松下が死亡したため途中でエジプトに帰った。
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