悪魔が来りて笛を吹く
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23 - 24歳位[注 16]でスタイルのいい美しい女性。芸者見習いをしていた時に公丸に見初められた。普段の言動に似つかわしくない古風な価値観を有しており、内祝言を挙げた秌子と目賀を軽蔑している。タイプライターを美禰子に教わり、打つのが上手い。公丸の他に戦時中徴兵されて戦死した恋人がおり、出征前夜に会いに来た彼に「心中立て」したため、左手の小指が欠けている。停電を利用したトリックに即座に気付くなど聡明な一面もある。公丸殺害により椿家にとって「縁なき衆生」になったが、殺人事件の重圧に押し潰されそうな中で彼女が撒き散らすコケットリーな空気の救いが必要とされ、事件解決まで椿家に同居し続けた。
河村家
河村辰五郎(かわむら たつごろう)
堀井駒子の父。植木屋の親方を務める植木職人で通称「植辰」。玉虫伯爵の別荘に出入りし、近隣の旅館・三春園でも働いていた。玉虫家の別荘で駒子が妊娠した際、胎児の父が新宮利彦であるのを知ると東京の玉虫家まで出向いて多額の手切れ金を請求した。駒子の口から新宮兄妹の人倫に背いた関係を聞いており、公丸から託された里子・治雄の出自を察して伯爵から口止め料を強請る「金づる」にする目的で引き取り、強請りとった金で遊び暮らした。植木屋の株を「植松」に譲って板宿(いたやど
[注 17])に移っていたが、空襲のさ中、酔っ払って1つで家の外に飛び出して直撃弾により死亡した。
おたま
河村辰五郎の最後の妾。復員して訪ねてきた治雄に、小夜子の自殺とおこまの現況を伝えた。出川が探し当てたときには、大阪天王寺区の下等な売春宿で売春および売春の斡旋を行い、悪い病気をもらって寝たきりになっていた。
堀井駒子(ほりい こまこ)
辰五郎の娘で通称「おこま」、旧姓は「河村」。42 - 43歳。小奇麗な顔立ちだが気苦労から老け込み、55歳程度に見える。河村治雄とは血縁はないが、戸籍上の異母姉弟に当たる。若い時分は色の白い美人で一通りの礼儀作法の心得があり、玉虫家の別荘で夏にだけ臨時の小間使いをしていた。大正12年の夏、新宮兄妹の関係を知ってしまったために、口封じのために新宮利彦に犯され、小夜子を妊娠・出産する羽目に陥る。後に父の弟子・堀井源助の元に嫁がされた。度々自宅に出入りする治雄を温かくもてなしていたが、はじめて飲酒した治雄の左肩に新宮利彦が持つものと同様の痣を目撃して治雄の出自に疑いを持ち、辰五郎を詰問して事実を聞き出す。その結果、治雄のことを避けるようになるが、当の治雄に事実を告げることをしなかったため、自らの強制疎開と小夜子の徴用とで目が届かなくなっている間に治雄と小夜子が仲を深めていくことを止められなかった。小夜子を自殺で喪った後、淡路に渡り出家して・妙海になった。終戦後、真相を知るべく自分を捜し訪ねて来た治雄や椿英輔に忌まわしい過去と真相を打ち明け、それが英輔の自殺の引き金となったことを酷く気にした。公丸が殺害されたこと知り、犯人が治雄で次は利彦が狙われることに気付いて、父の最後の妾・おたまを訪ねるが、会うことは叶わなかった。真相を証言されることで利彦殺害の機会が失われる可能性を懸念した東太郎の命を受けた飯尾により殺害された。
河村治雄(かわむら はるお)
1924年(大正13年)6月に誕生。戸籍上は辰五郎とその妻・はるの長男となっているが、実は椿秌子とその兄・新宮利彦との近親相姦によって生まれた子である。高等小学校卒業後、実の親ではないうえ妾をどんどん替える辰五郎の元には居づらく、家を出て神戸の商家に奉公しながら夜学に通い、19歳の頃ドイツ系の商社に就職してタイプライターを習得した。堀井母娘を度々訪問し親交を深めており、実の父を知らないという境遇が似ていたことから、当時は血縁がないと認識していた戸籍上の姪・小夜子と惹かれ合い、夫婦の契りを結ぶ[注 18]1944年(昭和19年)6月に出征し、1946年(昭和21年)5月に復員した後、八方手をつくして小夜子の消息を探した結果、同年夏ごろにおたまを探し当てて小夜子の自殺を聞かされ、淡路にある妙海尼(おこま)の庵の住所を聞き出して訪ねる。そして、小夜子の自殺理由を激しく問い質し、自身の呪われた出自と小夜子が異母妹であった事実を知り、小夜子と自分とのための復讐を誓う。利彦と同様の左肩の痣を証拠に椿英輔に名乗り出て、「三島東太郎」と命名され椿家の書生になった。
堀井小夜子(ほりい さよこ)[注 19]
駒子が新宮利彦に犯されて産んだ娘。一彦の異母姉に当たる。1924年(大正13年)6月頃に誕生。幼少の頃から母親に似て美しく、どこか常に憂いを帯び、寂しげで影のある美人。実の父が誰か知らずに育つ。戸籍上の叔父(戸籍上だけの話で血縁はないと本人達は認識していた)治雄と恋仲になり、出征前に夫婦の契りを結び、将来を誓い合う。治雄が出征している間に妊娠が判明。恋人であり胎児の父・治雄が自分の異母兄であるという呪われた事実を母親に教えられ、苦悩し耐えられなくなり、1944年(昭和19年)8月末、妊娠4か月の治雄の子供を宿したまま青酸加里を呷り自殺した。位牌に記されている戒名は「慈雲妙性大姉」。
堀井源助(ほりい げんすけ)
駒子の亡夫で小夜子の血の繋がらない戸籍上の父親。河村辰五郎の弟子の植木職人で、通称「源やん」。旅館・三春園の女将から「みっともない顔」と評される顔立ち。辰五郎から玉虫家の別荘で妊娠させられた駒子を押し付けられる形で結婚した。駒子より7歳年上。押し付けられた駒子に打つ、蹴る、髪を引きずり回す等の暴力を振るっていた。植木職人は辞めて須磨を去った後は神戸で土方のようなことをしており、身持ちを崩した。治雄が19歳で就職するより、かなり前に死去している。
三島家
三島省吾(みしま しょうご)
本物の三島東太郎の父親。椿英輔の旧友。1942年(昭和17年)頃、岡山県立第×中学の
教頭を務めたことがあった。1943年(昭和18年)、脳出血により死亡。
三島勝子(みしま かつこ)
三島省吾の妻。本物の東太郎の母親。1944年(昭和19年)、岡山市大空襲の際に死亡。
三春園(さんしゅんえん)
おかみ(氏名不明)
須磨寺にあった玉虫家の別荘近隣の旅館・三春園の女将。40歳。須磨を訪れ、単身旅行者を泊めてくれる宿がなく困っていた英輔を気の毒に思い、特別に泊める。三春園の家付き娘で、自分の娘時代、夏に玉虫伯爵が別荘に遊びに来る親戚を連れてよく食事に来たのを憶えており、特に同じ年頃で、旅館に親族で食事に来た際、声を掛けてくれた秌子が印象に残っている。ほか、玉虫家に雇われていた植木職人の辰五郎とその娘駒子・幼少期の小夜子について知る。
番頭(氏名不明)
三春園の番頭。英輔を淡路島へ送った明石の漁師を見つけ出した。
おすみ
三春園の女中。色は白いが不美人。利口[注 20]な娘で優れた観察眼を持つ。椿英輔の須磨滞在中、元玉虫家の別荘跡地にて暗い面持ちで立ち尽くす英輔を目撃した。また、外出から帰った英輔の外套やズボンから潮の匂いがして魚の鱗が付着していたことや、英輔が旅行を秘密にしようとしていたという話から、漁船で淡路に行ったことを推理する[注 21]
その他
飯尾豊三郎(いいお とよさぶろう)
「天銀堂事件」の犯人。英輔とよく似た顔立ちの好男子。早い段階から最有力容疑者と目されていたが、英輔に容疑が向けられる過程で容疑者リストから外れ、そのままになっていた。善悪の区別が無い、道徳的に不感症のような男だが、治雄のことは戦後の闇市で初めて出会ったときから苦手だったという。真犯人である証拠を治雄に握られて椿家の事件の共犯となったが、用済みになり治雄により惨殺されて芝の増上寺の境内で
猿股のみの遺体が発見された。
芳村作造
英輔を淡路島へ送った明石の漁師。目的地が釜口村であったことを覚えていた。
慈道(じどう)
妙海尼(おこま)を山の中腹にある尼寺に住まわせるよう世話をした、隣村の法乗寺の住職
映画
1954年版

『悪魔が来りて笛を吹く』は1954年4月27日に公開された。東映、監督は松田定次、主演は片岡千恵蔵。詳細は「悪魔が来りて笛を吹く (1954年の映画)」を参照
1979年版

悪魔が来りて笛を吹く
監督
斎藤光正
脚本野上龍雄
原作横溝正史
製作角川春樹
橋本新一(プロデューサー)
出演者西田敏行
宮内淳
斉藤とも子
二木てるみ
夏八木勲
鰐淵晴子
仲谷昇
音楽山本邦山
今井裕
主題歌榎本るみ「旅行く者よ」
撮影伊佐山巌
編集田中修
製作会社東映東京
配給東映
公開 1979年1月20日
上映時間136分
製作国 日本
言語日本語
配給収入7億3000万円[10]
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ポータル 映画
プロジェクト 映画

『悪魔が来りて笛を吹く』は1979年1月20日に公開された。製作・配給、東映。監督は斎藤光正、音楽は山本邦山今井裕。主演は西田敏行[注 22]
原作との相違


お種は小夜子と同一人物であり、東太郎(治雄)との複数犯行である。

東太郎の指が欠損しているという設定は無く、したがってフルートの運指に関するトリックも無い。

東太郎とお種は椿家でも兄妹と認識されている。

三島東太郎という偽名の由来は不詳だが、戦争中に英輔の当番兵だった人物(故人)の息子ということになっている。

原作とは逆に、治雄は利彦と妙海尼(俗名は駒子ではなく妙子)の子であり、小夜子が利彦と秌子の子供である。


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