ただし、非常に遠方にある星には視差が使用できないため、周期的脈動変光星である古典的セファイド変光星を利用した距離測定がなされる[14]。1908年にハーバード大学天文台のヘンリエッタ・スワン・リービットがケフェイド変光星の変光周期と絶対等級が比例する、いわゆる周期-光度関係を発見したことにより開発された方法で、ケフェイド変光星の周期を求めることで絶対等級を算出し、それを見かけの等級と比較することで距離を割り出す[15]。
恒星までの距離が判明すれば、本来の明るさである絶対等級が計算できる。ある恒星までの距離を10パーセクとした場合に見える視等級を表す[10]。視等級と絶対等級は必ずしも一致せず、例えば太陽は地球からの視等級は-26.78等星であるのに対し、絶対等級では4.83等星にすぎない[16]。 表面温度による色と型の違い型温度(ケルビン)[17]代表的な恒星[18] 恒星の光を分光器にかけ、そのスペクトルを観察すると、暗い筋であるフラウンホーファー線が見られる。この線が現れる位置は恒星の表面温度を反映しており、19世紀末から20世紀にかけてハーバード大学天文台が高温のO型から低温のM型までの7種類の分類を施した[19]。スペクトルによる分類に最初に着手したのはハーバード大学天文台のエドワード・ピッカリングと助手のウィリアミーナ・フレミングであり、水素の多いものをAから順に分類していく方式を取ったがこれは不十分なもので、のちに同天文台のアニー・ジャンプ・キャノンがOからMまでの7タイプに分類するハーバード法を確立した[20]。 ハーバード法による分類は、以下のようになる。 現在は、この7種それぞれをさらに9段階のサブクラスに分け、合計63段階で表示される[19]。 1940年代に、同じスペクトルに現れる線の太さや強さが着目され、これが恒星の絶対等級と関係することが明らかになった。たとえばBやA型の恒星では、絶対等級の明るい星ほど水素のパルマー線の幅が狭く、絶対等級効果と呼ばれる。これを元に光度階級という指標が導入され、ローマ数字のIからVまでの5段階で表す[19]。 上記2種類の分類を組み合わせる表示法はMK2次元分類と呼ばれる。たとえば太陽はG2V、ベガはA0V、はくちょう座のデネブはA2Iである[19]。MK分類の名は、開発者のウィリアム・ウィルソン・モーガンとフィリップ・チャイルズ・キーナン
恒星の分光
O33,000 K or 以上とも座ζ星
B10,500?30,000 Kオリオン座γ星
A7,500?10,000 Kシリウス
F6,000?7,200 Kプロキオン
G5,500?6,000 K太陽、カペラ
K4,000?5,250 Kアークトゥルス
M2,600?3,850 Kベテルギウス、ミラ
O型:電離したヘリウム、高階電離状態の炭素・窒素・酸素などの線が現れる。
B型:強い中性ヘリウムや水素の吸収線が現れる。
A型:強い水素の吸収線と、金属吸収線が現れる。
F型:弱い水素の吸収線と、強い電離カルシウムのH・K線が現れる。
G型:F型よりも水素の吸収線が弱く、H・K線はより強い
K型:多くの金属吸収線が現れる。
M型:K型に、酸化チタン(TiO)の吸収帯が際立つ。
I型:もっとも直径が大きい恒星(超巨星)[19]
II型:次に直径が大きい恒星[19](輝巨星)[21]
III型:直径が大きい恒星(巨星)[19]
IV型:巨星と矮星の間に当たる恒星[19](準巨星)[21]
V型:矮星(主系列星)[19]
スペクトルを分析すると、特定の元素が示すフラウンホーファー線は実験室で観察する線とずれが見られる場合がある。これは、恒星の固有運動によって距離が変化するために生じるドップラー効果が影響する。ここから逆に、恒星がどのような運動をしているかを分析することができる[23]。また、恒星が含む元素構成比を測定することも可能であり、恒星の進化状況を判断する材料も与える[23]。
色