理論的には、多体問題はカオスになるため、多重星系をモデル化することは連星系よりも難しい。複数の恒星の多くの配置は不安定で、最終的には1つの恒星が他の恒星に近づきすぎ、系から弾き出される[7]。もしこの系が、Evansがいうところの[8]「階層的」なものであれば、不安定さはなくなる。階層的な系では、系の恒星は2つのグループに分けられ、それぞれが系の重心の周りの大きな軌道を横断することになる。またそれぞれのグループの中も同じように階層的になる。この場合は、恒星の運動は系の重心の周りでほぼケプラーの法則に従う[9]。
観測三重星系HD 188753の想像図
既知の多重星系の多くは三重星系であり、恒星の数が大きくなるほど指数関数的に少なくなる[10]。例えば、1999年版のTokovinin's catalog of physical multiple starsでは[5]、728の恒星系のうち、551が三重星系である。しかし観測選択効果により、この統計はかなり不完全なものである[11], §2.。
先述の力学的な不安定性のため、三重星系は一般的に階層的であり、隣接する連星と遠くにある伴星の組合せになる。さらに数が多い多重星系も、同様に階層的になる[10]。六重星系までが知られており、例えばカストルは1つの連星系と離れた位置にある2つの連星系のペアとの組合せになる[12]。またADS 9731
も六重星系として知られ、ここでは1つの恒星と分光連星からなる三重星系が2つの組合せになっている[13]。典拠管理データベース: 国立図書館
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