恐竜
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K-Pg境界(以前はK-T境界と呼ばれた)の大量絶滅は、恐竜のみならず数多くの動植物を巻きこんだという意味で大規模な絶滅であり、事実、K-Pg境界における恐竜の絶滅に関する科学的な研究は長い間なされてこなかった[11]

絶滅の主要因に関する仮説には以下などのものがある。

短時間で滅んだとする激変説(隕石衝突説・彗星遭遇説など)

長時間かかったとする漸減説(温度低下説・海退説・火山活動説など)

最も有力とされているのは巨大隕石の衝突である。1980年、地質学者のウォルター・アルバレスとその父で物理学者のルイス・アルバレスは、世界的に分布が見られる中生界白亜系と新生界古第三系を境する粘土層(通称K-T境界層)に含まれるイリジウムの濃度が他の地層の数十倍であり、かつ、イリジウムは地殻にはほとんど存在しないことから、これが隕石の衝突によってもたらされたものであると考え、大量絶滅の原因を隕石の衝突に求めた[23]。その後、1991年メキシコユカタン半島に、直径180キロメートルの巨大クレーター(チチュルブ・クレーター)が再発見され、このクレーターを形成した隕石の衝突が恐竜絶滅の原因だとする説が提唱された[24]。この説では、地球規模の大火災で生態系が破壊され、衝突後に生じた塵埃が大気中に舞い、日光を遮断することで起きた急速な寒冷化が絶滅の原因であると主張された(ただし異論を唱える学者もいる[25])。2010年、Peter Schulte他40名の研究者も、チチュルブ・クレーターを形成した衝突が大量絶滅を引き起こしたと結論づけた[26]

しかし一方で、衝突で大気中に浮遊した微小粉塵量を過大評価しているとし、寒冷化よりもむしろ衝突で大気中に浮遊した粉塵・衝突による巨大な森林火災の煤煙などが地表への太陽光をさえぎった結果、地上や海中の生態系が破壊され、食物連鎖の底辺の光合成を行う生物の様相が大きく変わり、隕石衝突の直接の影響を生き抜いた恐竜たちも餌の不足により絶滅したとする説明が提示されている。なお、東北大学は前述の説を支持する研究結果を出している[27]。また、隕石が南側に数百キロずれて衝突していたら恐竜は今も生き残っていたかもしれないとする研究結果もある[28]

隕石説と反対に、イリジウムの起源を地球内部に求め、当時活動していたデカントラップなどの火山活動が大量絶滅の原因であるとする「火山説」も複数の研究者により唱えられている。また、両者を組み合わせ、隕石衝突が5万年に渡る連続的な火山活動を引き起こし、それが絶滅につながったという「連動説」も存在する[29]

過去には伝染病説、裸子植物から被子植物への植物相の変化(草食恐竜の食物が無くなった)、原始的な哺乳類による恐竜の卵乱獲説など諸説もあったが、現在ではかえりみられない。これら諸説は、恐竜のみの絶滅の原因を考察したものであり、白亜紀末期の恐竜を含めた数多くの動植物の絶滅の原因の説明になっていないからである。

当初の衝突による「衝突の冬」(寒冷化)が原因では、なぜ同時期に存在した両生類爬虫類などが絶滅を免れたかという疑問が残ったが、現在でも二酸化炭素による濃度上昇に伴う気温上昇、塵による太陽光の遮断、硫酸エアロゾルによる太陽光遮断と酸性雨などについては確証がなくよくわからないとする意見も強い。
鳥類

鳥類が生き延びた恐竜の一種であることが学術的に認められるようになったことで、「恐竜は絶滅していない」「絶滅を逃れた恐竜が鳥類である」といった観点を立てることができる[30]
生物学的特徴最大級の竜脚類の例(スーパーサウルスアルゼンチノサウルスディプロドクスマメンチサウルスサウロポセイドン

現代に生きる鳥の系統を除いても、恐竜は長期間にわたって陸上で繁栄した一群であり、その形態は多様であった。

その身体のサイズも、ニワトリほどの大きさのものから、陸上においては最大級のものまでさまざまであった。最大のものは竜脚類で、その中でも判明している範囲ではスーパーサウルスが最も大きい。これら竜脚類は、水棲のクジラ類を除けば地球の歴史上最も大きな動物であり、陸棲動物では地球史上最大である[31]マラアプニサウルスブルハトカヨサウルスのようにさらに巨大なサイズに達したと推測される竜脚類も記載されたものの、化石が現存しないため不確かな状態にある[32][33]。現存するもので部分的な標本としてはバロサウルスもしくはスーパーサウルスに属するとされる大型標本があり、一部の推定では全長40 - 50 メートルの範囲に達したと推測された[34][35]

体重についてはブラキオサウルス科のギラファティタンなどが80トン以上だったとする説もある。ただし、この数値はやや過大であるという見方も存在する[36]

恐竜の祖先である初期主竜類は肉食性であり、エオラプトルコエロフィシスなど最初期の恐竜も肉食の捕食者であった[37]。しかし、原竜脚下目など比較的初期段階から草食へと移行しつつあるグループも出現している[38]
姿勢・歩行

恐竜はそれ以外の多くの爬虫類とは異なり、胴体の直下に四肢を持つ。この特徴は、側方型の四肢に比べて体重を支えるのに都合がよく、大型化したグループが出現する素地となったとする考えがある。また、歩行の際に身体を捻る必要がないため、軽快な移動を可能にしている。

この特徴はやや遅れて哺乳類も獲得しているが、異なる点としては、恐竜は二足歩行の種が多い点である。これは、二足歩行が初期主竜類から受け継いだ、祖先的な形態だからである。初期主竜類の中でもユーパルケリアなどは身体の作りが軽快であり、一時的な二足歩行を可能としていた(現生のエリマキトカゲに近い動きだった)。竜脚類や鳥盤類の一部の様な四足歩行の恐竜は、体重の増加等の理由で二次的に四足歩行に復帰したものである。このためか、四足歩行の恐竜でも体重の大半は後足が支える形となっている[39]。この特徴的な2足歩行かつ爪先立ちという姿勢は、その後の恐竜の繁栄にとって欠かせない要因の一つとなった[40]

元より軽量な小型恐竜は別として、跳躍走行(脚が全て地面から離れ、一瞬身体が宙に浮く移動方法)が可能だった大型恐竜はアロサウルスのような大型獣脚類のみだったとされている[41]

恐竜の二足歩行はヒトとは異なり、後足を中心に長い尾によって上半身と下半身のバランスをシーソーのようにとっていたと考えられている。恐竜の巨大な尾はバランスを取るための必然であり、ティラノサウルスおよび近縁の属に見られる縮小した前肢は、巨大化した頭部と釣り合いを取るためだとされる[要出典]。恐竜に関する研究が未熟だった1970年代以前では、二足歩行、四足歩行ともに恐竜は尾を引きずりながら歩くと考えられていたが、恐竜ルネッサンスのあった1970年代以降では間違いとされ、現在の体格が提唱された[要出典]。よってその前後では、児童書や図鑑などに掲載されている恐竜の絵柄が大きく変わっている。

一方、胴体の横から足が生えている側方型の爬虫類、例えばトカゲは胴体をくねらせて歩行する、いわば爬行を行っている。この方法では四肢を側方に突き出した姿勢で身体を持ち上げているため、エネルギー効率が悪い。また肺を圧迫するために呼吸が阻害され、長時間の走行を困難にしている[42]

カメは四肢が側方に生えておりながらも胴体が甲羅に覆われて可動性を持たないため、爬行を行えない。そのため四肢により胴体を持ち上げて歩行を行っているが、歩行能力は一般に優れているとは言えず、歩行速度の遅い動物の代表格扱いされている。またワニは、トカゲに比べて胴体の可動性がやや乏しいために[43]、胴体をくねらさない。また、短距離ではあるとはいえ、ギャロップで走行することが可能なものも存在する[44]。ただし、ワニは恐竜に近縁なグループであり、祖先は胴体直下に直立した四肢を持っていた。そのため、かれらの四肢を突き出した姿勢は半水生の生態に適応した二次的なものである。またカメもワニなどに近縁な主竜形類であるため、祖先は胴体直下に四肢を持っていたが、甲羅の発達にともない二次的に四肢が側方へと突き出す形となったとする仮説もある[45]

恐竜の二足歩行形態は、現在では子孫の鳥類へと受け継がれている。しかし、祖先と異なる点としては、尾が短縮したことで重心が前方へと移ったため、大腿骨がほぼ身体に対して水平に保持されていることである[46]。そのため、歩行は膝関節を中心としたものとなっている[47]
肌・色1999年に発見されたエドモントサウルスの皮膚の痕跡

恐竜がどのような色をしていたのかは化石からは不明で、科学的根拠がないため明らかではなく、図鑑などに載っている恐竜の色は制作者のセンスで決められて、爬虫類と同様の茶色やくすんだ緑色など地味なものが多かった[48]


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