恐竜
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要するに、前述の定義の意図するところは概して「竜盤類鳥盤類、それぞれの動物の共通祖先から分岐したすべてのもの」[11]であり、「現生鳥類」「トリケラトプス」は、それぞれ竜盤類、鳥盤類における代表例として任意に挙げられたにすぎない[注 2]

よって同様のグループを、例えば「恐竜 (dinosauria)」の命名のきっかけとなった2属を挙げ、「メガロサウルス(Megalosaurus)とイグアノドン(Iguanodon)を含むグループの、最も近い共通祖先より分岐したすべての子孫」[13]と表すこともできる。

また、より厳密に3つの系統を用いて「トリケラトプス (Triceratops horridus)、サルタサウルス(Saltasaurus loricatus)、イエスズメ(Passer domesticus)の、最も近い共通祖先より分岐したすべての子孫」(つまり、恐竜=鳥盤類+獣脚類+竜脚形類)[14]とする意見もある。

これらの定義では必然的に、獣脚類の一群である鳥類を恐竜(より詳細には、竜盤類の中の獣脚類、コエルロサウリアに属すマニラプトラに含まれる)に含めることになる。このため、鳥を除いた恐竜を表すために、「非鳥類型恐竜 (non-avian dinosaur)」の用語が使用される。また特に、鳥を除いた獣脚類を表す語として、「非鳥類型獣脚類 (non-avian theropod)」も頻繁に用いられる。

なお、恐竜類の中のクレードについては上記のクラドグラムと異なりオルニトスケリダやフィトディノサウルス類(英語版)を設ける説もある[15]。詳細は「鳥肢類」を参照詳細は「フィトディノサウルス類(英語版)」を参照

以下は、オルニトスケリダのクラドグラムの例。

恐竜形類

マラスクス

unnamed

シレサウルス類

恐竜類

竜盤類

ヘレラサウルス科

竜脚形類



オルニトスケリダ

鳥盤類

獣脚類









以下は、フィトディノサウルス類のクラドグラムの例。

恐竜類

獣脚類

†フィトディノサウルス類

竜脚形類

†セグノサウルス類

鳥盤類








特徴

中生代三畳紀に現れ、中生代を通じて繁栄した。多様な形態と習性のものに適応放散し、陸上動物としては非常に大きくなったものもあったが、約6,600万年前の白亜紀新生代との境に多くが絶滅した。なお、アラモサウルスなどの一部の属については、この後もしばらく生き延びていた可能性を主張する研究者もいる[16]。以前より鳥類は恐竜(の一部)から進化したものだという見方があった[17]が、獣脚類の一部は現在も鳥類として繁栄しているとする説が主流となっている[18]
特徴的な派生形質陸上四足動物の後ろ足の付き方(概略図)。左:トカゲやワニなど一般的な現生の爬虫類。中央:恐竜、哺乳類。右:ラウイスクス類(絶滅したワニに近縁な動物)

恐竜は単系統群と考えられており[10][11]、その系統を特徴づける派生形質は非常に多い。以下に主要なものを列挙する[11]

(主竜類、さらに鳥頸類や恐竜型類の形質をもった上で)

後前頭骨(postfrontal)を二次的に失う。

上腕骨の三角筋稜(delto-pectoral crest)が発達する。

腸骨恥骨坐骨で構成された骨盤に、大腿骨がはまり込む場所である寛骨臼(かんこつきゅう)が貫通している。

仙椎を構成する骨が3個以上(ワニやトカゲなど、多くの爬虫類ではより少ないことが多い)。

脛骨前面に距骨突起が成立する。

など。

これらのいくつかは、特に二足歩行に適応した結果として生じた形質と考えられ、恐竜が、一般的に想像されるトカゲのような「爬虫類」とは異なる運動機能を持っていたことを示している。かつては、二足歩行は前肢を武器とするために進化したと考えられていたが、これには疑問点もある[19]
進化史
登場と初期進化

恐竜は、祖先的な双弓類から進化した群で、直接的祖先は初期主竜類(かつては槽歯目としてまとめられていた)中の一群、鳥頸類の一群とされる[20]。このグループには恐竜の他には翼竜などが含まれている。このグループは、初期段階から二足歩行へと移行しつつある形態を持っており、最初期の恐竜は既に二足歩行を獲得していた。なお恐竜は三畳紀当初は生態系の10%前後を占める程度の弱小勢力であったが、三畳紀後期から緩やかに獣弓類クルロタルシ類から主役の座を譲り受け、以降の繁栄を築いた[21]
非鳥類型恐竜の絶滅「K-Pg境界」および「白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅」も参照

非鳥類型恐竜は白亜紀末期に絶滅した。恐竜はよく関心を持たれる動物群であり、ことさらその絶滅の原因に関する仮説は多い。しかし、ある系統の「絶滅」とは、生物の進化において普遍的なプロセスであり、中生代を通じていくつもの恐竜の系統が絶滅してきたことにも留意する必要がある[22]

K-Pg境界(以前はK-T境界と呼ばれた)の大量絶滅は、恐竜のみならず数多くの動植物を巻きこんだという意味で大規模な絶滅であり、事実、K-Pg境界における恐竜の絶滅に関する科学的な研究は長い間なされてこなかった[11]

絶滅の主要因に関する仮説には以下などのものがある。

短時間で滅んだとする激変説(隕石衝突説・彗星遭遇説など)

長時間かかったとする漸減説(温度低下説・海退説・火山活動説など)

最も有力とされているのは巨大隕石の衝突である。1980年、地質学者のウォルター・アルバレスとその父で物理学者のルイス・アルバレスは、世界的に分布が見られる中生界白亜系と新生界古第三系を境する粘土層(通称K-T境界層)に含まれるイリジウムの濃度が他の地層の数十倍であり、かつ、イリジウムは地殻にはほとんど存在しないことから、これが隕石の衝突によってもたらされたものであると考え、大量絶滅の原因を隕石の衝突に求めた[23]。その後、1991年メキシコユカタン半島に、直径180キロメートルの巨大クレーター(チチュルブ・クレーター)が再発見され、このクレーターを形成した隕石の衝突が恐竜絶滅の原因だとする説が提唱された[24]。この説では、地球規模の大火災で生態系が破壊され、衝突後に生じた塵埃が大気中に舞い、日光を遮断することで起きた急速な寒冷化が絶滅の原因であると主張された(ただし異論を唱える学者もいる[25])。2010年、Peter Schulte他40名の研究者も、チチュルブ・クレーターを形成した衝突が大量絶滅を引き起こしたと結論づけた[26]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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