落ちぶれた道子に対し、礼吉は自分を捨てて別の男へ走ったことや清純だったかつてを思い描いていた自分の気持ちが裏切られたことなどに対しきつい言葉で詰り[1]、そしてその後は道子への愛と憎しみに悶え酒に溺れていった[4]。
しかし、道子も夫の戦死後は夫の実家、継母の家で居たたまれなくなって嫁ぎ先を出たのであり[1]、そして横浜の進駐軍関係に勤める中で孤独に苛まれ、そこで道子に対し親切だった外国士官と共に生活するようになっていたのだった[1]。その横浜での生活も、礼吉らが考えていたように娼婦として荒んでいたわけではなく、また現在はその士官とも別れ独り身に戻っていた[1]。
だが、そのような事情を説明しても納得していない礼吉の態度を知り、道子は思い余ってヘッドライトの前へ身投げしてしまった[1]。道子が重傷を負ったことを警察に聞かされた礼吉はそのときになって初めて、道子の前歴がどうであれ、自分にとっては大切な人物であることに気がついた[1]。
道子が治療を受ける病院に向かう車の中で、礼吉は号泣しながら道子が助かるように神に念じ続けた[1]。
スタッフ
監督 - 田中絹代[1]
製作 - 永島一朗[1]
脚本 - 木下恵介[1]
原作 - 丹羽文雄 小説『恋文』[1]
撮影 - 鈴木博][1]
美術 - 進藤誠吾[1]
音楽 - 斎藤一郎[1]
録音 - 道源勇二[1]
照明 - 藤林甲[1]
編集 - 後藤敏男[5]
キャスト
森雅之 - 真弓礼吉[1](復員兵)
加島春美 - 礼吉の少年時代[1]
夏川静江 - 母[1]
久我美子 - 久保田道子[1]
宇野重吉 - 山路直人[1]
香川京子 - 保子[1]
田中絹代 - 下宿のおばさん[1]
関千恵子 - 事務員風の女[1]
花井蘭子 - とんかつ屋の主人[1]
中北千枝子 - レストランの女[1](マリー)[6]
木下恵介 - 写真屋[1]
道三重三 - 洋[1]
坪内美子[5] - 道子の母[6]